中学生時代からの五木ファン。
「蒼ざめた馬を見よ」「青年は荒野を目指す」「青春の門」・・・。
若き日、五木寛之さんの著作は、すべて読みました。
若き日、五木寛之さんの著作は、すべて読みました。
神田神保町の書店であったサイン会にも行き、サインをいただいた日のことを覚えています。
新潮新書から、五木さんの過去の著作から500あまりのフレーズを抜き出した箴言集が出されました。
編集者のコダワリが見え隠れするのですが、「眠られぬ~」はカール・ヒルティ、箴言集はラ・ロシュフーコーから引っ張って来たんでしょうかねえ。

眠られぬ夜のために 1968-2018五百余の言葉
五木寛之著 新潮新書 740円+税
抄録が40。
「人生の明暗」「矛盾と不合理」「人間と悪」「努力と才能」などのタイトルが付けられ、それぞれ五木作品からの引用された文章が載っています。
抄録16「運命と条理」から(同書82ページから引用)
「世界というものは、ものすごくはっきりしている。人間は死ぬ。生まれたその瞬間から1日1日と死に向かっていく。そこには、偶然も、必然もない。一つの流れがあるだけだ。」(重箱の隅)
「人生にはレディメイドの希望はない。」(他力)
「人生の椅子取りゲームでは、椅子に座れない人の方が多いのです。」(愛について)
自分自身、文章を書くのが好きなのですが、五木さんの文体からすごい影響を受けていると思います。
また、職業選択にしてもコピーライターをしていた五木さんの影響を受けて、広告代理店に入社してテレビの仕事をしたりします。
五木さんの代表的なコピーは、日本石油の「日石灯油でポッカポカ、日石灯油、だもんね。」
五木寛之さんや野坂昭如さんは、若き日、海のものとも山のものとも分からない広告の世界でゴハンを食べていました。
敗戦により裸一貫で半島から命からがら引き揚げてきた五木さん、売血しながら大学に通った五木さん、生き馬の目を抜く広告業界でサバイバルした五木さん、そして、文壇の中で確固たる地位を築いた五木さん・・・。
その五木さんが、著書「人生の目的」の中で、「人生の目的など、ない。」と喝破され、何となく納得したことを覚えています。
あとがきの「口笛を吹きつつ夜を」・・・とても五木さんらしいフレーズで好きですが・・・の文章が同書の帯にも出ています。
なかなか素敵な文章です。
なかなか素敵な文章です。
もし時代に夜明けと夜更けがあるとしたら、いま私たちが直面しているのは、まぎれもなく深く長い夜の始まりだろう。
ミネルヴァの梟が飛ぼうが飛ぶまいが、たそがれはたそがれ、夜は夜だ。
21世紀とは深く長い夜の時代なのだと私は思う。
私たちはそんな時代を生きていくのだ。泣きごとを言ったり、わめいたり、突っ張ったりしない。
夜を生き抜いて、その果てまでを見るまで生き続けたいと思う。・・・