フランス革命に関係した詩人アンドレ・マリ・シェニエ

2019年09月11日 22時11分48秒 | 社会・文化・政治・経済

アンドレ・マリ・シェニエ(フランス語: André Marie Chénier, 1762年10月30日 - 1794年7月25日)は、フランス革命に関係したフランスの詩人。官能的で情感豊かな詩作によって、ロマン主義文学運動の先駆者のひとりに位置付けられている。
恐怖政治が終わるわずか3日前に、「国家反逆罪」を宣告されて断頭台の露と消えたため、その活動は唐突に終わりを迎えた。
ウンベルト・ジョルダーノのオペラ作品「アンドレア・シェニエ」などに取り上げられている。弟ジョゼフは文人・政治家。
イスタンブールのガラタ地区(現在のカラキョイ)に外交官の三男として生まれる。父親ルイ・シェニエはフランスのラングドック出身で、レバント方面で20年にわたって織物商人として働いた後、イスタンブールでフランス大使相当の地位に任ぜられていた。ギリシャ系の母エリザベト・サンティ=ロマカは、19世紀の歴史家・政治家のアドルフ・ティエールの祖母と姉妹であった。
アンドレが3歳のとき、一家はフランス王国に戻り、父親が1768年から1775年までモロッコでフランス領事を務めるものの、家族はその間フランスに留まった。数年間カルカッソンヌのおばのもとで自由奔放に育った後、パリのコレージュ・ド・ナヴァールにおいて、古典文学の詩の翻訳家として名を揚げた。
1783年にストラスブールのフランス連隊に士官候補生名簿に登載されるが、新たな経験は間もなく潰えてしまう。年末までにパリに戻り、家族の歓待を受けるとともに、母親のサロンに足繁く通った洗練された社交界の常連、とりわけルブラン・=パンダール、ラヴォワジエ、ルジュール、ドラや、少し後にはダヴィッドらと交際する。
この頃にはすでに詩人になろうと決めており、当時の新古典主義に参加しようと決心していた。特に、1784年にローマやナポリ、ポンペイを訪れたことから、強く刺激された。
ほぼ3年の間シェニエは、家族からプレッシャーや干渉を受けることなく、詩作を研究し試作に向けた。 この時期、テオクリトスやビオーン、古代ギリシャの詞花集を大幅に模倣し、主に田園詩や牧歌を書いた。この頃に書かれたか、少なくともスケッチされた詩に、「 L'Oaristys 」「 L'Aveugle 」「 La Jeune Malode 」「 Bacchus 」「Euphrosine 」「 La Jeune Tarentine 」があり、古代神話と、個人の感情や精神という感覚を融合させた。
田園詩やエレジー以外にも、教訓詩や哲学詩の詩作にも挑戦し,1783年にHermesの述作を始めた時には、いくらかルクレティウス流に、ドゥニ・ディドロの百科全書を凝縮して長編詩にすることを目指していた。
現存しているのは断片のみであるが、この詩は、宇宙における人間の立場について触れているもので、始めは孤立した状態として、そして次に社会的な状態として扱っている。また別の断片である"L'Invention"には、シェニエの詩歌に対する考え方が述べられている。

1787年に一家の友人であったアンヌ=セザール・ド・ラ・リュゼルヌが駐英フランス大使に任ぜられた際、シェニエはその秘書に指名され、3年間ロンドンに滞在することになる。だがその生活は必ずしも幸福ではなかった。イギリスではミルトンとジェームズ・トムソンに興味を示し、いくつかの自作の詩にはシェイクスピアやトマス・グレイの影響が見られるとはいえ、英文学を学んだというには程遠かった。


激動のフランス革命が舞台の名作『アンドレア・シェニエ』

2019年09月11日 21時01分22秒 | 社会・文化・政治・経済

激動のフランス革命を舞台に断頭台の露と消えた詩人アンドレア・シェニエと、伯爵令嬢マッダレーナの激しい愛を描くオペラ『アンドレア・シェニエ』

作曲はウンベルト・ジョルダーノ、美しくダイナミックな音楽で描かれた人気オペラだ。

このオペラの台本はルイージ・イッリカで、フランス革命期を背景とする実在の詩人の生涯に、老婆マデロンや小間使いのベルシなど、時代に翻弄される市井の人々の苦しみを散りばめて、ドラマの現実味を増すことに成功している。ジョルダーノは主役のみならず脇役たちにも感情や欲望、情欲をあおり立てるメロディを次々と与えて、音楽の訴える力を強めている。

また、第一幕でシェニエが歌う〈即興詩〉の歌詞などは実在のシェニエの詩作から取っている。一方でシェニエと伯爵令嬢マッダレーナの恋や敵役のカルロ・ジェラールの存在など、イッリカの創作による部分も多い。
今回の上演の魅力は、なによりも贅沢なキャストたち。タイトルロールのアンドレア・シェニエには、2013年『アイーダ』ラダメスで輝かしく力強い声で魅了したカルロ・ヴェントレで、2017年『オテロ』でもタイトルロールで出演予定だ。マッダレーナ役には、2015年『トスカ』のタイトルロールでの大絶賛が記憶に新しいマリア・ホセ・シーリ。ジェラール役は、2014年『道化師』トニオで見事な熱唱を聴かせたヴィットリオ・ヴィテッリと、まさに声の饗宴と言うべき顔ぶれが並んでいる。

指揮者は天性の才能とカリスマ性で注目を集めるイタリアの若手、ヤデル・ビニャミーニが新国立劇場初登場することも大きな話題だ
あらすじ】

第1幕
革命前のパリ。宴の準備が進むコワニー伯爵家では、父と共に奴隷のように仕える従僕ジェラールが貴族制度への不満を募らせていた。一方で彼は伯爵家令嬢マッダレーナを密かに愛している。宴が始まり、マッダレーナの求めに応じて客のひとり、詩人アンドレア・シェニエが愛の詩を即興で読むが、それは貴族制度を批判する内容でもあった。マッダレーナは大きく共感。ジェラールも己の使命を悟り、従僕の衣服を脱ぎ棄て、館から去る。

第2幕
革命から5年後。ロベスピエールの恐怖政治が敷かれるパリ。「革命の敵」と疑われ密偵に監視されるシェニエは、友人に国外脱出を勧められるも、何度も受け取る匿名の手紙の主が気になって仕方がない。その人は実はマッダレーナで、出会った2人は愛を誓う。革命派幹部になったジェラールも彼女を忘れられず、居場所を探し出して彼女を捕らえようとしたとき、傍らの男と決闘。重傷を負うが、その男がシェニエだとわかり2人を逃がす。

第3幕
革命裁判所の大広間。シェニエ逮捕の一報が入り、これでマッダレーナが自分のものになると満足したジェラールは起訴状を書き始めるが、ふと我に返り、かつて貴族の奴隷だった自分は今や情熱の奴隷になってしまったと愕然とする。ジェラールの前に連れてこられたマッダレーナは、自分を差し出す代わりにシェニエを救ってほしいとお願いする。シェニエが入廷し、自分は愛国者であり決して裏切り者ではないと主張。マッダレーナの願いを受けたジェラールも、彼への罪状は間違いだったと訴えるが、シェニエに死刑判決が下される。

第4幕
ン・ラザール監獄の中庭。辞世の詩を読むシェニエ。そこに、彼と死ぬために女囚と入れ替わったマッダレーナが来る。ジェラールは2人を救うためロベスピエールのもとへ走るが、2人は愛を誓い断頭台へ向かう。


ダメ虎にOB激怒 鍛えている割には選手の感性や精神力を感じない

2019年09月11日 20時59分22秒 | 野球

9/11(水) 東スポWeb

敗戦後、ファンに頭を下げる矢野監督
 この情けなさは一体何なのか。4位の阪神が10日、最下位・ヤクルト戦(甲子園)を延長10回4―5と落とし、NPB3球団目の通算5000敗。この黒星で3位・広島とは4・5ゲーム差と広がり、自力でのCS進出の可能性が消滅した。

