おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

2008-11-22 | ■ サマザマな おはなし

鴎外の身の清め方は
入浴ではなく 身を拭うこと
だったそう

子供さんたちの回想録にも 鴎外のシャボンの香りのことが
載っています

シャボンをつけたタオルで身を拭き取るのが
鴎外やり方だったとか

その理由として
『入浴ということは 他の者の汚れをいわば自分の身に
付けてしまうようなもの 湯を共用するなんぞ 
不清潔そのもの』

つまり 湯に入るなんぞ 他人の垢を
わざわざ付けてしまうようなものだ

といった理論

でも この理由付けから
大きな疑問が生まれ 長年の不思議でした(私にとっては)



上の『』のなかの理由をつけるということは
裏返せば とても 清潔感にこだわるということ
だと思うのです
なのに 湯船でスッキリするこもなく(一人での入浴なら
『』のなかの危惧はないはず)
ドイツ留学の経験のある鴎外なら 
湯に浸ることを避けるのなら
せめてバスタブの類の
利用などがあってしかるべきなのに
(わが子に オットー やルイ やアンヌといった名を堂々と
つける鴎外にとって 西洋かぶれなんぞという批判なんぞを
気にしてバスタブ利用を遠慮するようなことをする
とは思えない)




謎でした 
どうして 鴎外は ホンワカ湯船に浸る極楽を避けたの
だろう?


以前戦争映画で こういうシーンがありました
きな臭い 油煙でむせびかえる戦場で 
高級将校が部下にお湯をたてさせ
一兵卒にすると出征して何年も経験してない
狂喜のシャワー を 歓喜の表情で浴びている
それを目にした敵が 最高の憎しみを持った目で
その将校に銃弾をたたきこむ

最高の贅沢・悦楽?
心も 思いも 乾ききった 地獄の底の戦場での
身を蕩かす 甘露の シャワー


鴎外は軍人の面も持ち合わせざるを得ませんでした
軍医官でした
戦場にも出向きます


そういう折は とても長い期間 ユックリ湯に浸かる悦楽
なんぞにめぐり合えることは 
皆無かも



 
愛する家族と過ごせる内地での日常とは
桁外れのギャップの大きさの戦地での日々

そのことから 自分の感覚を守るため
戦争という狂気から身も心も距離を保つため
あえて 内地にいるときから享楽をできるだけ
避けていたのでは

ギャップを最大限 小さなものにするため

というのが 私の まったくの愚想像なのです

どういう心情だったのですか 鴎外さん

故郷 津和野での少年時代は
母のいれてくれた?湯船でノンビリ ユッタリ
甘露に浸ったんでしょう

なのに なぜ なのですか
シャボンで拭うだけの バスタイムもどきらしきもので
我慢?するなんて

私には不思議で仕方ないのです

大の風呂好きなので
不思議で不可解でしかたないのです


                   
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