伊藤元重さんは、東京大学大学院教授。
日本を代表する経済学者の一人です。
近代経済学のみならず、流通小売の高い知見を持たれている学者。
東大名物教授がゼミで教えている 人生で大切なこと
伊藤元重著 東洋経済新報社 1400円+税
同書の序章にも書かれていますが、ハーバードのクリステンセン教授の伝記にインスパイアされて世に出ることになった「人生で大切なこと」。
伊藤さんの伝記部分は、最終章に出てきますが、同書の位置づけは、若手のための「知的生産の技術」を集大成した一冊と位置付けることが出来ると思います。
しかも、実証済みの知的なメソッドのため、勉強、研究、仕事などに役立ちそうです。
目次
序章 人生に戦略があってもいい
第1章 読む、書く、話す力を鍛える
第2章 発想力を鍛える
第3章 効率を上げ、仕事の質を高める
第4章 現場からめいっぱい学ぶ
第5章 ロールモデルを探せ 私の20~30歳代
序章では、レイバーからワークへ・・・そしてプレイへ。
自分にしかできない仕事をするプレイヤーになろうと提唱。
そのために、自分がやりたいことを常に見つめ直すことの必要性を説きます。
序章は、まさに伊藤先生のキャリア論ということが出来ます。
第1章の「読む、書く、話す力を鍛える」は、知的生産技術の土台となる「ヨミ・カキ・ソロバン」。
読書術、速読、ゆっくり読むことの醍醐味、魅力的な書棚を作ること、研究会メモのテクニックなどを具体例を交えて解説されています。
第2章の「発想力を鍛える」では、整理術、スケジュール管理、講演の方法、立っての読書などの秘技が紹介されています。
第3章の「効率を上げ、仕事の質を高める」では、毎日考える時間をとること、資産分散と人生設計、差別化理論、行動経済学の活用などに触れ、QCDを追及していきます。
特に、「資産分散と人生設計」は秀逸の解説。
必読の文章です。
仕事や勉強で壁にぶち当たっている人、大学生、院生に読んでいただきたい一冊です。
1時間で読めるコスパの高い本だと思います。