 矢野燿大監督(50)は「俺たちはもう総力戦で行くしかない。戦う気持ちを見せて一戦必勝でいく」と気合を入れて挑んだが、この日も再三の好機にあと1本が出ない“ネコ打線”。ベンチは先発した秋山を3回で見切り、救援陣をフル回転させたが、同点で迎えた延長10回、ドリスが勝ち越し点を許し、そのままジ・エンドとなった。

「こういうところで投げさせてもらっている以上、自分の責任」と敗因を背負ったドリスに、指揮官は「やっぱり点を取るところで取れないとこういう試合になるよ」と今季最短となるわずか60秒で会見を打ち切った。

 勝負の9月と毎年言いながらもズッコケ続きの阪神だが、今年はそれ以上に情けない。ある虎OBは「一つも負けられない中、ぶっちぎり最下位の責任を取って小川監督、宮本ヘッドが辞めたヤクルトに勝ちを許すとはどういうことなのか。毎年思うことだが、鍛えている割には選手の感性や精神力を感じない」と辛辣。

 別のOBも「(今季限りで退団する)鳥谷に『お世話になった』とかを(他の選手が)話しているなら、なおさら勝って鳥谷をCSに連れて行かないといけないのに…」と不満を連発。負けてはいけない今年ならではの背景があるのに…というわけだ。


阪神は2年連続Bクラス濃厚で福留・糸井・球児をクビにできるか

2019年09月11日 16時44分22秒 | 野球

9/11(水) 日刊ゲンダイ

 ヤクルトは10日、小川監督と宮本ヘッドの今季限りでの退任を発表。

阪神はそのヤクルトに延長十回に勝ち越され痛い黒星。史上3球団目の通算5000敗を記録し、自力CS進出の可能性も消滅。残り試合は14。2年連続Bクラスが濃厚になってきた。

 ファンにとって不幸なのは、来年のチームもおそらく代わり映えしないことだ。42歳の福留と38歳の糸井が打線の主軸になるのは間違いない。27歳の山田哲や19歳の村上がタイトル争いしているヤクルトとはえらい違いだ。阪神は投手陣も、先発は38歳のメッセンジャー、救援は39歳の藤川が中心になるだろう。

 40歳前後のベテランがチームの柱になっているのは、彼ら以上に結果を出す若手がいないからにほかならない。しかし、それは現時点での話。若手はエネルギッシュだし、可能性がある。ヤクルト村上のように、三振の山を築こうが、守りが下手だろうが、若い選手はゲームに使って、泣いたり、悔やんだり、喜んだりしなければ成長しない。先のないベテランにいつまでも頼っていてはチームは変わらないし、ファンは夢も希望も持てない。

 広島鈴木(25)、巨人岡本(23)、DeNA筒香(27)、中日高橋(25)はいずれも生え抜きの主力打者だ。彼らはしかし、最初から主力だったわけではない。ベンチが我慢して起用し、チームの顔になった。たとえチーム成績が悪くても、ファンは彼らの成長に希望を見いだせる。今の阪神は新人近本が盗塁王を狙えるが、それだけでは寂し過ぎる。「前を向いてやるしかない」と言う矢野監督は、4番候補の大山と心中する気でいるべきだ。

 
 
 

 



本質を問い、真偽を見極める姿勢を

2019年09月11日 14時37分09秒 | 社会・文化・政治・経済

▽虚偽情報の爆発的な拡散
本質を問い、真偽を見極める姿勢を
▽物事の本質や優先順位を問う姿勢。
潔よく事実を受け入れる心構えを持つことが重要だ。
▽勝った時に、成功した時に、未来の敗北の因をつくることもある。
負けた、失敗した時に、未来の勝利の因をつくることもある。
▽長い目で見れば、苦労したところ、 呻吟(しんぎん:苦しんでうめくこと)したところは、必ず強くなる。
▽「マイナス」を「プラス」へと転じ、価値を創造していく。
逆転の発想であり、人間の生き方を根本から変えてゆく創造の哲学である。


フェイクニュースを科学する

2019年09月11日 12時47分50秒 | 野球

 拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ 

笹原 和俊  (著)

商品の説明

内容紹介

津田大介氏推薦! 
あなたがネットを見ていて感じる違和感――その正体に最先端の科学で迫り、
誰にでもわかる言葉で解説。最良の「ネットリテラシーの教科書」が誕生した。


虚偽情報お断り! 

2016年、米国大統領選挙を契機に注目を集めるようになったフェイクニュースは、
いかにして拡散するのか。
本書ではこの複雑怪奇な現象を「計算社会科学」という新しい分野から読み解く。
偽情報を信じてしまう人間の認知特性、その情報を拡散させる情報環境の特徴、
情報過多と注意力の限界などの側面からフェイクニュース現象の全体像を描き出し、
メディアリテラシーやファクトチェックによる対抗手段の有効性を検討。
大量の情報が飛び交う現代、偽ニュースに惑わされないために必読の1冊!

本文より
フェイクニュースはなぜ生まれ、どのようにして拡散し、われわれ人類の脅威となるのでしょうか。
その仕組を理解することは、情報と虚偽情報が混在する複雑化社会を生きていくうえで重要です。
本書では、フェイクニュース現象を、情報の生産者と消費者がさまざまな利害関係の中で
デジタルテクノロジーによって複雑につながりあったネットワーク、
つまり、「情報生態系(Information Ecosystem)」の問題として捉え、
その仕組みについて紐解いていきます。

目次
第1章 フェイクニュースとは何か
一 フェイクニュースの全体像
二 フェイクニュース小史
三 フェイクニュースの科学

第2章 見たいものだけ見る私たち
一 認知の癖
二 みんなからの影響

第3章 見たいものしか見えない情報環境
一 噓がこだまする部屋
二 フィルターに囲まれた世界

第4章 無限の情報、有限の認知
一 情報過多世界
二 希少資源としての注意力

第5章 フェイクニュースの処方箋
一 偽ニュースを見抜くスキル
二 フェイクに異を唱える社会づくり

終章 情報生態系の未来

内容(「BOOK」データベースより)

2016年、米国大統領選挙を契機に注目を集めるようになったフェイクニュースは、いかにして拡散するのか。本書ではこの複雑怪奇な現象を「計算社会科学」という新しい分野から読み解く。偽情報を信じてしまう人間の認知特性、その情報を拡散させる情報環境の特徴、情報過多と注意力の限界などの側面からフェイクニュース現象の全体像を描き出し、メディアリテラシーやファクトチェックによる対抗手段の有効性を検討。大量の情報が飛び交う現代、偽ニュースに惑わされないために必読の1冊!

商品の説明
内容紹介
津田大介氏推薦!
あなたがネットを見ていて感じる違和感――その正体に最先端の科学で迫り、
誰にでもわかる言葉で解説。最良の「ネットリテラシーの教科書」が誕生した。


虚偽情報お断り!

2016年、米国大統領選挙を契機に注目を集めるようになったフェイクニュースは、
いかにして拡散するのか。
本書ではこの複雑怪奇な現象を「計算社会科学」という新しい分野から読み解く。
偽情報を信じてしまう人間の認知特性、その情報を拡散させる情報環境の特徴、
情報過多と注意力の限界などの側面からフェイクニュース現象の全体像を描き出し、
メディアリテラシーやファクトチェックによる対抗手段の有効性を検討。
大量の情報が飛び交う現代、偽ニュースに惑わされないために必読の1冊!

