共用品という思想――デザインの標準化をめざして | |
後藤 芳一,星川 安之 | |
岩波書店 |
読売のネットニュースにこんな記事があった。 そして先に買っていた岩波の『共用品という思想』を引き出してきた。
こんなことが書いてある
「不便さに耳を傾けるよう先に、何らかの対応策を講じることがあり、さらにその先に不便さが解消・緩和されることがある。課題を認識する目的は、行動することであり、行動するもっく敵は課題を解消することである。その意味で、本当に耳を傾けているかという問いは、課題の解決までつなげられるような認識をしているか、という問いである。
たとえば、視覚障害者が街を歩きにくいという課題に対しては白杖、誘導ブロック、介助犬、音声ガイド、触知案内板などがある。いまは、法律や制度もあって、こうしたハードやソフトの整備が進んでいる。ただ、手法が共有され、設備が整備されることによって『対処済み』とされて、その本来の目的が途中で抜けてしまう恐れもある。…」
手話通訳もそうだろう。通訳をつけてください。はいつけました。通訳はどこから派遣されていますか? はい、ろう団体に依頼しました。はい、よろしい…てな具合で本来手話通訳は何のためにつけるのか、だれのためについているのかが抜けてしまうことも多い。
情報を必要としている人、コミュニケーションを求めている人にきちんと情報が伝わっているか、コミュニケーションが保障されたのか 常に 求め続けていくべきでしょう。
視覚障害者守る点字ブロック
駅のホームにある、でこぼこの黄色いブロックはなに? どんな役割があるのかな。
破損や摩耗 危険な場所も
正式名称は、「視覚障害者誘導用ブロック」で、一般的に「点字ブロック」と呼ばれる。駅のホームだけでなく、歩道や公共の建物内にも敷かれ、視覚障害者は足や白杖(はくじょう)で凹凸を認識しながら歩く。
点状の突起により、近くにある横断歩道や階段などに注意を促す「点状ブロック」と、線状の突起で進む方向を示す「線状ブロック」の2種類があり、これらを組み合わせて歩行を助ける。
点字ブロックを巡っては、今年1月にJR山手線で発生した全盲の男性のホーム転落事故後、因果関係ははっきりしないものの、視覚障害者団体から、「点字ブロックの突起の数が多すぎ、凹凸を識別しにくい」などの意見が寄せられた。JR東日本は、事故の起きた駅ホームの点字ブロックをすべて交換し、首都圏を中心に約330の駅でも点検を行っている。
点字ブロックは日本が発祥で、1967年、岡山市内の盲学校近くに初めて設置された。考案したのは、同市の発明家、故三宅精一氏。「目が不自由な人も、安全に街を歩けるように」との思いを実らせた。
その後、急速に普及し、国も90年代以降、新設の駅などでの整備を義務づけた。昨年3月時点で、駅や空港など、全国の旅客施設の約95%に設置されている。韓国、オーストラリアなど海外にも広がり、国際規格を作る動きもある。
だが、ブロック上に自転車が置かれたり、ブロックの近くに柱があったりして危険な場所は多い。突起の形や配列など、日本工業規格(JIS)以外のブロックも多く、視覚障害者が戸惑うケースもある。
福岡県人権擁護委員連合会が昨年9月、県内12市町で、公共施設などの周辺の点字ブロックを調べたところ、約4割に破損や摩耗、設置が不適切で目的の場所へたどり着けないなどの問題があった。設置されていることが望ましいのに、点字ブロックがないところも約3割に上った。
視覚障害者の5割が、駅のホームから転落した経験を持つとされる。点字ブロックの整備を適切に進めるだけでなく、転落防止の可動柵の設置などの抜本的な安全策も講じる必要がある。(安田武晴) (2011年3月8日 読売新聞)