夏休みは、クーラーのきいた部屋で、好きな音楽を聴きながらする読書が最高の贅沢。
省エネに気配りをしながら、書斎にこもっている昨今です。
というわけで、今週のテーマである西洋哲学史。
以前読んだ哲学史の書籍、放送大学の印刷教材等を引っ張り出しての読書です。
個人的には、大学の教養課程の時から哲学が好きで、難解で分からないことが少しずつ理解できていくプロセスを楽しんでいました。
古代ギリシャから始まって、神学論争、英国経験主義哲学、大陸合理論、カント哲学、実存主義哲学、言語ゲームまで、哲学は「知」のアーカイブということが出来ます。
最近では、実存主義哲学に共感をもっていて、キルケゴール、ハイデカー、サルトルなどの思考をなぞって密かな喜びを感じています。
哲学史は、過去の賢人がアタマをフル回転させた「問い」と「答え」の地層のようなもの。
この時も、こんなことで悩んでいたんだと興味深さと知的喜びを刺激されます。
自分自身は、実務家として「マネジメント」に携わっているのですが、そこで使われる思考の枠組みは、ほぼ先達の哲人、賢者によって築かれたものといえます。
「あるべき姿」や「ビジョン」などはプラトン哲学の二項対立そのものですし、
目標管理はルネ・デカルトの主観・客観論、
サルトルの実存主義哲学は働くビジネスパースンの精神的支柱となりうるものです。
ドラッカーのマネジメント論も、博覧強記なリベラルアーツを土台に持つことで、重厚さ、普遍性を担保していると考えています。
欧州の哲学、文学、神学などがドラッカーマネジメントのバックボーンとして鎮座しているのです。
小職のように、経営学や法学からマネジメントの世界に入った人間にとって、このリベラルアーツ、人文科学の知識や知恵がプアなため、どうしても薄っぺらになりがちです。
この反省も踏まえ、この十年くらいリベラルアーツの基礎学習を継続しているところです。
放送大学の印刷教材は、体系的に整備されており、ゼロベースからの学習に最適です。
野中郁次郎先生も、最近、経営やCSRを語る場合、フロネシスというコンセプトを多用されています。
これは、たしかアリストテレスの道徳論です。
法律や厳格な内部統制で行動を縛り上げるよりも人間の持つ理性、知恵で経営行動をより良いものにしていくということなのだと理解しています。
哲学の夏を楽しみます。