 

米国トランプ政権が誕生した一昨年の大統領選挙から猛威を振るうようになった「フェイクニュース」について、主に海外での最新の研究を紹介している入門書。
筆者の専門は計量社会科学。Facebookやツイッターなどでガセ情報がどのように伝播していくか、膨大なビックデータの振る舞いから明らかにしていく。
それだけでなく、ガセ情報を信じてしまう人間の認知特性(認知バイアス)や、それを増幅するSNSなどの情報生態系の振る舞い(エコーチェンバー、フィルターバブル)についての研究、ツイッターなどの書き込みから政治信条、価値観などの情報がかなり分析できてしまうことなどの驚きの研究データもたくさん。
最後には、これらのフェイクニュースに対抗するための世界のメディアリテラシー教育や法規制、システムづくりの模索についても概観できる。

筆者が「フェイクニュース対策の入門書」と銘打っているだけあって、幅広い視点でこれらについての知見を得られるので、この本を皮切りに、さらに深く知識を得ることも可能だろう。
(とは言っても、日本ではまだ十分にフェイクニュースやファクトチェックに関する対策が進んでいないようにも感じるので、日本の事例での研究ももっと知りたいところ)

詳しい人が読めば★5つだろうが、まさに初心者の私にとっては、やや研究内容について難しい記述があったので−1とした。
フェイクニュースを題材にした本は大体が安易なネット批判・保守思想批判の印象。
それを今度は科学=理屈・論理で批判するのか(苦笑)と思い、身構えていたが
読んでみると意外にも面白かった。

読んでまず思ったのが、非常に丁寧に分かり安く伝えようという意志が伝わってくる。
科学の話なので難しい内容ではあるものの分かりやすく楽しく読めた。
著者も注意喚起してるが、「フェイクニュースを科学で解き明かした、
フェイクニュースの全貌が科学で見えた」と捉えるのは危険かつ禁物であろう。
「科学で見るとどうもこういう傾向・特徴が見えますね」程度に考える方が良いだろう。
読んでて「そりゃそうだろうね」「その比較はちょっとオカシクない?」と色々思う所もあり。
そう色々と思考をさせられるところも楽しい。

私が本から学んだことは
・事実より偽ニュースの方が伝わりやすいし・持続も長い。
・同じ考えの人同士でグループになりやすいし、他を拒絶しやすい。
 ネット環境だとブロックによりさらにそらが加速・顕著になる。
 (これがフェイクニュースを蔓延させることに)
・人間の認知能力(有限)より情報過多だと真偽判定できなくなる
 (これもフェイクニュースを蔓延させることに)
・フェイクニュースへの対抗策はメディアリテラシーとファクトチェック
こんなところ。

この本はあくまで「ネットにおけるフェイクニュース」について語っているので仕方ないが
著者はテレビ・新聞の報道のあり方=誤報・偏向報道、つまりネット以外のフェイク(的)な情報には
無関心かつ無防備。本書で朝日新聞のファクトチェックを紹介していたが
某ネット番組では「朝日新聞のファクトチェック」のファクトチェックをしたところ嘘がボロボロと。
著者がこれを知ったらどう思うだろう(笑)。
米国のメディアリテラシー教育についても、それをしてるのが米大手メディアやジャーナリスト(笑)。
私から見たら「現役の泥棒に泥棒に入られない方法を教わる」みたいで何とも言ったら良いか…。
フェイクニュース議論にありがちだが、テレビ・新聞・ジャーナリストらの情報=取材者・出所が
ハッキリしてる情報=真実・事実としてる感じにやはりモヤっとしてしまう。
ただ、その辺りの話は「事実を知る方法」「事実の伝え方」の問題になってしまうので
本書の話題・目的とは大きく外れてしまうのかもしれない。
(「著者はあくまでもネットのフェイクニュースの専門家だから…」と思う事にしておく)

話は戻るが、フェイクニュースの研究は本当に面白く、単にフェイクニュースだけの話だけでなく
自然の摂理のような感じすら受ける。嘘を全て排除したら漫画・小説・ジョークなども嘘として排除され
ツマラナイ世の中になるだろう。排除するなら悪質な嘘・フェイクニュースのみにしたいがその線引きが難しい。
これは自国に外国人を受け入れる難しさ、あるいは「体の中の癌細胞だけを攻撃・排除して
他の細胞は一切傷つけない方法論」など色々な物事にも通じる話のようで色々考えさせられた。

余談だが、本書ではどこか米・トランプ嫌いの臭いがするなぁと思ったら
本書、後の方にその答えらしきものが(笑)。フェイクニュース問題に従事してる方々は
みんな反トランプなのかもねと。「嘘を言わない政治家が優秀」でもないし、
「嘘つきな政治家は政治に向かない」わけでもない。著者は政治評論家ではないので。

本書を読む上で色々気をつけないといけないことはあるが、そこを留意して読む分には
「科学的にみるとこういう感じらしい」程度の感じで読む分には面白い本だった。
評価は星4つ。全く新しい分野、ついこの間の米中間選挙だけでなく GDPR なども触れほぼリアルタイム。この手の話題性テーマだと作者笹原さんが東大総合文化学科の博士経歴と聞くと筆者主眼や経験ひけらかしの展開かと思いきや、解説は極めて客観的、過去研究発表を踏まえ学術的内容も盛り沢山で活用性は高評価。大学 4 年生講義の教科書と言っても過言でない。あまり役立たない本はが、筆者の見識、本としての纏め方、事実に基づく論理展開、章立ても明快、かつあとがき深謝に感情高まり星 5 つです。

第 1 章は全体俯瞰でフェイクニュースが何かを示し。ツイッター大統領(筆者名付け?)のトランプがフェイクニュース発端を素直に踏まえ、計算社会科学という分野、ソーシャルメディアを従来のマスメディアとの違いで捉えるなどこの本で知識が深まると言える久々感。フェイクニュースの起源がローマ帝国、政敵に勝つために虚偽情報や 2016 年大統領選でマケドニア若者達が偽ニュースサイトで小遣い稼ぎ 700 万円。若者達は簡単にお金を手にする方法だったが行動は民主主義を壊しかねないという警鐘は響く。英語を母国語としないのに偽ニュースサイトが受け入れられたことも疑惑大きい。

第 2 章は人間の認知特性で学術的解説。人は見たいように見る、古代ローマ、カエサルの言葉、認知バイアス Cognitive Bias 、自分の意見、価値観に一致する情報ばかり集め反する情報を無視する傾向、確証バイアス Confirmation Bias 、その他 Backfire Effect 、 Cognitive Dissonance 、 Availability Heuristic 、 Bandwagon Effect 、 Peer Pressure などキーワード多数。第 3 章が人間の認知特性からパーソナライズ、エコーチャンバー、フィルターバブルに至る解説。ツイッターを数値モデル化したシミュレーションでは二極化されソーシャルネットワークは分断されることを実証。奇々怪々な数式やモデルでの説明はなく文章で理解が進むのも好感。パーソナライズは Google が 2009 年に始めたとは。フェイスブックのモデルでは米国で 5 万人以上の実証でいいねボタンだけで性別、飲酒、喫煙だけでなく白人黒人、薬物経験、 21 歳まで両親と暮らしたなども判定できることにビックリ。ビッグファイブ:誠実さ、協調性、知的好奇心、外向性、刺激過敏もいいね 10 個で会社同僚、 50 個以上あれば友人レベル、 100 個以上で家族、 300 個あれば配偶者と同等の判断が可能とは。第 4 章は情報過多で認知限界とそれによりフェイクニュースが拡散される関係を解説。人間の注意力:アテンションを重要な経済要素とする考えも納得できる解説。

そして第 5 章はついに対処法。いかにフェイクニュースを見破るかの処方箋の話。でもやれることはリテラシー向上と所詮人間なのでプリミティブで逆に納得感も高い。 IT のようなリテラシーではなくメディアリテラシーとして ESCAPE junk news 、 Share-worthy 、さらにフェイクニュース判定ゲームサイトの紹介など。例として「火星に宇宙人を発見」のニュースに対しファクトチェックする紹介は非常に参考になる。続く終章では各章振り返り情報生態系の進化でフェイクニュースが政治的経済的動機があると取り纏め。未来への期待として 100 年後の辞書に・・の下りは感情高まります。



ナポレオン没落の要因?

