おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

過去問ではないけれど

2023-11-07 | マンション管理関連試験等サポート   

 

 

本日は マンション管理士試験過去問学習 ではなく

オリジナル問題 です

よろしければ 利用してみてください

 

////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

 

民法第8章〔配偶者の居住の権利〕に関する次の記述につき、正誤を答えよ。

 

1 配偶者短期居住権の成立には、配偶者が相続開始時に当該居住建物にて被相続人
  と同居している必要があるので、婚姻関係が事実上破綻して別居していた場合は
  配偶者短期居住権は成立しない。
  また、配偶者が相続放棄をした場合は、成立し得ない。

 

2 配偶者居住権は、居住権保護のための用益物権である。

 

3 被相続人Ⅹの相続人は、妻Yと子A・Bである。遺産分割がされていないところ
  YはXが所有していた建物に居住を継続している。
  Bは、当該建物につき相続を原因として所有権移転登記をし、自己の持分を友人
  Cに譲渡し、Cへの持分登記がなされた。YはCに対し配偶者短期居住権を主張
  できる。

 

4 配偶者居住権の成立要件とは異なって、配偶者が相続開始時に無償で居住してい
  たことが配偶者短期居住権の成立には必要となる。
  また、被相続人と第三者が居住建物を共有していた場合には、配偶者は被相続人
  の共有持分上に配偶者短期居住権を取得し、他の共有者に対して配偶者短期居住
  権を主張することができる。

 

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////



1  について                         誤 り

 被相続人と 同 居 している必要はない
 〈生活の本拠として現に居住の用に供していたこと〉を 居 住 という

 配偶者が相続放棄をすると 居住建物について遺産共有持分を有していないので
 遺産分割には加われないことから1037条1項では成立し得ないが 同条
 1項の場合(配偶者が居住建物について遺産分割の当事者とならないとき)
 には 配偶者短期居住権が成立し得る


下記 1037条 を 参照ください

 

 

2 について                         誤 り
  
  法律を作る過程では 用益物権とすることも考えられたという経緯があるけれど
  配偶者居住権は 配偶者を債権者とし居住建物の所有者を債務者とするところの
  賃借権類似の法定債権であり 配偶者の居住権保護のため認められた一身専属権
  で 譲渡もできない


〈法制審部会資料〉等で 債権であるとされ 基本書等にも そのように記されている

下記 1032条 を 参照ください
 
 
 
3 について                         誤 り                          

 配偶者居住権とは異なり 配偶者短期居住権は存続期間が短いのが通常であるし あく
 まで債権であることもあって 対抗要件制度は設けられていないので第三者対抗力はない
 YはCに対し 配偶者短期居住権を主張することができない

 


下記 1031条 を 参照ください

 

 

4 について                          誤 り

 有償での居住の場合は 被相続人との間に賃貸借契約等の契約関係が在り 配偶者は
 その契約に基づく占有権原を被相続人死亡後も有するのであるから 配偶者短期居住
 権での保護の必要性は少ないということで 無償を要件としているので正しい

 ・・・他の共有者に対して配偶者短期居住権を主張することができる。 
 との部分は 誤りである 
 他の共有者との関係は 相続開始前の被相続人と他の共有者との間における約定に基
 づくことになる
〔仮に  他の共有者との間において被相続人の単独使用を認める合意があり  死後も有効
   なものと解されるものなら契約上の地位を被相続人の持分取得者である相続人が承継
 する(大判大8.12.11)〕


下記 1037条 を 参照ください

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

               記        ※ 条文等に省略ある場合があります

 
(配偶者居住権)
第千二十八条 
被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した
建物相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その
居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び
収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続
人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない

一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
       ※ 死因贈与・遺贈での配偶者居住権取得なら 相続放棄してもそれを失わない
       〈死因贈与〉は遺贈を準用するとある(554条)ので 明文不要とされた

2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有
するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
3 第九百三条第四項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。

                    ※ 遺産分割において 当該居住用不動産の価格を特別受益として扱わないで
        計算することができ 遺産分割での 配偶者の取得額が増えることになる                                 

     特別受益者の相続分)
      第九百三条 
      共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため
      若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の
      時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし
      第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は
      贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
    2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺
      者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
    3 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。
    4 婚姻期間二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居
      住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相
      続人は、その遺贈又は贈与について第一項の規定を適用しない旨の意思を表示し
      たものと推定する。
               

 

(配偶者居住権の登記等)
第千三十一条 
居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において
同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
2 第六百五条の規定は配偶者居住権について、第六百五条の四の規定は配偶者居住権の設
定の登記を備えた場合について準用する。
 
    
     (不動産賃貸借の対抗力
      第六百五条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について
            物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
     
     (不動産の賃借人による妨害の停止の請求等)
      第六百五条の四 不動産の賃借人は、第六百五条の二第一項に規定する対抗要件
              を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当
              該各号に定める請求をすることができる。
              一 その不動産の占有を第三者が妨害しているとき その第三
                者に対する妨害の停止の請求
              二 その不動産を第三者が占有しているとき その第三者に対
                する返還の請求

 

(配偶者による使用及び収益)
第千三十二条 
2 配偶者居住権は、譲渡することができない。

 

(配偶者短期居住権)
第千三十七条 
配偶者は、被相続人の財産に属した建物相続開始の時に無償居住していた場合には、次の
各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物(以
下この節において「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(以下こ
の節において「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償で使用する権利
(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用す
る権利。以下この節において「配偶者短期居住権」という。)を有する。
ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は
第八百九十一条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りで

ない。

 居住建物につい配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合 
     遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過
     する日のいずれか遅い日            ※ 上限なし(条文上は帰属確定
                                   まで だが引き延
                                   ばしは権利濫用と
                                   評価されるだろう) 
 
 前号に掲げる場合以外の場合 
     第三項の申入れの日から六箇月を経過する日   ※ 最低6ゕ月

     ※ (相続人の欠格事由)
        第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない
         一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡
           するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
         二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなか
           った者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の
           配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
         三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取
           り消し、又は変更することを妨げた者
         四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、
           取り消させ、又は変更させた者
         五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した
           者
2 前項本文の場合においては、居住建物取得者は、第三者に対する居住建物の譲渡その他の
方法により配偶者の居住建物の使用を妨げてはならない。

3 居住建物取得者は、第一項第一号に掲げる場合を除くほか、いつでも配偶者短期居住権の
消滅の申入れをすることができる。