“ いったい どのように収束・終息を待てばよいのか・・・ ” と いうような情況の時の連続 これほど
長くなるとは思ってもみませんでした
が
心をできる限り元気にして 日々努めていくこととしましょう
そんなふうに呼びかけてみることだけでも 自身にもなんとか為し得ることなのだから と 思っては
いるのです
沈んでばかりもいられません
というようなことで
受験生さんだけを対象にしているわけではありません
サマザマな動機で 学習を心がけている方のためにも
本日は 2015年度の マンション管理士試験の 問16 を考えてみたいと思います
受験生の方にとっては 本試験まで およそ7ヶ月 というところまできています
〔問16〕
Aがその所有する甲マンションの301号室をBに賃貸していたところ、Aは死亡し、
Aの配偶者C並びに子D及びEは、いずれも単純承認した。
この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例に
よれば、誤っているものはどれか。
1
遺産分割によってCが301号室を相続し、Aが死亡するまでに滞納した管理費
の負担に関する合意がないときは、甲マンション管理組合の管理者Fは、遺産分
割後において、Aが死亡するまでに滞納した管理費の4分の1をDに対して請求
できる。
2
遺産分割によってDが301号室を相続し、Aが死亡するまでにBが滞納した賃料
債権の帰属に関する合意がないときは、Dは、遺産分割後において、Aが死亡
するまでにBが滞納した賃料債権の4分の1をBに対して請求できる。
3
遺産分割によってD及びEが301号室を持分各2分の1として相続し、Aの死亡後
遺産分割までに滞納した管理費の負担に関する合意がないときは、甲マンショ
ン管理組合の管理者Fは、遺産分割後において、Aの死亡後遺産分割までに滞
納した管理費の全額をDに対して請求できる。
4
遺産分割によってEが301号室を相続し、Aの死亡後遺産分割までにBが滞納
していた賃料債権の帰属に関する合意がないときは、Eは、遺産分割後におい
て、Aの死亡後遺産分割までにBが滞納した賃料債権の全額をBに対して請求
できる。
次の 最高裁の判例を知っていたか否かがすべて とも言えそうな問題でした
遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人
の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した
結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、
各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと
解するのが相当である。
遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが、各共
同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料
債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである。
〔最判平成17・9・8〕
ということで
各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと
解するのが相当である
とあるので Cは2分の1 Dは4分の1 を Bに請求できる
Eは 4分の1は請求可だが 全額は請求できない
誤りは 4 です
遺産から発生する法定果実は それ自体は遺産ではないともいえるけれど 遺産
分割が遡及効を有する(遡って権利を得る)以上 その財産を得た者が 相続開始
以降のその財産から発生した法定果実である賃料を得る との理解もできる と思
われるのですが・・・
(天然果実及び法定果実)
第八十八条
物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。
2 物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。
(果実の帰属)
第八十九条
天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する
者に帰属する。
2 法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算に
よりこれを取得する。
(遺産の分割の効力)
第九百九条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。
ただし、第三者の権利を害することはできない。
・・・・けれど 最高裁は 上のような判断をしたのでした
1について
Aが死亡するまでに滞納した管理費の支払債務は可分債務なので 相続分に
応じて 法律上当然 承継される
2について
相続財産として可分債権があれば それは当然に分割されて 相続分に応じて
共同相続人が権利承継する(最判昭29・4・8)
Bが滞納の賃料債権は可分債権
3について
専有部分を共有する者の管理費等の支払債務は 不可分債務と解されている
(判例 東京高判平成20年5月)
債権者は 一人に対し 又は同時に・順次にそのすべての不可分債務者に対し
全部又は一部の履行を請求できる(民430・436)
301号室は遺産分割されるまでC・D・Eが共有者(民898)で 不可分債務で
ある管理費等支払債務を負っているので その場合 D一人に対し 全額を請
求することも可能