「定年からが、けっこう長い 知的に、楽しく、健康的に」
日本を代表する英文学者で、上智大学で教鞭をとっていた渡部昇一さん。
シニアライフを充実させるための一冊を遺されています。
60歳からの人生を楽しむ技術(新装版)
渡部昇一著 祥伝社 700円+税
「楽しむ技術」とありますが、単なるハウツー本ではなく、博覧強記の知の巨人、学者生活の中から、導き出された考え方、やり方が33の具体例で解説されていきます。
インスパイアされる内容になっています。
5年前に87歳で亡くなられた渡部昇一さん。
蔵書を整理するため、80歳の時に、自宅を新築し100坪の書斎がある180坪の家を新築したそうです。
東京都内ですので巨額な建築費がかかったのではないでしょうか。
英語学を中心にした15万冊の蔵書・・・日本のプライベート図書館としては最大のものだそうです。
その蔵書を死ぬまでに整理して死にたいという思いが、レスフーリッシュ・・・多少無謀でも、そっちの方が幸せと決断して実行したそうです。
本当にすごい方です。
亡くなるまでの最期の5年間は、自分が設計した書斎にこもり、大好きな本に囲まれて過ごされていたのだと思います。
著者は、若き日に出したベストセラー「知的生活の方法」出版の時から、書斎にこだわっていました。
知的生活には知的空間が必要だと指摘。
事実、自分の書斎を持つまで結婚されなかったということです。
安岡正篤先生は、書斎は男のバイオトープであり、書斎を持たない男は駄目になると喝破されています。
同書には、勉強法や健康法なども紹介されており、勉強になります。
最期には、まとめとして25のアドバイスが掲載されています。
一部を紹介させていただきます。
晩年は「賢明さ」より「楽しさ」が大切
時間はたっぷりあるので焦らなくていい
文科系の世界に生きがいを見つけるのが賢明・・・ちなみに、仕事や労働は理科系の分野だそうです
「自分もああなりたい」という存在を思い出そう
自分の能力が生かされることは何か?
若いころにやり残したことは何か?
願望は紙に書いて貼っておこう
実現の手段は考えなくていい
15歳に戻ったつもりでスタートしよう
将来のことを考えて今日を生きなさい
恍惚となる時間を増やそう
毎日、音読する習慣を付けよう
脳の活性化のために舌の運動をしよう
「職務」を作って忙しく生きよう
毎日30分昼寝をしよう
寝室を分けて一人で寝よう
同書は、ハマトンやマーフィーなどからの引用もあり、リベラルアーツも楽しめる内容になっています。
定年間近の方、定年を迎えられた方に読んでいただきたい一冊です。