ジェンダーギャップ指数2021・・・日本は先進国でダントツの最下位・・・なんと120位です。
世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が2021年3月、「The Global Gender Gap Report 2021」を公表しました。
各国における男女格差を測るジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)を発表。この指数は、「経済」「政治」「教育」「健康」の4つの分野のデータから測定されます。
2021年の日本の総合スコアは0.656、順位は156か国中120位(前回は153か国中121位)でした。前回と比べて、スコア、順位ともに、ほぼ横ばいとなっており、先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となったとのこと。
思い起こせば、日本のジェンダー対策は35年間にわたって行われています。
1986年 男女雇用機会均等法制定
1999年 男女共同参画社会基本法制定
2005年 次世代育成支援対策推進法制定
そして、前の自民党政権による女性活躍推進・・・。
女性のリーダーを30%まで引き上げるという国際公約・・・です。
でも、数値面を見ると、女性活躍度は、国際的に比較しても、ずっと下位のランキング・・・女性が活躍する舞台は男社会と言われるニッポン株式会社には浸透しないのでしょうか?
日経文庫 女性が活躍する会社
大久保幸夫・石原直子著 日本経済新聞出版社 830円+税
今回取り上げる書籍は、今回の女性活躍推進のムーブメントは、これまでの理念面で動かなかった流れとは異なると指摘します。
その理由は、次の3つです。
理由1・・・女性をリーダーに登用しない企業は、どこの国でも受け入れられないから
理由2・・・もう会社内には十分な数の女性がいる。機は熟しているから
理由3・・・今までとは異なり政府が真剣に取り組んでいるから
まさに、そのとおりだと思います。少子化も進行し、人口の半分を占める女性の活躍がなければ国力も弱体化もどんどん進むと思います。
10年前、私が大好きな売れっ子経営コンサルタントのトム・ピーターズさんも、女性が産業社会で男性を上回る力を発揮し、女性を中心としたビジネスという近未来図を描いています。
そういえば、大学の試験だって、入社試験だって・・・そのトップは女性が占めているのが現状・・・要は女性の方が優秀である可能性が高いのです。
本当の男女参画社会、ダイバーシティ社会になれば、「男はつらいよ」の世界になってくると思います(笑・・・シャレになりません。必死で頑張らねば・・・)。
◆目次
第1章 女性育成の常識は間違いだらけ
第2章 女性活躍推進が経営戦略の最重要テーマに
第3章 数値目標は是か非か
第4章 この機会に労働時間を見直す
第5章 新人女性を確実にリーダーに育てるシナリオ
第6章 女性活躍推進は女性のためにあらず
今回、一番の気づきとなったのが第1章の「女性育成の常識は間違いだらけ」のセッション。
- ロールモデル探しは誤り→思考停止に陥る
- 長い育休と短時間勤務が女性のキャリアを阻害
- 安易なスペシャリスト化は成長を止める
- メンターよりスポンサーが大事
今までベストな施策と言われ現場で進められてきた対応策が実は、逆であったことを事例を交えて指摘していきます。
例えば、テレビニュースや新聞などでたまに報道されていますが、「ホカツ」・・・保育所探し活動で苦悩するワーキングマザーが疲弊していくことを改めて認識・・・働きたくても働けない状況を同書は指摘しています。
そういった一つひとつの課題を社会的にしっかりと補強していくことは、最低限必要なことだと考えます。
そして、女性のキャリア形成という点から、同書では4段階のステップモデルを提言しています。
- 女性の得意技はスタートダッシュ 入社時点の「期待」で女性は「覚悟」を決める→入社直後からトップギアで走ってもらうためには事前準備が必要。
- しっかりジョブローテーション・・・最初の5年で3つの仕事を経験させる。
- さっさとリーダーに・・・5年後、リーダー職級に昇格させる
- そして、舞台に上げる
著者の一人大久保さんは、キャリアの専門家でもあり、同書では女性ならではのキャリアの提言が散りばめられています。
今の状態から脱するためには、もうクォーター制の強制導入しかないような気もします。
「女性活躍推進」というコンセプトが、今一つピンとこないオジサマ方には、ぜひ一読いただきたい一冊です。