「破壊と創造の人事 これから10年人事戦略はこう変わる」
楠田祐(中央大大学院客員教授)・大島由紀子著 ディスカバー21刊 1890円
最近、人事本を読む機会がなかったため、久々に手に取った一冊。
ここ10年の日本型経営における人事話は成功事例が少なく、個人的にも辟易していたということがあります。
ブームとも言える成果主義人事がなかなか機能せず、
従業員の不信感や疲弊を産み出し、
さらに経営への貢献度が低かった・・・
成果主義人事制度の実験の失敗の10年・・・ということがあったからだと思います。
人事と書いて「ヒトゴト」と読む。
そういった人事部が最近目につくように思います。
現場は疲弊、若年層の早期退職、メンタルヘルス・・・。
経営は、現場主義とは言いながら、いまだ中央集権的、画一的に本社からコントロールしようとする人事部機能が限界にきているのではないかと考えています。
現場主義を標榜するのであれば、ラインに人事機能の一部を権限移譲していくことも必要かもしれません。
総論部分は、いわゆる一般論で少し退屈ですが、急成長企業についての楽天人事部長とソフトバンク人事部長の対談、サービス力強化に向けてのヤマト運輸人事総務部長とロフト人事部長の対話では、具体的な事例も出てきて大変興味深く読むことができました。
ダイバーシティ、グローバル人事、BPO、人事情報システム、グループ企業人事、採用、選抜研修などの最新事情も触れており、人事部長、人事課長、人事部員、そして人事の仕事に就きたい方に一読いただきたい一冊です。