「働く希望を再配分」することを主旨として書かれた本書。
著者は、ソーシャル・デザインの代表理事。船井総研などを経て2008年に一般社団法人を立ち上げた経営コンサルタント。資本主義社会、貨幣経済社会にさまざまな課題が出始めている今、「働く」ことの未来図を提示しています。
「ワーク・デザイン これからの働き方の設計図」
長沼博之著 阪急コミュニケーションズ刊 1500円+税
安定した職、終身雇用、年金の不透明さが一段と増し、伸びない給与、グローバル競争の激化、企業の寿命の短命化等が日々の生活の中で具象化している日本。まさに、一人ひとりの意識変革、行動改革を行っていかなければならないと思います。そうした中で、今後どのような社会になっていくのか・・・そのガイドとして活用できる一冊です。
クラウドファンディング、クラウドソーシング、パラレルキャリア、メーカーズ革命、オープンイノベーション、リーンスタートアップ、オーツーオー、ソーシャルイノベーションなどの新しいコンセプトを紹介しながら、今後働き方はどう変化していくのかを予見していきます。
変化は、ポスト近代化事業へと移行していくと著者は説きます。
・理念 国益 → 人類益
・場 リアル → リアル&インターネット
・教育 大学 → オープンエデュケーション
・エネルギー 化石エネルギー → 再生可能エネルギー
・金融 銀行 → クラウドファンディング
・ものづくり 工業型製造業 → 知識型製造業
・労働 大企業 → クラウドソーシング
また、社会は消費社会から生産社会へと変遷していくと喝破します。3Dプリンターやレーザーカッター、インターネットなどの融合により、生産手段が個人レベルにまで下りてくるとしています。
・エンジン 生理的欲求・尊厳欲求 → 自己実現の欲求・貢献欲求
・価値観 消費・勝ち負け → 生産・共生
・主役 大企業 → 個人、チーム、小さな組織
・個人の強まる側面 消費者・投資家 → 生産者・市民
・職業数 少 → 多
・スタート お金 → コミュニティ
・生活圏 地域社会・グローバル → グローカル
また、同書では「評価」社会の性格が強まっていき、「いいね」の積み重ねが支持を得るベースになると主張します。
ベストセラーになったリンダ・グラットンさんの「ワークシフト」の日本版という位置づけでしょうか?
ショーカツ中の学生、仕事の最前線に立つ30歳代、40歳代のサラリーパースンには是非読んでいただきたい一冊です。