雨が降り続いています。
天気予報は明日も降水確率は90パーセント。
もうすぐゴールデンウィーク。
雨が降り続いています。
円安の関係もあり、日本のGDPランキングは世界第4位に転落・・・。
中国のGDPでは既にダブルスコア・・・。
自信を失いつつある島国ニッポン・・・。
人口減少や国際競争力低下、円安進展や年金財源など前途多難です。
そんな中、米国の経営学者が日本企業、日本経済へのエールを贈る一冊を刊行しました。
シン・日本の経営 悲観バイアスを排す
ウリケ・シェーデ著 渡部典子訳 日経プレミアシリーズ 1100円+税
著者のウリケ・シェーデ博士は、カリフォルニア大学サンディエゴ校大学院教授。
日本の企業戦略、組織戦略などの研究が専門。
一橋大学、日銀で9年以上の在住経験を持たれています。
帯には、冨山和彦さんが、「これは21世紀版ジャパン・アズ・ナンバーワンだ」と推奨されています。
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とは、米国の社会学者ヴォーゲル博士の書作「Japan as Number One(1979年)」。
バブル経済に浮かれていた日本の経済界に油断のスキを与えた一冊です。
目次
第1章 再浮上する日本
第2章 2020年代は変革の絶好の機会である
第3章 舞の海戦略へのヒボット
第4章 優れたシン・日本企業に共通する7P・・・利益、戦略、危機意識、効率性、透明性、リーダーシップ、幸福感
第5章 舞の海戦略の設計
第6章 日本のタイトなカルチャー
第7章 日本の企業カルチャー タイトな国でいかに変革を進めるか
第8章 日本の未来はどうなるか 日本型イノベーションシステムへ
第9章 結論「シン・日本の経営」の出現
著者は、長年の日本研究の中からファクトベースで「日本は世間で言われているよりはるかに強い」と指摘します。
日本企業はよみがえりつつある
1990年代から2010年代は「失われた時代」ではない。産業構造、企業経営、戦略が大きく変わるシステム転換期である。
遅いのは停滞ではない。遅いのは、「安定」と引き換えに払っている代償である。
グローバルな最先端技術の領域で機敏で賢い企業が新たに出てきた
技術の最前線で競争し飛躍的イノベーション、行動変革へと進む道筋を「舞の海戦略=技のデパート」と呼ぶことにした
「タイトな文化」を持つ日本と、「ルーズな文化」を持つ米国とは異なる
シリコンバレーやユニコーンなどは、日本のイノベーションのお手本にはならない
一番、「お見事!」と思ったのは、「舞の海戦略」=「技のデパート」というネーミングの妙。
巨大な力士・曙や小錦ではなく、舞の海。
そういえば、バブル経済の時、ニッポンのメガバンや総合電器企業が世界の時価総額ランキングに会社名を連ねていました。
今では、トヨタでさえ、トップ10圏外です。
でも、著者は言います。
グローバルな最先端技術の領域で機敏で賢い企業が新たに出てきた。
キーエンス、ファナック、ヒロセ電機、ローム、テルモ、日本トリム、島精機、ユーシン精機、ウシオ電機、ディスコ・・・。
中堅企業ですが、高度技術の専門分野で世界トップシェアを占める企業群です。
これらの企業抜きでグローバルなサプライチェーンを構築することは出来ません。
米国や中国、韓国でもこれらの日本企業に頼らずにバリューチェーンを築くことは不可能です。
これらの企業は、まさに「技のデパート」・・・小さな身体で巨大な相手を倒した舞の海関というわけです。
素敵な提言をしていただいて感謝です・・・日本の未来に勇気と希望を与えていただいたと思います。
「両利きの経営」「再興 ザ・カイシャ」なども担当した訳者の渡部典子さんも、こなれた経営用語、経済用語を使った読みやすい日本語で著者の主張をうまく引き出しています。
最終章で著者は、こう締めくくります。
バランス(安定)をとって繁栄するシン・日本・・・日本には希望がある