日経ビジネス2012.12.3号20ページに、銀座ルノアールとキーコーヒーが提携するとの記事。
卸売事業の安定化と郊外の新型業態の開発が狙いとか。
この「昭和の喫茶店」というフレーズに思わず笑みが浮かんでしまいました。
喫茶店からカフェへ・・・呼び名や業態も変化しつつあります。
いわゆるニッポンの喫茶店がドンドン姿を消し、スターバックス、タリーズ、ベローチェ、サンマルクカフェなどが台頭。
ルノアール、珈琲館など昭和の空気を残した喫茶店はわずかになってきました。
「昭和の人」としては、ほんとうに残念です。
カフェの歴史をたどっても、近代巴里、倫敦以来、カフェは人が集まり、語り、珈琲とともに紫炎が漂う文化の香りが漂う特別な場所・・・。
それが、今では「個」がスマホを一人見ながら、ただコーヒーを飲むといった場所になっていました。
全国どこでも同じ味、同じマグカップのコーヒーチェーン店、オペレーション上、店の作りも同じです。
喫茶店にになくてはならない不健康さやけだるさ、後ろめたさといったものもなく、煙草を吸う人は、奥の金魚鉢に閉じ込められます。
学生時代を過ごした神田神保町。
そこには、老舗の喫茶店がたくさんありました。
昭和の喫茶店ならぬ明治大正の喫茶店といったお店もありました。
キャンドル、さぼうる、ラドリオ、ロザリオ・・・。
店名だけでも文化の香りが漂ってきます。
学生や社会人が集まり、煙もうもうの中、一杯の珈琲を飲みながら議論を戦わせる、馬鹿話で盛り上がるなどなど、よくもまあ、あれだけの時間を、あの空間で過ごせたものだと感心してしまいます。
そのある意味健全な不健康さ、俗世間から離脱、隔離された自由空間、煙草をバカバカ吸えた今では考えられない解放区・・・。
そんな場所が今ではないように思います。
しいて言えば、サッカーを応援するスポーツバーあたりが、その近いイメージでしょうか?
天然記念物としての希少価値を持つ「昭和の喫茶店」。
大切にしていきたいと思います。