おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

前記事の追記です

2023-05-25 | マンション〔法 令・判 例〕

 

前回の記事に関して付け加えておくべきことを 
失念していました(スミマセン)


 おおよその基本書には登場していると思われますが・・・
 区分所有法6・57条等に関して



 最高裁平成24・1・17 

 その行為が共同利益背反行為に当たるか否かについて 
 その判断の対象となる行為が建物の管理または使用に
 関してなされたものであるのかそうでないのかという
 ことについて 問題にしていません

 <このことが 有斐閣マンション判例百選での解説には
  ・・本判決は、共同利益背反行為か否かの判断にあた
  って、専ら利益侵害の有無を問題とし、行為態様によ
  る限定を不要とした。これは最高裁判所として初めて
  の判断であり、本判決はこの点で意義を有する。・・
  と記されています>

差し戻し前の原審(東京高判平成22・7・28)では
 
建物の管理又は使用に関し」てなされたものではないのだから
当該行為(ひぼう中傷文書配布・掲出  防水工事受注業者への
業務妨害行為 等)は共同利益背反行為に当たらない
と されていたのでした



共同の利益のこと

2023-05-25 | マンション〔法 令・判 例〕

 

管理組合 に関しては 独特な内容の裁判が設けられています

   第七節 義務違反者に対する措置

(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
第五十七条

(使用禁止の請求)
第五十八条 

(区分所有権の競売の請求)
第五十九条

(占有者に対する引渡し請求)
第六十条 

 

どのような行為についてならば 上記に登場の裁判を起こせるのか は ナカナカ 微妙な

点の検討を要することもあります

 

そこで 本日の マンション管理士試験過去問学習 です

(区分所有者の権利義務等)
第六条 
区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の
利益に反する行為をしてはならない。
 
との条文に関するものです
                                                                                       ※ 問い方を変え 利用させていただいています
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平成24年度 

【問 2】
 
区分所有法第6条第1項の区分所有者の共同の利益に反する行為に該当するか否か、各肢につき答えよ。


1 直上・直下階の特定の区分所有者間の騒音問題について、一方の当事者が虚偽の事実を記載した文書
  を作成し、それを他の区分所有者に配布する行為


2 隣接する専有部分2個を所有する所有者がこれを1個の専有部分とするため、その間にある耐力壁で
  ある戸境壁を勝手に取り壊す行為


3 廊下、階段室に私物を置いて倉庫がわりに使うなど区分所有者の一人が共用部分を使用し、その結果
  他の区分所有者の通常の使用が妨げられるような行為


4 専有部分で営業を行っている区分所有者が勝手に外壁やベランダに看板を取り付けたり、屋上に広告
  塔を設置したりする行為

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1 について                該当しない
 
  特定の紛争当事者間においての侵害行為と捉えられるので 区分所有者の共同の利益に
  反する行為 とまでには至っていない と 解されよう

 
2 について                該当する
 
  建物の保存に有害な行為であるので 区分所有者の共同の利益に反する行為に該当する

 
3 について                該当する             
 
  共用部分を不当に使用するものなので 区分所有者の共同の利益に反する行為に該当する

 
4 について                該当する
 
  共用部分を不当に使用するものなので 区分所有者の共同の利益に反する行為に該当する 

 
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肢1については 
利益侵害の程度によっては 生活妨害等やプライバシー侵害においても単なる隣人間紛争のこと
ならばとの基準から該当しない とするのは 妥当でないのでは という考え方もあるだろう
その点からすると 該当しないとの判断は あくまで 肢の表現の捉え方によって微妙となるの
かな ? とも考えられる 
(4肢択一で「該当しないものはどれか」と 問われていた ので 正解率は高かったと思われるが)          

 

肢1に関連する判例として 「最判 平成24・1・17」 が考えられます
               (本日の過去問学習は 平成24年度 試験のものです)
            

そこで原審(東京高裁)に差し戻されて出されたもの(東京高判 平成24・3・28の一部

を 参考として載せてみました(膨大な?内容ですが その一部 だけです)
                     ※ 色付け等は 当職にてさせていただいたものです

・・・・・・・・・・・

(2) 最高裁は,控訴人の区分所有法57条に基づく差止め請求につき,マンションの区分所有者が,
業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布し,それが単なる
特定の個人に対するひぼう中傷等の域を超えるもので,それにより管理組合の業務の遂行や運営
に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される場合には区分所有法6
条1項の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地があるというべきである
として,控訴人の請求が区分所有法57条の要件を満たしているか否かにつき更に審理を尽くさ
せるため,差戻し前の控訴審判決中区分所有法57条に基づく請求に関する部分を破棄し,これ
を東京高等裁判所に差し戻し,控訴人の本件マンション管理規約63条3項に基づく差止め請求に
ついては,上告を棄却した。したがって,当審の審判の対象は,差戻しの対象となった控訴人の
区分所有法57条に基づく請求部分の当否である。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(2) 以上の事実に照らせば,本件マンションの区分所有者である被控訴人は,業務執行に当たって
いる本件マンション管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布し,また,本件マンショ
ン管理組合の取引先等に対する業務妨害行為を行い,さらには,本件マンション関係者に対する暴
行及び嫌がらせ行為を行っているものであり,それらは,単なる特定の個人に対するひぼう中傷,
業務妨害,嫌がらせ等の行為の域を超えるものというべきである。そして,被控訴人の上記行為に
より,管理組合の業務の遂行や運営に支障が生じて,本件マンションの正常な管理又は使用が阻害
されていることは明らかである。
そうすると,被控訴人の上記各行為は,区分所有法6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反
する行為」に当たるというべきである。また,上記(1)アに認定のとおり,控訴人は,平成21年8
月23日,本件マンションの区分所有者の集会の決議により,被控訴人を除く他の区分所有者の全
員のために本件訴訟を提起する区分所有者に指定された者であり(区分所有法57条3項),本件
マンションの区分所有者の共同の利益のため,被控訴人に対し,被控訴人の上記各行為の差止めを
求めることができるものということができる。
(3) したがって,控訴人の被控訴人に対する上記各行為の差止め請求は,区分所有法57条の要件を
満たすものといえる。