心配してきたことが現実に起こってきた。
原発は危険だという私たちに 国や電力会社は 「日本の原発は安全。チェルノブイリとは一緒にするな!」といってきた。
「絶対に事故は起きない」とまで。
日本の政党の中で ずっと反原発を言ってきたのは社民党だけ。「化石」だとか何とか言われながらである。
マスコミもエネルギー問題などのシンポジウムの主催者になったりして電力会社の宣伝を手伝ってきた…。
東日本大震災:福島第1の炉心溶融 原発安全神話崩れる
東日本大震災の影響で東京電力福島第1原発1号機で原子炉内での燃料が溶融し、大量の放射性物質が漏れたことは、これまで経済産業省や東電など電力会社が強調してきた日本の原発の「安全神話」は大きく崩れる事態となった。政府は「温暖化防止対策」などを理由に、国内の発電電力量に対する原発の比重を高める政策を打ち出して来たが、今回の事故で国民の原発不信が再燃するのは必至で、国のエネルギー政策は抜本的な見直しを迫られそうだ。
79年の米スリーマイル島原発事故や86年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故後も、日本の原発事業者は「厳しい安全管理をしている国内では、同様の事故は起こらない」と説明してきた。しかし、91年の関西電力・美浜原発2号機の蒸気発生器細管破断事故で安全神話は揺らぎ、95年の「もんじゅ事故」では原子力事業者の情報秘匿主義が問題化。99年の茨城県東海村の臨界事故で日本の原子力開発は行き詰まった。
ただ、いずれの事故でも部品の施工ミスや設計ミスなど「想定外の事象が事故の原因」と説明する原子力事業者の姿勢は変わらず、07年の新潟県中越沖地震で東電・柏崎刈羽原発が全機停止した時も「原因は変圧器の火災。原発の構造そのものに問題はない」として運転再開を優先してきた。
ただ、今回の事故は、地震後の津波で原子炉冷却用の電源が損傷するという原発の安全設計の根幹に関わる問題。「原発は(いくつもの安全装置で原子炉を守る)多重防護の考え方を徹底している」という従来の東電の説明は破綻したとも言える。東電は12日夕、本店で担当者が会見したが、安全に関する質問には「データを評価しないと分からない」の一点張りで、国民の不信は募るばかりだ。
チェルノブイリ事故などをきっかけにした原発への逆風は、ここ数年、二酸化炭素(CO2)排出量抑制など地球温暖化問題で追い風に変わり、原子力関係者は「温室効果ガスを出さない原子力は温暖化対策の切り札」(東電幹部)とPR。政府が昨年6月に策定したエネルギー基本計画でも今後のエネルギー開発の主軸に原発を据え、14機以上の新増設を目標に掲げた。また、原発は日本のインフラ輸出の柱ともされ、ベトナムやトルコへの売り込みも本格化していた。
しかし、今回の事故で、地震国ニッポンの原発の安全性が根幹から問い直されるのは必至だ。東電は当面、火力発電などで代替する考えだが、原油高騰や温室効果ガス削減の観点から、原油や石炭発電の拡大には限界がある。太陽光発電など再生可能エネルギーの本格普及策も緒に就いたばかりで、日本のエネルギー政策は袋小路に追い込まれる可能性がある。【山本明彦】