武装集団に2人の子どもとともに拉致され、奴隷市場に出されハデルさん(31歳)。
ISメンバー計7人に所有され、度重なる性暴力の末に2度妊娠と堕胎を強いられたハデルさんは、毎日新聞の千脇康平記者の取材に応じた。
「あなたは人生をかけ、伝え続けてくれますか―。ハデルさんの言葉は、そんな問いかけであったように、私の心に重く響いている」千脇康平記者
ヤジディー教徒はムスリム(イスラム教徒)から邪教扱いを受けることがあるとされる。
イスラーム過激派は、キリスト教徒より、「邪教」であるヤジディーの信者に激しい憎悪を向けるとされる。
大半のイスラム教徒からは悪魔を崇拝する異端者とみなされている。
教徒の居住区はイラク北部に広がり、周辺の宗教勢力、武装勢力との対抗上、比較的アメリカ寄り立場を取るため、しばしばイスラム系武装勢力の攻撃対象となる。
サッダーム・フセインの政権下では、村落破壊と強制移住が強いられた。ただし、サッダームはヤズィーディー、ムスリムを問わず、クルド人全てを迫害した。
ISの性奴隷だったヤジディー教徒の苦悩。
ISは2014年、北部イラクを制圧すると、6400人以上のヤジディー教徒の女性と子どもを奴隷とし、若い女性とティーンエージャーは強制的にIS戦闘員と結婚させられた。
ISのレイプにより生まれた子どもたちも多数。
IS戦士の子供を孕んだ“性奴隷”教徒の女性たちの悪夢は続く
2016年6月、国連の調査によって、ISがこれまでにクルド系ヤジディー教徒約40万人を誘拐したことが発覚。
大量虐殺や女性の性奴隷化をおこなっていると通信社「ロイター」が報じた。
1人あたり1000ドル(約10万円)ほどの値段で売られて性奴隷として扱われているという。
また、米紙「ニューヨーク・タイムズ」の取材によって、ISはヤジディー教徒の女性たちに避妊ピルやホルモン注射などを投与して、徹底した避妊を行っていたことが明らかになった。
女性が妊娠してしまうと、性奴隷としての価値がなくなり、売り飛ばせなくなるからだ。妊娠を避けるためにと、肛門性交を強要された女性もいた。
