世の中には、どう頑張っても足元にも及ばない人がたくさんいます。
若き日、裏千家のお師匠さんから言われたフレーズがあります。
「(お点前しながら)あれなら私でも出来るというのは、その相手が自分よりはるかに先に行っているということ。あの人は凄いというのは、死ぬほど頑張っても決して追いつけないということです」
そんなスゴい人の一人が昨年末に亡くなられた伊集院静さん・・・享年73歳。
仕事はデキる、ダンディ、超一流の遊び人、女性にモテモテ、スポーツ万能・・・。
映画に出てきそうな人生です。
死ぬほど頑張っても絶対追いつけない人です。
書斎の本棚の奥から、伊集院さんの図書が出てきました。
大人の男の遊び方
伊集院静著 双葉文庫 611円+税
馬車馬のように働いていた若き日に、何となく憧れて買った一冊だと思います。
著者によると「遊び人」とは、「バカなことを(本気で)する人」とのこと。
そして、「粋(いき)」でなければならないと指摘します。
九鬼周造博士の「いきの構造」を思い出します。
目次
序章 遊び人のヤセガマン
第1章 良き酒の飲み方 酒は人生の友である
第2章 人との出逢いは宝
第3章 ゴルフは品格である
第4章 ギャンブルで得るもの、失くすもの
第5章 カジノの遊び方
第6章 麻雀の美しさ
伊集院さんは、同書の中で、若い人たちに向けて「遊び」の助言をしています。
「一流の遊びをしてこそ、一流の生き方が出来る」「遊びには流儀があり、流儀やマナーを守ることがダンディズム」と喝破します。
実にカッコいいです。
酒は最初の店の隅で飲め
自分の財布に合った店(酒場)を探す
一流ホテルのバーで酒を飲んでいる男は皆一流の男
人との出逢いは宝である
ゴルフを続ければ10年長生きする(城山三郎さん)
ギャンブルには快楽がある・・・海外カジノ、ルーレット、バカラ、ポーカー
ギャンブルは記憶の遊び
人生は自分が思うようにいくものではない
伊集院さんは人生を賭けて、作家・作詞家として仕事をし、恋をし大女優の夏目雅子さんや篠ひろ子さんと結婚し、大酒を飲み、いくつものギャンブルをし、そして73歳の時、旅立たれました。
すごい人生です。
「遊び人」という称号も、ご本人は嫌がっていない様子です。
伊集院静さん、五木寛之さん、吉行淳之介さん・・・銀座のバーで伝説を遺した作家は、かっこいいです。
銀座のバーで飲んでいる吉行淳之介さんを見て、東郷青児画伯がフランス語でつぶやいたそうです。
「いつ見ても、いい男だね」
これに対して吉行さんは、切り返しました。
「あなたには、かないませんよ」
フランス語で返答したそうです。
大先輩を見習い、まずはホテルのバーのカウンターの隅っこでスコッチのオンザロックを飲むことから始めたいと思います(笑)。