2019年09月11日 12時03分25秒 | 社会・文化・政治・経済

ナポレオンの衰退原因を簡潔に教えてください。

エジプト遠征での海戦に加えて、イギリス制圧を目指してのトラファルガーの海戦でもイギリスの海軍力の前に苦杯を
なめさせられ、制海権を握るイギリスに対しては手出しの出来ない状況にありました。

また、スペインは制圧したものの、実兄をスペイン王に任じた事からスペイン国民の猛烈な反発に遇い、そこからゲリラ戦の泥沼へと引きずり込まれていきます。

こうして開始した半島戦争(1808~14年)では、最終的に敗退の憂き目をみる事になります。

海軍が弱かったのでしょう。
ナポレオン没落の原因は碌な将軍がいなくなったことと聞きましたが。
世界史の講義が近現代史に入りましたが、途中でナポレオン戦争の話がありました。
直接の没落の原因はロシア遠征とスペインが原因と教科書的には言われていますが、うちの学校の先生は「ロシア遠征以来ナポレオンに愛想を尽かして有能な将軍が去っていったり、それまでに戦死したことが原因、特にドイツ戦役やフランス戦役でその傾向現れているが、100日天下の時は本当に碌な将軍がいなかった」と申しておりました。

有能な将軍とはベルティーエ、ベルナドット、マルモン、ミュラー、ドゼー、マッセナ、タヴーの事でしょうか?
そうするとこのメンバーで100日天下の時生存してかつ味方になっていたのはタヴーだけですか。
ベルナドットは1806年の対プロイセン戦役で不手際をおこし、ボナパルトの不興を買い、一時干された形になります。
が、その戦役でスウェーデン人の捕虜に対して人道的な処置をした事で、人気がうなぎ登りになった事に着目したスウェーデン王国議会が、跡継ぎ無き国王の後継者に推戴する事を決定、彼もこれを受諾。

妻デジレ(実は彼女はボナパルトの初恋の女性)を連れてストックホルムに渡り、皇太子カールとして、フィンランドを巡り係争中であったロシア皇帝アレクサンドル1世と和解、1813年の諸国民戦争に参戦します。
彼以外にも、かつてボナパルトの部下として1800年のホーエンリンデンの戦いで功績をあげたものの、反フランス活動をした嫌疑をかけられたモロー将軍は、アメリカ合衆国に一時亡命、その後ロシア帝国に渡り、フランス軍に明るい、という事でそのまま将軍になります。(諸国民戦争で戦死)
このように知識情報面での流出が第一の原因。
次に、対戦したプロイセン軍内部でボナパルトの戦術戦略が徹底的に研究され、クラウセヴィッツはライプツィヒの戦局に際して、ロシア・プロイセン軍の会議で発表。ボナパルトが直接指揮する大隊は故意に見逃し、彼の戦略を当てにしないと動く事が出来ない将軍の部隊を攻撃する事等を提唱しています。

第三に、ボナパルト自身の健康面での衰えが、決断力を鈍らせてしまった事。

第四に、革命思想の輸出をお題目大義名分としていたハズのフランス勢力に際して、占領されたドイツ(プロイセンを中心に)で、民族主義再興運動が知識人民間人を問わず盛り上がりを見せた事。
この四つの要因がボナパルトの失墜に繋がった、と考えられます。
愛想を尽かしたのはフランス国民であり、軍人ではないと思います。
ロシア遠征はストレートとすればスペインはボディーブローのようにジワジワと効いています。
もちろんスペインに30万人フランス軍が釘付けになっているのを知ってアレクサンドルはナポレオンの挑戦を受けています。

参謀長だったベルティーエの戦術がほぼ読まれたこと、解放者だと思っていたナポレオンが侵略者だったことなどがドイツ戦役で敗因につながります。

このあたりは結構グリム兄弟もプロパガンダに活躍しています。
フランス国内でも徴兵を繰り返し、自分の兄弟を次々と国王につけたりして自分のことしか考えていないナポレオンに国民が愛想を尽かすのも当然です。
将軍達も確かに優秀ですが、ドイツもグナイゼウ、シャルンホルスト。ロシアもクトゥーゾフ、バルクライ、ビゲントシュタイン、ラエフスキーなどナポレオン麾下にもいないような名将がいます。
あと、ベルナドットはたいした活躍はしていませんし、タヴーも過大評価があります。

 


茨城県 世代がん治療(BNCT)の開発実用化

2019年09月11日 11時18分18秒 | 医科・歯科・介護

特徴
予め、がん細胞に集まるホウ素薬剤を投与
患部に弱い中性子を照射することで、中性子とホウ素との核反応で放出されたα線ががん細胞だけを選択的に破壊
原則30分1回の短時間照射で治療完了.がん細胞だけのピンポイント治療で身体的負担を軽減
陽子線、重粒子線治療と比較して安価な治療費で経済的負担も軽減

BNCTの安全性や有効性を確認する治験は、皮膚がんの一種「悪性黒色腫(メラノーマ)」の患者を対象に、来年度にもスタートさせる計画。今後、頭頸部がんや脳腫瘍など、ほかの部位のがん治療適応拡大に向け、装置の高度化を進めていく。

実用化の時期は、先進医療の承認手続きなどを考慮すると「治験後3、4年」(筑波大陽子線医学利用研究センターの熊田准教授)かかるとみられる。また、一般病院への設置に適した商用化にはまだ課題があるという。

熊田准教授は「薬事法の承認を得る前の段階でも、(医療機関から)受注があれば同時並行で導入を進め、すぐ治療に使えるようにしたい。一刻も早くBNCTで一人でも多くの患者を治療できるようにしたい」と意気込む。2018年10月6日茨城新聞)

★中性子捕捉療法(BNCT)
がん細胞のみに集積する性質のホウ素薬剤を患者に投与し、病巣部に中性子を照射してがん細胞を破壊する治療法。

細胞単位での治療が可能なために身体への負担が少なく、周囲の組織に広がる浸潤がんや多発病変、手術不適応症例などの難治性がんにも有効。従来の放射線療法で通常6週間必要だった照射が約30分の1回の照射で済み、治療前に薬剤集積を見ることで治療効果を事前に判断できるメリットもある。

実施事項

県が整備する拠点施設で病院設置・普及型の治療装置の開発を行うとともに臨床研究を実施。

先進医療として治療法と治療装置を実用化
つくばで開発され世界の臨床研究の場で使われている線量評価システムとセットでBNCTの世界標準の構築を目指す

特徴

  1. 予め、がん細胞に集まるホウ素薬剤を投与
  2. 患部に弱い中性子を照射することで、中性子とホウ素との核反応で放出されたα線ががん細胞だけを選択的に破壊

矢印

原則30分1回の短時間照射で治療完了.がん細胞だけのピンポイント治療で身体的負担を軽減
陽子線、重粒子線治療と比較して安価な治療費で経済的負担も軽減

治療例

頭頸部がん治療例

治療例

日本人は毎年がんで約34万人が死亡しています。健康長寿大国を実現する上で、がん対策は喫緊の課題です。BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)とは、難治性がんに対する次世代のがん治療法として期待されています。ホウ素と中性子との反応を利用し、がん細胞のみを選択的に破壊することができます。 「切らない、痛くない、副作用が少ない」画期的な治療法として世界が注目。目に見えないがん細胞や、手術で除去できない場所の治療にも有効性を発揮します。
茨城は、BNCTの研究成果や技術、人材等で世界をリードしています。
BNCTは、世界に先駆けて、病院に設置可能な治療装置等の開発や臨床研究に取り組み、H27年度までに先進医療としての承認を受け、BNCTの国際標準となるモデルを構築、医療関連産業の国際展開を図ります。
主なプロジェクト参加機関
筑波大学/高エネルギー加速器研究機構/日本原子力研究開発機構/北海道大学/日本分析センター/関係企業/茨城県

