アニマルスピリット・・・経済学の父アダム・スミスが遺した言葉です。
動物のような野生のサバイバル能力といったところでしょうか。
戦後の焼け野原から奇跡の高度成長を成し遂げた日本企業も、アニマルスピリットを持った経営者が陣頭指揮で経営を展開しました。
ソニーや本田技研工業などキラ星のような企業が中小企業からグローバル企業として羽ばたいていきました。
今週号の日経ビジネス誌2024.3.18号の特集は「ダイキン野生の経営 世界を制す4兆円企業の中小企業」。
大阪金属工業から世界のダイキンに昇りつめた元中小企業の経営史を楽しく読むことが出来ました。
我が家のエアコンもダイキン製・・・故障もせず電気代もあまりかかりません。
コンテンツ
Part1 北米1位へ得意技 ルールメイキング
Part2 インド人首脳に託すアフリカ戦略 現地化戦略は第2幕
Part3 戦略は二流でも、一流の実行力を 欧州でもドブ板営業 国は違えど凡事徹底
Part4 買収判断も事後報告 自律する社員たち
地味で泥臭いダイキン経営。
欧米の横文字やビジネススクールのようなフレームワークもありませんが、現場密着でドブ板を重視する企業文化、風土は、昨今の日本人が忘れていたものです。
われわれは中小企業、常に謙虚であれ 十河社長
社員を野人に育てる 井上会長
毎年4月の新入社員教育の時期には、本社から役員や本部長の姿が消えるとのことです。
幹部社員が直接新入社員を指導するとのこと。
今でいう人的資源経営をDNAのように昔から実践していました。
単なる偏差値エリートでは活躍できない優れた社風、企業文化があります。
「戦略は二流でも、一流の実行力」「1.5流の人材を10倍成長させる」・・・。
凡事徹底で顧客に寄り添い、今では世界を制す4兆円企業のグローバル企業になりました。
さらに、インド人首脳にアフリカ戦略を任せ、アフリカでも泥臭い営業を展開しています。
同社の人材育成方針も紹介されていました。
1 権限移譲を徹底、事後報告をとがめない
2 失敗の奨励、チャンスを与え続ける
3 出る杭は認める、やる気を尊重
軍隊のような日本の会社では、なかなか出来ないことです。
成果主義、実力主義・・・一見、ブラック企業ですが、人財の個性を尊重して育成するホワイト企業だと思います。
日本的な企業ダイキン・・・そのスゴさは世界的なルールメイキング出来ることにつきます。
失われた30年間、日本は常にGAFAM(グーグル、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト)やEU、中国などの作ったルール、土俵で勝負するしかありませんでした。
自ら有利なルールを創出し、その土俵、リングで戦う・・・ダイキンを世界一にしたベースだと思います。
株価も一時期4万円台に乗せた日本経済。
ルールメイキング出来るグローバル企業を増やしていくことがニッポン復活の鍵になると思います。