数年前に金融庁が発表して、すぐに引っ込めた「老後に2000万円必要説」。
世間を騒がせましたが、実際には5000万円必要説、1億円必要説まで飛び出してきました。
少子高齢化、人口減少が続く中、公的年金は持ちこたえられるのか?インフレはどうなるのか?日本国の国際競争力の低下は続くのか?といった課題がますます複雑に絡み合ってきています。
最近、書店に行くと定年本、老後本、年金本のコーナーが出来ていて驚きます。
中高年の方々の不安というニーズがあるんでしょうね。
その中から興味深い一冊を見つけました。
年金20万円・貯金1000万円でどう生きるか?60歳からのマネー防衛術
岩崎博充著 ワニブックスPLUS新書 900円+税
著者は、68歳の経済ジャーナリスト。
経済関係、マネー関係の書籍を多数出されている方です。
同書では、丁寧な取材、確かなエビデンスを積み重ねて、いろいろな提言をしていきます。
著者は、「65歳の夫婦が毎月26万円使って平均年齢まで生きると約1100万円不足する」と指摘しています。
このため、預けっぱなしの銀行預金を引き出して分散投資、海外の金融商品のウエイトを高める、金や暗号資産について学ぶ、不動産投資、ヘッジファンドについて調べるといった対応策を紹介しています。
ただ、理解できない事、分からないことに投資することは超危険・・・余裕資金があれば、少しずつ試してみることが大切だと思います。
目次
第1章 定年後にいくらかかるかを現実的に検証する
第2章 日本の年金制度はいったいどうなっているのか
第3章 年金制度が破綻しても生き残るサバイバル術 基礎編
第4章 年金制度が破綻しても生き残るサバイバル術 実践編
第5章 貯金ゼロ!何が何でも公的年金だけで暮らす
第6章 老後を楽しむために、するべきこと やめること
第7章 スマホを使って人生と財布を豊かにする方法
第8章 定年後に趣味を活かす仕事、趣味程度に稼げる仕事
第9章 遊びのライフプランを立てよう
面白かったのが、第6章の「老後を楽しむために、するべきこと やめること」。
定年後、老後のお楽しみについて解説されています。
1 とりあえずスマホ、PCを買う・・・社会との接点
2 現役世代が働いている時間、時期に楽しむ・・・居酒屋、旅行
3 運動を心がけ、健康オタクになる
4 趣味は文武両道で、バランスのとれた日常を送る
5 地域密着の人間関係をつくる
なるほどです。
また、人生をもっと楽しむためには、60歳代のうちに、やりたいスポーツへの挑戦や登りたい山へ登る、マリンスポーツで楽しむことが大切だと指摘しています。
70歳代になれば、パック旅行や園芸にお金を使うことが良いそうです。
そして、80歳代になれば豪華客船による旅行もありだと指摘します。
昨年ベストセラーになった米国の事業家が書いた「Zero to die(持ち金ゼロで死ぬ)」。
死ぬ間際に一番金を持っていると言われる日本人にとって目からウロコの一冊でした。
また、同書では、生活費節約のためにやめることについても解説されています。
1 年賀状をやめる
2 お中元やお歳暮をやめる
3 冠婚葬祭を整理する
4 実家を整理する
5 墓じまいを考える
6 昔の肩書を捨てる
「するべきこと」より「やめるべきこと」の方が一つ多いです(笑)。
年金に対する不安、不信、老後のマネープラン、楽しみ方について関心のある方は、必読の一冊です。
世界では戦争や紛争が続いていますし、株価はバブル状態、マーケットにはマネーがジャブジャブ、地震や天災もいつ来てもおかしくない状況です。
絶対に正しいという選択肢がない時代です。
であれば、自分の好きなこと、納得できること、やり残したことについて、余生を捧げるのが良い方法だと考えています。
年配の方、シルバーの方、お楽しみはこれからです!