能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

危機を超えるファウンダーの教え コロナ禍の中で苦戦する企業に原点回帰を!日経ビジネス誌の特集

2021年01月31日 | 本と雑誌

今まで経験したことがない新型コロナウイルス・パンデミック・・・。

世界中の会社が、出口の見えない混乱に右往左往しています。

日経ビジネス誌2021.2.1号の特集は、「危機を超えるファウンダーの教え」。

日清食品、ファナック、YKKなど日本を代表する会社が、創業者スピリットに立ち返り経営の舵取りをしているレポートをしています。

ブレないためには、創業者、ファウンダーの教えに立ち返ることが必要であると、原点回帰を薦めています。

三菱の「三綱領」、YKKの「善の循環」など創業者の熱い想いがこもったフィロソフィーは今でも新しさを感じさせます。

コロナ禍の中ということもあるのでしょうが・・・。

 

ファウンダーの残した言葉、金言・・・温故知新で会社の存続のために行動レベルで実現していただきたいと思います。

 

日本の経営史とも言える創業者の言葉を同特集から紹介させていただきます。

 

仕事と戯れよ」 日清食品

 

悪い情報ほどトップに上げろ」 ファナック

 

終始一誠意」 東武鉄道

 

産業魂」 キッコーマン

「人は一人も減らさない」「好況よし、不況さらによし」 松下幸之助

 

「やりの名人は突くより引くときのスピードが大切」 「まず自分のために働け」 本田宗一郎

 

自由闊達にして愉快な理想工場の建設」「難しいからこそやる価値がある」 井深大

 

やってみなはれ」「陰徳あれば陽報あり」 鳥井信治郎

 

「利他の心」「動機善なりや、私心なかりしか」 稲盛和夫

 

「大黒柱に車をつけよ」「下げにももうけよ、上げでもうけるな」 岡田屋家訓(イオン)

最近、経営学の中で「パーパス」という言葉が登場するようになっています。

ミッションとかビジョン、パッションと比べると、ちょっと地味なワードですが、目的、目標を認識することによって道を誤るリスクは低下すると思います。

コロナ禍の中、パーパス・マネジメントを進めていくこともアリだと思います。


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「超」働き方改革 四次元の「分ける」戦略・・・日本のホワイトカラーはゼネラリスト=素人集団

2021年01月31日 | 本と雑誌

積読になっていた一冊・・・週末に手を伸ばしてみました。

意外に面白い!・・・著者にちょっと失礼ですね(苦笑)。

終身雇用、年功序列・・・日本の労働を巡るホコロビが出たこの30年間という歳月。

労働生産性は先進7か国でずっと最下位、社員のやる気も世界の中では最低クラス、長時間労働の割にはGDPの伸びは年率1%、上がらない給料・・・。

この20年間、日本人の給料はホント上がっていません・・・欧米では1.5倍~2倍になっているのに・・・。

一人当たりのGDPも世界で26位???

スペインやイタリアにも負けています。

日本人はシエスタもせず、真面目に一生懸命頑張っているのに・・・。

この国も決して豊かな国とは言えなくなりました。

「超」働き方改革 ~四次元の「分ける」戦略~

太田肇著  ちくま新書  780円+税

 

著者は、「承認」の研究で知られる同志社大学教授。

同書では、「分ける」ことで、日本はまだまだノビシロがあると指摘。

現在の日本の労働シーンは、組織や集団から個人が「未分化」であること、すなわち組織や集団に個人が溶け込んでいるために、働き方改革も生産性向上も進展しないと喝破します。

和の精神、組織第一という価値観、家族のような会社組織、専業主婦という独特な存在・・・何もかもが会社を中心になって動いている「労働」を「分ける」ことにより、効率性を高め、生産性を上げようと提言します。

 

目次

序章 「分ける」と働き方は変わる

第1章 仕事を分ける

第2章 職場を分ける

第3章 キャリアを分ける

第4章 認知的に分ける

終章 分けて統べる

まずは、仕事を「分ける」・・・3つに類型されるとのことです。

・職務で分ける「職務型」

・専門で分ける「専門職型」

・まとまった仕事を受け持つ「自営型」

ジョブ型雇用と呼ばれる「職務型」は日本には合わないのではないかと仮説を展開し、

むしろ大工の棟梁集団のような働き方、自営型の働き方がマッチするのではないかと提言します。

 

2番目の、職場を「分ける」

現代オフィスは「創造の場」と定義、大部屋で仕切りがないのは日本だけだと指摘します。

今までのように「事務作業の場」であれば、島を作ったり全員に目が届くようなレイアウトが最適でしたが、これからは「個」の空間を取り入れていかなければ生産性は高まらないとのこと。

アイデアで勝負するGAFAのオフィスのように変わっていかなければならないとします。

 

3番目は、キャリアを「分ける」

日本のホワイトカラーはゼネラリスト=素人集団と喝破。

自己啓発で自らを高め続けるとともに、内部労働市場を形成しなければならないとします。

 

4番目は、認知的に「分ける」

認めるとは、「分ける」こと・・著者の専門である「承認」をうまく使えと指摘します。

自分が手掛けた製品に自分の名前を入れる・・・といった面白い事例が出てきます。

「分ける」は、分かること。

著者の提唱する4つの「分ける」で日本の労働慣行を分解すれば、新しい働き方が見えてくるように思います。

人事担当者、管理者、経営者にお勧めの一冊です。


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