テレビを見ていて、興味深いCFを見ました。
上島珈琲の缶コーヒーのコマーシャルです。
少し重たい画像と音楽を使い、「私たちはマーケティングで珈琲を作らない。魂でコーヒーを作る」というもの。
このCFを見て二つの面白さを感じました。
1.マーケットインから再びプロダクトアウトへ
顧客志向や顧客満足などの核としたマーケティングが機能しなくなってきた昨今。
新聞・雑誌・ラジオ・テレビの四媒体が過去のものになりつつあり、インターネット、ブログ、ツィッター等のパーソナルなメディアが強力な媒体となりつつある今。
マーケティングそのものの価値が問われています。
プロダクトアウトはダメで、今からはマーケットインの時代。
ということで30年以上にわたり企業の変革が行われてきました。
しかし、これが効かなくなってきた、ということが言えると思います。
マーケティングの神様フィリップ・コトラー博士もマーケティング3.0というコンセプトを打ち出していますが、具体論、各論まで打ち出せていない状況です。
強みで戦うという点でいえば、自社の強みを自信を持ってプロダクトアウトしていくことは重要です。
マーケットインから少しだけプロダクトアウトの方向に戻して考え抜くことが大切なってきていると考えます。
確かにお客様は神様。
顧客満足が得られない、売上が上がらない、利益が上がらない・・・。
企業は、少し自信喪失の状態にあります。
しかしながら、足元をよく見れば、スゴい技術や人材やノウハウ、技があるはずです。
大手の紳士服チェーンではなく、銀座の路地裏でたくましく生きるテーラーのような職人の技があるはずです。
それをプロダクトアウトしていく・・・。
そういった戦略や戦術もアリだと考えた次第です。
2.対ジョージア戦略
UCCの競合は、何といっても日本コカ・コーラ。
缶コーヒーでいえばアサヒ飲料やサントリー等の競合の厳しい世界です。
日本コカ・コーラの持つ「ジョージア」ブランドは市場を席巻しており、日本全国をカバーするボトラーズの販売力、自販機設置台数など他社を圧倒しています。
米国じこみのMBA流のマーケティングを駆使してさらなる市場制覇を目指しているのです。
その動きに対する挑戦状としての「わたしたちはマーケティングでコーヒーを作らない」というフレーズ。
なかなか優れたコピーライターの作だと思います。
1950年代米国の広告代理店DDB(ドイルデーンバーンバック)社が行ったレンタカー会社エイビスのキャンペーンを彷彿されます。
万年業界2位の同社は「われわれはナンバー2。だから精一杯がんばります!(We try harder!)」をキャッチフレーズを打ち出します。
動かないワイパー、汚れた灰皿は許せないといった例示をあげながら、おまけに、「カウンターでの行列はありません」といったジョークも入れ込んでいます。
久々に、なかなか活きのいいコピーに出合い、いい気分になりました。
今度、(近くにUCC自販機がないので)コンビニでUCCのNew缶コーヒーを買おうと思います。