もういちど読む山川倫理
1500円+税 山川出版社
山川と聞いただけで、暗くなる人も多いと思います(笑)。
暗記科目だった日本史、世界史、地理、倫理などの社会科科目の教科書を出している出版社です。
欄外の小さな文字から出題、別冊のカラーの参考書など、山川の世界は深いものです。
昨年出された「山川倫理」。
購入後、積読となっていましたが、改めて読むとなかなか味わいのある高校教科書です。
これが、社会人向けに編集されたものなのか、高校で使用されているものをそのまま転用しているのかは?ですが、たいへん読みやすく、ニュートラルな視座から編集されているので好感がもてます。
目次
第一章 思索の源流
第二章 西洋の近代思想
第三章 日本の思想
第四章 現代の倫理的課題
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序章を含めて、五つの章から構成されています。
腰帯のキャッチコピーが「さあ哲学をはじめよう!ニーチェもブッダもプラトンも・・・」。
古代から近現代までをカバーする同書は、バラバラになっている知識を体系的に整理するには、もってこいの一冊だと思います。
デカルト、カント、ヘーゲルまで、哲学の基礎知識がなくとも理解できる分かりやすい解説が加えられています。
もう一度、哲学にチャレンジしようという人には、良きガイドになると思います。
小学生低学年の頃、なぜ歌謡曲は男と女の話しか出ないのか?と真面目に考えていたことがあります。
自然の偉大さや宇宙の広さを歌った歌謡曲があってもいいと思っていたのです(今はJポップと言うそうですが・・・)。
そして、母親の女性雑誌を盗み読みで、これまた何故惚れたハレた話しかないのか?と不思議に思っていました。
しかしながら、年ごろになると、アタマの中はその手の妄想ばかり・・・。
成長とともに認識が変化していくのです。
高校の教科書も同様です。
高校の時に、こんなことを知っていたって社会じゃ役に立たないよな、と思っていたことが、世間様で何十年も過ごす中で知識の価値が変化していくのです。
社会人がよく口にする「学生時代に、もっと勉強しておけば良かったなあ」というフレーズも同根だと思います。
必要なときの「学び」は、まさにプラグマティズム。
親から学費を出してもらって、いやいや行っていた学校や塾。
今では、自腹を切って、時間を捻出して、大学院やセミナーに行ったり、山のような本を買う自分。
時間の経過を、山川倫理を読みながら考えずにおれない夏の一日でした。