キャッチコピーは「これからの日本を生き抜く希望の書」。
少子高齢化、人口減少、景気減速、国際競争力低下といった課題山積のこの国。
コンサルタント冨山さんと作家成毛さんの往復書簡の新刊が出ました。
2025年日本経済再生戦略 国にも組織にも頼らない力が日本を救う
冨山和彦・成毛眞著 SB新書 990円
冨山和彦さんは産業再生機構で活躍、現在は経営共創基盤(IGPI)会長。
成毛眞さんは元日本マイクロソフトの社長を務められたベストセラー作家です。
目次
第1章 100%自己責任時代が始まる 日本はなぜ二流国になったのか
第2章 日本経済再生戦略 イノベーションで革命を起こせ
第3章 これからの日本をどう生きるか もう学歴に価値はない
第4章 日本経済を救う処方箋 「自分勝手」が国、会社、個人を変える
同書のコンセプトは、「昭和」的なものからの脱却。
旧態依然の国や会社が、この国の競争力を弱め、二流国への転落の淵にあると指摘します。
そのためには、「二重の保護」と言われる国が会社を守り、会社が社員を守る図式を変えなければイノベーションは起きないと言及します。
つまり、昭和育ちのオジイサンたちは退出いただき、若者が活躍できる舞台を作らなければならないとします。
失われた30年間・・・この国は何も変わりませんでした。
著者二人の助言です。
今の現役世代は国に頼るのではなく、したたかに自分の身を守りながら、自分なりに楽しく幸せな人生を作っていくことを考えた方が良い。
多くの日本企業が政府に「おんぶにだっこ」なので、生産力も国際競争力も落ちている。
「空気を読まない」「権威・権力に屈しない」。そんな自分勝手に生きる個人こそが、今後は生き残っていく。
組織に柔軟に生きて将来が好転するような時代ではない。国のため、会社のためという価値観も、とっくに脱却しているべき昭和の遺物。
ホワイトカラーの仕事については、今後、激減。管理職も不要な時代が到来する。
覚悟を決めて自己トランスフォーメーションに取り掛かることだ。要は「学び直し」である。
自分の素養や能力を真に活かし、人の役に立てる新たな場所を見つければいいのである。今の環境にいることが唯一の道ではない。
最低でも2回転職せよ。まずは副業。
「業」をもたぬがゆえに、帰属している会社組織でしか生きていけないような「ガラパゴス人材」になってはいけない。
若者は上場企業よりユニコーンを目指せ
卓越した若者が育ち、集まる土壌の整備を急げ
日本を再興させるのはカネよりもイノベーション イノベーションは「パクリの掛け算」でいい
そもそもの問題は、昭和から続く、一律的な学校教育。
確立された「正解」がありねそれにどれだけ早くアジャスト(適合)するか。明治から昭和にかけての日本は、マクロで見れば、この1点のみで勝負していた。
日本ばかりか世界的に大学ギルドが崩壊している時代潮流からは、東大生も逃れられない。
日本は明治の伝統より、江戸時代のスタイルに立ち返れ
ラテンの国々の気楽な暮らしぶりと、江戸時代の庶民の気ままな精神性は不思議と符合する
悲観的にならず、自分の力で出来る事がたくさんあることを信じて行動することはやはり大事。
いろいろな意味でインスパイアされる一冊です。
脱・昭和の価値観・・・。
「無理ゲー社会」をサバイバルするために必読の一冊だと思います。