 


次世代がん治療BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の医療拠点

2019年09月11日 11時07分01秒 | 医科・歯科・介護

次世代がん治療を促進

 【BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)について】

 ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy)は、加速器から発生する 中性子とホウ素の反応を利用し、正常細胞にほとんど損傷を与えず、がん細胞を選択 的に破壊する治療法で、個別臓器に広がったがんや侵潤がんなどの治療の難しいがん にも効果が期待でき、切開や切除を行わないので患者の QOL 向上にも貢献できます。

<BNCTの仕組み>

これまでの臨床研究では他の手法では治療困難な疾患が対象にされてきました。

平成 24 年からは京都大学原子炉実験所に設置した加速器とホウ素薬剤を用いて、再発悪性 神経膠腫、平成 26 年からは頭頚部がんの世界初の治験が開始されています。 【関西における取組状況】

 関西では京都大学原子炉実験所のほか、大阪大学、大阪府立大学など BNCT に必要な 技術の研究拠点が揃っているほか、多くの大学病院や医療機関もかかわっており、我が国の BNCT 研究をリードしてきました。

「(仮称)関西BNCT医療研究センター」の設立について

このたび、次世代における有力ながん治療法として注目されているBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)
の実用化に向け、学校法人大阪医科大学の呼びかけにより、世界初の共同利用型のBNCT専門の医療拠点、(仮称)関西BNCT医療研究センターを設立することになりました。
本医療拠点が京都大学原子炉実験所、大阪大学、大阪府立大学等の関西のBNCT研究のネットワークと連携することにより、大阪・関西がBNCTの研究・医療で今後も世界をリードしていくことが期待されます。

事業規模(整備費) 約45億円

※民間資金(出資、寄付等)により実施予定

想定スケジュール 平成30年 竣工 平成31年 開院

運営体制 運営業務を行う新法人を設立する予定(法人形態は検討) 建物・施設の所有については特別目的会社を検討

(事務局 (仮称)関西BNCT 医療研究センター設立準備委員会事務局 (大阪医科大学内に設置)

※概要については、今後変更の可能性があります 【(仮称)関西BNCT医療研究センター設立準備委員会について】 世界初となる共同利用型のBNCT医療拠点の設立に向けて、幅広い見識をもつ有識者 の意見を集約し、あるべき医療拠点について検討すべきとの観点から、設立準備委員会を 立ち上げる予定です。


婦人保護事業の運用面における見直し方針について

2019年09月11日 10時42分25秒 | 社会・文化・政治・経済

令和元年6月21日

厚生労働省子ども家庭局 婦人保護事業は、これまで、DV、性暴力、貧困、家庭破綻、障害等、 様々な困難を複合的に抱える女性の支援を行ってきた。 2018 年7月からは、「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関 する検討会」(以下「検討会」という。)を開催し、婦人保護事業の見直 しを進めている。

これまでの検討会での議論等を踏まえ、当面の対応として、他法他施 策優先に関する取扱いの見直しや一時保護委託の積極的活用等をはじ め、婦人保護事業の運用面の改善について、次の各事項に速やかに取り 組むとともに、2020 年度予算に向け、その具体化を図る。

その際、地方自治体に対しては、今回の改善等を通じて、相談から心 身の健康の回復や自立支援に至るまで、すべての過程における支援が、 より当事者本位なものとなるよう、それらの趣旨を丁寧に説明し、理解 を深めるとともに、その後の状況に応じて、必要な対応を行う。 さらに、制度のあり方については、同検討会において引き続き議論を 行い、本年8月を目途に議論の結果を取りまとめる。

1 他法他施策優先の取扱いの見直し

○ 婦人保護事業の対象となる女性の範囲については、平成 14 年 の局長通知(※)で示しているが、このうち、「家庭関係の破綻、 生活の困窮等正常な社会生活を営む上で困難な問題を有する者」 については、「その問題を解決すべき機関が他にないために、現に 保護、援助を必要とする状態にあると認められる者」としている。

この結果、婦人相談所や婦人保護施設等において支援を受けるべ き女性が他法他施策の事業に回され、婦人相談所の一時保護や婦 人保護施設による支援に結びつかないといった実態がある。

このため、通知改正を行い、一人ひとりに寄り添った支援がで きるよう、関係機関との十分な連携・調整の上で、必要な他法他施 策も活用しながら、婦人保護事業による支援が適切に提供される ようにする。

※「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の施行に対 応した婦人保護事業の実施について(平成 14 年雇児発第 0329003 号 雇用均等・児童家庭局長通知)

2  一時保護委託の対象拡大と積極的活用

①一時保護委託の対象拡大等

○ 婦人相談所が行う一時保護については、一定の要件に該当する 者について適切な保護が見込まれる場合には一時保護の委託が可 能であり、保護が必要な若年被害女性などへの本人の意向も踏ま えた適切な支援を進めるため、民間支援団体に対する一時保護委 託の積極的な活用が図られるよう周知徹底する。

また、定員を超えた場合のみ一時保護委託が可能である対象者 についても、本人の意向、状態及び状況等を踏まえた一時保護委 託が可能となるよう対象者の拡大を図り、より適切な支援が行え るようにする。

○ 一時保護委託の対象者の拡大に当たっては、一時保護を委託さ れた施設が、必要に応じて婦人相談所の医学的又は心理学的専門 機能を活用することができるようにするとともに、入所者の処遇 等について、婦人相談所と一時保護を委託された施設との間でケ ース会議を開催するなど緊密な連携が図られるよう周知徹底する。

②一時保護委託契約施設における一時保護開始手続きの再周知

○ 被害者が一時保護委託契約施設に、直接一時保護を求めた場合 に、婦人相談所への来所を求めている実態があるが、この場合、当 該施設において、速やかに被害者の安全を確保したうえで、婦人 相談所が一時保護の要否の判断等を行うこととしていることにつ いて改めて周知し、被害者の負担軽減が図られるよう徹底する。

3 婦人保護施設の周知・理解、利用促進

○ 様々な困難を抱える女性への支援を担う婦人保護施設の役割 及び支援の内容についての理解の促進を図るため、厚生労働省ホ ームページやソーシャルメディアにおいて婦人保護施設の機能 や取組等に関する情報提供を行うなどにより、市区町村の相談機 関等をはじめ、一層の周知に取り組む。

さらに、婦人保護施設の利用に当たっての分かりやすいパンフ レットの作成等により、婦人保護施設への理解を広げる。 また、婦人保護施設での支援や生活を入所前にイメージが持て るような方法等について検討する。

○ 民間シェルター等の一時保護委託先からの婦人保護施設への 直接入所措置について、柔軟な運用を促す。

○ 支援を必要とする若年妊婦等について、婦人相談所や児童相談 所に対し、婦人保護施設への一時保護委託の積極的な活用を促す。

3 携帯電話等の通信機器の使用制限等の見直し

○ 携帯電話等の通信機器については、位置検索機能やSNSによ る情報発信機能等により、DVやストーカー等の加害者が、被害 者の居場所を特定し追跡することから、利用について一律に制限 されていることがある。

一方で、被害女性の自立に向けた求職活 動や、学校・職場への復帰に際しての連絡等においては、携帯電話 等の通信機器の使用が必要であることから、携帯電話等の通信機 器の取扱い等に関する調査研究を実施した上で、安全性も考慮し た新たな運用方法について検討し、一律に制限される取扱いを見 直す。

