この映画を観たのは、多感な高校生のころだった。
赤は軍人、黒は聖職者。
『赤と黒』(Le Rouge et le Noir)は、スタンダールの長編小説『赤と黒』を原作とした1954年のフランス・イタリア合作映画。
1954年に日本で初めて公開されたのは144分の短縮版。
脚本 ジャン・オーランシュ
ピエール・ボスト
原作 スタンダール
製作 アンリ・デューチュメイステル
ジャンニ・ヘクト・ルカーリ
キャスト
ジュリアン・ソレル - ジェラール・フィリップ: ナポレオンに憧れる野心家の青年。
ルイーズ・レナール - ダニエル・ダリュー: 町長夫人。ジュリアンと愛し合う。
マチルド・ラ・モール - アントネッラ・ルアルディ: 侯爵家令嬢。
ラ・モール侯爵 - ジャン・メルキュール: マチルドの父。ジュリアンを秘書にする。
レナール氏 - ジャン・マルティネッリ: ベリエールの町長。ルイーズの夫。
ピラール神父 - アントワーヌ・バルペトレ: ブザンソンの神学校長。
エリザ - アンナ・マリア・サンドリ: レナール家の小間使。ジュリアンに想いを寄せる。
シェラン神父 - アンドレ・ブリュノ: ジュリアンの師。ピラール神父とは30年来の親友。
あらすじ[編集]
1884年版のイラスト
ブザンソン近くの貧しい製材屋の末息子であるジュリアン・ソレル(訳によってはジュリヤン)は、才気と美しさを兼ね備えた、立身出世の野心を抱く新時代の青年である。初めは崇拝するナポレオンのように軍人としての栄達を目指していたが、王政復古の世の中となったため、聖職者として出世せんと、家の仕事の合間に勉強している。
そんなある日、ジュリアンはその頭脳の明晰さを買われ、町長・レーナル家の子供たちの家庭教師に雇われる。レーナル夫人に恋されたジュリアンは、最初は夫人との不倫関係を、世に出るための手習いくらいに思っていたが、やがて真剣に夫人を愛するようになる。しかしふたりの関係は嫉妬者の密告などにより、町の誰もが知るところとなり、レーナルが街のもうひとりの実力者と決闘しかけるなど騒ぎが大きくなったため、ジュリアンは神父の薦めにより、神学校に入ることとなる。
そこでジュリアンは、校長のピラール神父に神職者には向いてないと判断されるものの、たぐい稀な才を買われ、パリの大貴族、ラ・モール侯爵の秘書に推薦される。
ラ・モール侯爵家令嬢のマチルドに見下されたジュリアンは、マチルドを征服しようと心に誓う。マチルドもまた取り巻きたちの貴族たちにはないジュリアンの情熱と才能に惹かれるようになり、やがて2人は激しく愛し合うようになる。
マチルドはジュリアンの子を妊娠し、2人の関係はラ・モール侯爵の知るところとなる。侯爵は2人の結婚に反対するが、マチルドが家出も辞さない覚悟をみせたため、やむなくジュリアンをある貴族のご落胤ということにし、陸軍騎兵中尉にとりたてた上で、レーナル夫人のところにジュリアンの身元照会を要求する手紙を送る。
しかし、ジュリアンとの不倫の関係を反省し、贖罪の日々を送っていたレーナル夫人は、聴罪司祭に言われるまま「ジュリアン・ソレルは良家の妻や娘を誘惑しては出世の踏み台にしている」と書いて送り返してきたため、侯爵は激怒し、ジュリアンとマチルドの結婚を取り消す。レーナル夫人の裏切りに怒ったジュリアンは故郷に戻り、彼女を射殺しようとするが、傷を負わせただけで失敗し、捕らえられ、裁判で死刑を宣告される。マチルドはジュリアンを救うため奔走するものの、レーナル夫人の手紙が本心からのものでなく、いまだ夫人が自分を愛していることを知ったジュリアンは、死刑を運命として受け入れる。