「おまえたちは負け犬だ。今から生きていくためには、必死で学び、遊び、恋をしろ!」
大学に入学した時、クラスの担当教員が言った言葉。結構ショックでした。第一志望で入った学生もいるのですが、彼は、現状で満足するな、上を目指せと言いたかったのだと思います。研究室に行くと、「これを読め」とデビッド・リースマン「孤独な群衆」、土居健郎「甘えの構造」、ヴィットゲンシュタイン「論理哲学論考」などを手渡されました。大学のアカデミズムとともに学びの面白さを教えてもらいました。その後、フランス政治史を専攻する彼は博士の学位をとり教授としてわたしが学んだキャンパスの教壇に立っています。自分自身、まだまだ、負け犬状態だと思うのですが、彼の発したフレーズは、今でもときどき勇気づけられます。
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「媚びない人生」を著したジョン・キム氏。
熱い教員魂を感じ、思わず手に取りました。キム氏は、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ等で学び、現在、慶応大学准教授。写真を拝見する限り、かなりの若さ。なかなかのイケメンです。
帯には、「従順な羊ではなく、野良猫になれ」
大学入学時にクラス担任に言われた一言がオーバーラップしてきました。重たい組織の代表である大学業界の中で、熱い想いをホンネで発するのは本当にすごいことだと思います。ロジカルシンキングやクリティカルシンキングといった論理や理屈が重視されている中、マインドやメンタル部分の強化、開発ということがあまり行われていないのではないかと思っている昨今です。そうした状況の中、「媚びない人生」の発刊は、価値ある出来事だと思います。
この本の中で著者が言及しているのが「自己の内面の革命」。考え方、とらえ方、解釈の仕方を変えれば、自分の感情、思考、言葉、行動が変わってくるというもの。まさにその通りだと思います。
この本を読んだ翌日、同書を三冊購入。子供たちや友人にプレゼントしました。今年のベストセラーランキングにも入ってくる一冊だと思います。
同書からキム教授の熱い言葉を紹介させていただきます。
「内面的な革命を起こしていくことで、自分の人生の指揮権を取り戻すことが出来る」
「富士山ではなく、エベレストを目指せ」
「孤独とは、自分と向き合う時間」
「成長に終着駅はない」
「不可抗力に逆らわず、可抗力の統制に集中する」
「普遍的な真実はない。社会的な真実があるだけ」
「絶対不可侵領域を持った自己を育てる」
「事前許可なしで動ける人間であれ」
「群れから離れる」
「超ガラパゴス人間になる」
「社会を知らずに仕事を選んでいることに気づけ」
「思いつきは99%実現しない」
「緊張を楽しむ」
「すぐには役立たない本を選べ」
「瞬間を生きる。次の瞬間死んでもいいように」
この本は、キム准教授のゼミナールの最終講義で語られる内容がベースになっているとのこと。この講義を受けられる学生さんたちは、本当に幸せだと思います。
自分自身を確立する・・・自立・自律・・・自分らしさ。
ゴールのない自分探しよりは、著者の語る内面の革命の方が、はるかに実現可能性が高いし、行動に結びつく起爆剤になると考えます。
「媚びない人生」 ダイヤモンド社 1300円+税