○ また、外出規制などの集団生活上の制限についても、その実態 を把握の上、合理性、妥当性の観点から、留意点を整理する。

5 広域的な連携・民間支援団体との連携強化

○ 全国知事会の下、都道府県間で申合せがなされている、配偶者 からの暴力の被害者の一時保護に係る広域連携を実効性のあるも のとなるよう推進する。

また、若年女性からの相談等に対応して 多様な支援を行う民間支援団体が、当該若年女性が居住する地域 の婦人相談所、婦人相談員に、ケースを円滑につなぐことができ るよう、当事者本位の視点から、婦人相談所等と民間支援団体と の情報の共有等による広域的な連携や必要な支援のあり方につい て、「若年被害女性等支援モデル事業」の実施状況も踏まえ検討す る。

6 SNSを活用した相談体制の充実

○ 若年層のコミュニケーション手段の中心となっているSNSを 活用した相談体制を導入することにより、それを入り口として若 年層をはじめとした困難を抱えた女性が支援に円滑につながるよ う、SNSを活用した相談窓口の安全な開設、人材育成及び運用 方法、若年層特有の課題やその背景についての十分な理解を前提 とした相談後の関係機関との連携等について調査研究を実施し、 相談体制の充実を図る。

7 一時保護解除後のフォローアップ体制等の拡充

○ 一時保護退所後の支援の充実を図るとともに、保護命令期間経 過後の支援の実態について把握し、必要な支援方策について検討 する。

○ また、婦人保護施設等退所後のアフターケアや、入所中の心身 の健康の回復及び自立の促進を図るため、現在行っている「婦人 保護施設退所者自立生活援助事業」、「DV被害者等自立生活援助 モデル事業」、「地域生活移行支援事業」等の更なる充実や民間支 援団体を活用した事業の委託などについて検討する。

8 児童相談所との連携強化等

①DV対応と児童虐待対応との連携強化、体制強化

○ 第 198 回国会(通常国会)に提出した「児童虐待防止対策の強 化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案」には、婦 人相談所、婦人相談員は児童虐待の早期発見に努めるとともに、 児童相談所等はDV被害者の適切な保護について協力するよう努 めることとするなど、DV対策と児童虐待防止対策との連携強化 の規定を盛り込んでいる。これを踏まえ、婦人相談員等の要保護 児童対策地域協議会への積極的な参加について、地方自治体に協 力を求める。

○ 「児童虐待防止対策の抜本的強化について」(平成31年3月1 9日児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議決定)に基づき、D V被害者に同伴する子どもの支援の充実を図るため、婦人相談所 に児童相談所等の関係機関と連携するコーディネーターを配置す るほか、同伴児童も含めて適切な環境において保護することがで きるよう、心理的ケアや個別対応を含めた体制整備を進めるとと もに、専門職の配置基準や基準単価の見直し等について検討する。

また、DVと児童虐待の特性・関連性に関する理解を促進し、DV 対応を行う機関と児童虐待への対応を行う機関のそれぞれの情報 を包括的にアセスメントするリスク判断の手法や、各機関の連携 方法を含めた適切な対応の在り方について、ガイドラインを策定 する。

②婦人相談員の処遇について

○ 婦人相談員の処遇については、平成29年度及び平成30年度 に実施した手当額の拡充をはじめとして、その実態や専門性を踏 まえ、適切な対応について検討する。

併せて、研修の充実等による 専門性の向上を図る。

 9 婦人保護事業実施要領の見直し

○ 当面の対応として、売春防止法等の規定に基づく用語を除き、 支援の実態にそぐわない用語や表現について、検討会での議論を 踏まえた適正化のための整理を行う。

10 母子生活支援施設の活用促進

○ 配偶者のない女子及びその者の監護すべき児童について、母子 生活支援施設による支援が適当な場合は、婦人相談所長は、売春 防止法第36条の2の規定により、児童福祉法に基づく母子保護 の実施に係る都道府県又は市町村(特別区を含む。)の長に報告し、 又は通知しなければならないことについて改めて周知する。

○ また、妊婦については、婦人保護施設での対応のほか、婦人相 談所から母子生活支援施設への一時保護委託を行い、出産後は、 通常の入所に切り替えることが可能であることについても改めて 周知し、妊娠段階から出産後まで一貫した母子の支援を行うこと を促すとともに、その状況について把握する。

なお、一定期間の養育ののち母子分離となり退所した場合は、 その後の母子への支援も重要であるため、必要に応じて婦人相談 所及び児童相談所等の連携が図られるよう周知する。


婦人保護 暴力被害や貧困

2019年09月11日 10時24分11秒 | 社会・文化・政治・経済

「ボロボロにされた女性」が集う施設のリアル

多くは性暴力の被害者、加害者は身内

中村 淳彦 : ノンフィクションライター 
 
この連載「貧困に喘ぐ女性の現実」ではこれまで、大学生、精神疾患、離婚、ひとり親、非正規労働、パワハラ被害、DV被害、キャリアを認められない高学歴、単身の中高年――と、さまざまな悲劇を見てきた。今の日本は離婚や精神疾患など、女性が一度レールから外れると、貧困に転落し、なかなか戻ることができない社会になっている。
もはや誰もの目の前に、ウンザリする現実がある。この連載だけでも普通に学生生活を送りたいだけの女子大生がカラダを売り、ブラック労働や男性上司のパワハラから立ち直れなくて障害者になって苦しみ続けていたり、また精神疾患に悩む非正規労働者が生活保護を断られて自殺未遂なんてこともあった。
20年前だったら極めてマイノリティだった絶望的な風景が日常となってしまった。彼女たちは、このまま苦しいまま生涯を終えるしかないのか。筆者と編集者は課題解決のすべが見つからず、いつも頭を抱えていた。
われわれはその答えを求め、婦人保護施設の横田施設長に連絡を取った。婦人保護施設、そして横田施設長は女性に特化した支援者であり、貧困などでボロボロになった女性たちを保護、支援するそのキャリアは30年を超える。日本は家父長制度から男性優位、男尊女卑が根づいている社会なので、賃金格差などで明らかなように女性たちのほうが生きづらい。婦人保護施設は生きづらい女性たちの、最後のセーフティネットとなっている。

【2018年11月21日23時15分追記】初出時、関係者に不快な思いをさせかねない記述があったため、本文の表現や写真を一部差し替えました。【2018年12月20日16時00分追記】関係者のプライバシーに配慮し、さらに修正を加えました。

ごく普通の女性たちが、傷ついてたどり着く場所

東京都内のはずれにひっそりと立つ。最寄り駅はなく、深刻な被害を受けた性被害者、そして苦難から措置された女性たちを保護している施設だ。

 「婦人保護施設は、根拠法が売春防止法。福祉の中では最もマイナーな存在で、一般の方々には売春に絡む特殊な女性がいるのではないか、みたいな感覚をもたれますね。実際はまったくそうじゃなく、ごく普通の女性たちが、傷ついて、結果的に施設にたどり着くといいますか。逆にたどり着けてよかったと思っています」(横田施設長)
婦人保護施設は1956年制定の売春防止法と2001年制定のDV防止法が根拠法となって全国に設置されている。全国47カ所しかなく、貧困や精神疾患などで

自立して社会生活が送ることができなくなった、ボロボロになった女性が措置される場所である。

「日本は法律に問題があり、単身女性を守る法律が売春防止法しかないのです。昔は売春する女性のみに適用されたのですが、対象が広がって現代では女性全般に広がりました。そして今は貧困だったり、困難を抱えた女性たち全般を支援する施設になっています。

特徴としては、一般女性の精神疾患や障害、その背景にさらに暴力があったり。生きづらい要素を、本人の問題というより、成育のなかで過酷な状況下に置かれてきた女性たち、そういう方たちが利用しています。婦人保護施設という古めかしい嫌な名前ですけど、ここは生活をつくり直す場所なのですね」(横田施設長)

現在の利用者の特徴は、外に勤めに出る人もいれば、施設内にある喫茶店勤務や就労継続支援、就労移行支援などで働く人もいる。平均在寮は3年5カ月と長く、10年以上の人もいる。精神科受診者や暴力を受けてきた人も多い。

驚くことに、性虐待の加害者は、夫、内夫、継父、兄、弟、祖父、おじなどの身内が多いという。

時代にそぐわない形で残っている売春防止法

あまり知られていないが、売春防止法は、女性による勧誘行為を罰則の対象としている。売春は違法行為でも、売る女性は処罰されて、買う男性側には何もない。時代にそぐわない形で残っていて、法律に偏りがある。さらに、現在でも勧誘行為の摘発はたまに行われて、路上で街娼が男性に声をかけるだけで逮捕される可能性がある。

売春防止法制定の背景にあるのは、戦後の混乱期の貧困だ。そして、現在に至るまで女性たちの貧困は形を変えて継続している。戦後の貧困から売春に走った女性を保護した婦人保護施設の利用者も、途切れることはない。貧困も形を変えて、路上の売春婦から、現在は性虐待の被害にあって精神疾患に陥り、貧困からはじめた風俗や売春でさらに傷つき、社会復帰が困難という女性たちだ。

「ここは終戦後10年目から。日本が最も貧困だった時代を生き抜いてきた女性たちを保護しました。貧困、街娼、生活難、お手伝いさん、子守りとか、今はこんな言葉使わないですけど、こういう女性たちが入所していた。背景にあるのは日本全体の貧困で、とにかく性を売買するしか手段がなかったわけです。生きづらさを抱えた女性たちの苦境は、現在もまったく変わってないといっていいのです」(横田施設長)

東京の片隅にある婦人保護施設は、まさに社会的貧困の縮図だった。

施設内を案内してもらう。平日昼間なので女性たちは働きに出ていて、施設には誰もいない。それぞれに割り当てられる個室や、食堂は広く、専門の栄養士がメニューを考えた食事が1日3食提供される。安心できる場所で暮らしながら、ソーシャルワーカーたちが個別対応し、それぞれの方法で自立を目指している。

女性への偏見と抑圧

施設内を歩きながら、施設長はDVで苦しむ女性や子どもたちの話をしてくれた。性暴力に暴力、共通するのは身勝手な男性たちだ。節々に男性優位な社会への怒りを感じる。

入居者に与えられる個室。携帯やスマホは没収され、1年以上同じ勤め先で外勤した場合のみ、持つことが許可される(編集部撮影)

「婦人保護施設を利用する女性たちは全員なんらかの形で、暴力を受けてきています。なぜ暴力を受けるかというと、根っこにあるのはやっぱり差別。特に男性による女性への差別。女性への偏見と抑圧ですね。どの人もすごくジェンダーの問題と、日本がずっと引きずっている男性優位社会の影響が見受けられる」(横田施設長)

身体的、経済的、精神的な暴力を受けてシェルターに保護され、立ち直れなければ離婚から貧困、精神疾患となって、最終的には婦人保護施設にたどり着いてしまう。婦人保護施設は最終的なセーフティネットなので、最も状態や状況の悪い女性たちが集う。男性たちから受けるさまざまな暴力の中でも、最もダメージが大きく、婦人保護施設に措置される女性で数多いのが性暴力という。

「婦人保護施設だけでなく、乳児院とか児童養護施設とも関係を持っていますけど、未成年児童が受ける暴力で顕著に多いのが、実の父からの性暴力です。それが日本の現実です」(横田施設長)

筆者は十数年前から、貧困や性風俗の取材をしている。実の父親、義理の父親からの性虐待を受けた女性は、たまに現れる。大抵は、取材が終わる頃に「実は……」と女性たちから話しだす。親から性虐待を受けた女性は、そんな頻繁に現れるわけではないので今まで20人くらいか。それと実の母親から性虐待を受けた男性を1人知っているが、彼は先日自殺したと聞いた。

表ざたになりにくい児童への性虐待

児童への性虐待は国際的に重罪で、残酷な行為だが、家庭内で行われるために表ざたになりにくい。あと性虐待を受けている子どもが被害を自覚するのは大人になってからだったりする。児童相談所での相談件数は、実数と比べると著しく少なく、1540件にとどまっている。

「自分の子どもなのになぜ?って、いつも思う。でも絶対になくならない。これだけいろんな物や文化が発達して、学歴も高くなって社会性も高くなってきてるのになぜなのか理由を考えると、非常に未熟な男性の姿が浮かぶ。昔は父親に威厳があって女は男に従うという中でたくさんの性暴力がありましたが、今は未成熟な男性が身勝手に子どもたちに手を出していると思えてならない」(横田施設長)

人間は誰でも、生まれていちばん最初に信頼関係を持つのは両親だ。そのひとりである父親から性虐待を受けると、これからの人生、どうやって信頼をつくればいいのかわからなくなる。その後の人生にも影響する性虐待は、確かに横田施設長が指摘するとおり、女性の貧困の根本的な理由の1つになっている。

現在、苦しんでいる女性はどうすればいいのだろうか。

横田施設長は「行き場を失った女性は、性風俗や売春に頼る前に一度、福祉事務所や婦人相談所に相談してほしい」と言う。婦人相談所は売春防止法によって都道府県に設けられた行政機関で、検索すれば電話番号が出てくる。貧困やDVを筆頭に女性たちのあらゆる状況に対応している。

生活保護や一時保護、就労支援、またひとりで生きていけない深刻な状態の場合は、婦人保護施設が利用できる。女性たちは安心できる環境で苦しみを癒やしながら、少しずつ社会に出て生活をつくり直していく。

現行法はとにかく運用しづらい

「私たちは古い法律である売春防止法を改正して、新しく女性自立支援法、性暴力禁止法というのを作ろうと動いています。男性優位社会の中で生きづらい女性を社会で拾いあげ、女性が生きやすい新しい法律を作っていこうということです。性暴力禁止法は名称そのまま、社会から性暴力を絶対なくしていこうということを目的にしています」(横田施設長)

単身女性を救済する法律が売春禁止法しかないのは、女性にとって不利益は大きい。もし、自分自身が苦境に陥って支援されても、今度は差別を受けるなど、二次被害の可能性もある。現行法はとにかく運用しづらいというのが、女性支援の現場からの最も大きな意見、要望だった。

婦人保護施設には、大きな作業場がある。女性が大きな木製の編み機を使ってストールを織っていた。

週刊東洋経済



 

 

生活保護と自業自得の境界線

2019年09月11日 09時44分49秒 | 社会・文化・政治・経済

生活保護に対する偏見と誤解をなくすために

みなさんは、生活保護にどのようなイメージをもっていますか。
 例えば、不正受給をしている人がいるとか、生活保護の受給者が過去最大というニュースを耳にすることがあるかもしれません。
このような報道にネガティブなイメージをもつ人もいるでしょう。
 でもちょっとまってください。本来生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活をするために認められる権利(憲法25条)のはずです。
 各界で活躍されている皆さんから、生活保護についての意見をうかがいました。このパ
ンフレットを読んで、ちょっと生活保護に対する考えを深めてみませんか?

 

香山 リカ さん
精神科医
立教大学教授
 病気が原因で生活が立ち行かなくなった人に診察室で生活保護を勧めても、「私が悪いので」と拒まれることがあります。
「あなたの責任でもないし、まずは生活が安定しないと病気からの回復も遅れる
のです」と説明しても首を横に振るばかり。
 社会や人びとをむしばむ「自己責任病の治療がまず必要です。

本田 由紀 さん 東京大学教授(教育社会学)

 この国では、憲法で定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」すら政府は実質的に保障していません。

長い間それに慣らされてきた多くの人々は、自助努力で生きることを当然とし、それが困難になった人が生活保護を受けることに厳し
い目を向けます。
 苦しい人を見殺しにする残酷な視線は、いつか反転して自分自身への刃となります。
生活保護を正しい権利と認めることから、この社会を立て直す一歩が始まるのです。

森村 誠一 さん
作家
 生存権とは、すべての人間にあるはずの権利であり、太平洋戦争の貴重な犠牲を踏まえて七十年培った憲法のように、権力の偏見と暴走と誤解によって揺れています。
 どんなに一心に働いても生きる権利が偏見と誤解によって否定されないように、一度限りの人生を尊重し合うべきだと思います。

平野 啓一郎 さん
作家
 2000年代に入ると、「勝ち組」、「負け組」という言葉が世を覆い、経済的な成功者はその分「努力」しているからで、「負け組」は自業自得だといった消極的な否定論がよく目についた。
 しかし、今は当時の新自由主義の風潮よりも更に悪く、生活保護の利用者は財政を圧迫し、真面目に働く者たちに「迷惑」をかけているなどという、積極的な否定論まで唱えられる始末である。これではまるで全体主義だ。
まっとうな共生の感覚を取り戻さなければならない。

藤田 孝典 さん
社会福祉士
NPO法人ほっとプラス
代表理事
「まさか自分が生活保護を受けるとは思わなかった」。多くの生活保護受給者がそう口にします。

生活保護はすでに特別な人ではなく、普通の人が受ける時代となっています。日本では貧困と格差が広がり続けているためです。「子どもの貧困」、「ワーキングプア」、「下流老人」など、誰でも一生涯のどこかで生活困窮することがあり得る社会です。

そのときは他人事ではなく、私たちに生活保護が必要となります。生活保護を「わたし」の制度や問題としていくことが求められています。

 


生活保護制度はいつできたの?

2019年09月11日 09時32分09秒 | 社会・文化・政治・経済

生活保護法 昭和25年5月4日法律第144号

「健康で文化的な最低限度の生活」、これって憲法にかいてある条文なんだけど、この理念を達成するために生活保護法は成り立っているんだよ。
生活保護問題には、不正受給に加え、生活保護費でパチンコにいくことは是か非か?という問題がよく取り沙汰されます。

生活保護受給者からしてみれば「おれらはパチンコすらダメなのかー!!」という声もあります。

ここで、「健康で文化的な最低限度の生活」という理念に立ち返ってみると、パチンコとはギャンブルでもあり、ある種の趣向でもあります。

文化的な生活というのは、”人間らしい楽しみ”という概念も、もちろん入っていると思いますので、パチンコはそれに該当するのではないかと・・・
パチンコとかギャンブルが、「文化的な最低限度の生活」に当てはまるかって視点の問題だね。

世間的には認めないって人も少なくないけど、「認めろー!!」っていう弁護士団体も多く存在しているよね。
結局、生活保護受給者がうんぬんというよりかは、受給しているその人の”人間性”で、判断が左右されそうです・・。

生活保護法(せいかつほごほう、昭和25年5月4日法律第144号)は、生活保護について規定した日本の法律である。社会福祉六法の1つ。
生活保護法の目的は、「日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること」(第1条)とされている。
現行の生活保護法は、1946年9月9日に法律第17号として公布された後、同年9月20日発出勅令第437号により同年10月1日より施行された旧生活保護法を、連合軍総司令部の指導の下、厚生省社会局保護課長の小山進次郎の主導によって全面改正し、1950年5月4日に法律144号として公布と同時に施行したものである。
なお、小山は生活保護法という呼称の由来をその編著で明らかにしていない。小山は論文で法案作成時にアメリカではなくイギリスの制度を参考にしたと述べ、その成果が法第8条に結実している。そのイギリスの制度は "Income Support" であり日本語訳すれば「所得補助(英語版)」となる。


「タリバン拡大」「援助疲れ」アフガニスタンの現状を知っていますか?

2019年09月11日 09時26分31秒 | 社会・文化・政治・経済

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篠田 英朗

タリバンと治安部隊の戦闘で破壊された住居跡に立つ子どもたち=2018年5月29日、アフガニスタン南部ヘルマンド州【EPA=時事】
 2001年の9.11テロの後に米国が侵攻したアフガニスタンは、対テロ戦争の時代の幕開けを告げた国である。2001年にタリバン政権は一気に崩壊した。だが、その後のアフガニスタンはどうなっているのか。日本のメディアでは、ほとんど報じられていないのではないだろうか。

2001年以降最大規模となった「タリバン」

 実は2001年以降も、戦争はずっと続いている。主要な構図は、アフガニスタン政府と米国及びNATO(北大西洋条約機構)軍と、タリバン勢力の間の戦いだが、現在、タリバンが2001年以降では最大の規模にまで勢力を拡大させ、さらに戦況は悪化の一途をたどっているのだ。

 バラク・オバマ政権時代の2014年、米軍は予定された撤収を完遂させた。実際には、訓練などの名目で8500人ほどの兵士を残したのだが、それでも米軍撤収は、タリバンや「イスラーム国」(IS)などが勢力を拡大する機会とするには十分な状況を生み出した。

 今や政府が実効統治しているのは、全国407地区のうち220地区にとどまるという報告が、公式になされている。つまりタリバンが、国土の半分近くを掌握しているということである。しかも、今この瞬間も、タリバンはいくつかの主要都市に大規模な攻撃を仕掛けている。州都レベルで7つもの州都が、陥落の危機に瀕しているとも報じられている。

 実は2014年から、IS-K(Khorasan Province)と呼ばれるIS勢力がアフガニスタンで台頭し、一時期はタリバンを駆逐し続けた。ところがIS勢力を強く警戒するロシア、イランなどが、ISに対抗するタリバンに軍事支援などを行い始めたと言われる。そこから一気にタリバンが盛り返した。現在では、IS-Kに対して、タリバンが圧倒的に優勢である。ただしIS勢力も根絶されたとまでは言えないため、政府軍、さらには外国軍と合わさって、複雑な紛争の構図が展開してきている。

無人機の空爆で炎上した車の周囲に集まる住人ら。タリバンの最高指導者マンスール師を乗せていた=2016年5月、パキスタン南西部アフマドワル【AFP=時事】
無人機の空爆で炎上した車の周囲に集まる住人ら。タリバンの最高指導者マンスール師を乗せていた=2016年5月、パキスタン南西部アフマドワル【AFP=時事】
 空爆によって連日のように、タリバン勢力の数十人が死亡した、IS勢力の指導者層が死亡した、アル・カイダ勢力の戦闘員が数名死亡した、政府軍側に被害者が多数出た、米兵に死亡者が出た――といったニュースが、地名や人数だけを変えて、飛び交い続けている。ある都市が、タリバンによって占拠された、その後に政府軍が取り返したが戦闘継続中だ、といった内容のニュースが、数多く頻繁に飛び交っている。アフガニスタンの東部で、南部で、西部で、北部で、タリバンは攻撃を仕掛けている。そして首都カブール近郊でも、爆弾テロなどが相次いでいる。警察署が武装した者たちの攻撃の標的になっている。

 地方部では、政治家層の殺害も相次いでいる。4月末には、ジャーナリストを狙った大規模攻撃がカブールで発生し、ジャーナリスト9人が同時に殺害され、さらに多数の市民が巻き添えになった。

 アフガニスタン国防省によれば、アフガニスタン治安部隊(ANDSF)は、現在、アフガニスタン国内で、68もの戦線を持っているという。満身創痍というような状況だが、急ごしらえの様相から抜けきっていないアフガン軍の能力は、決して高くないのが実態だと言われる。そもそも33万人以上の定員に対して、実際の兵力は29万人ほどで、1割以上の定員不足である。割があわない仕事であるため、刑務所から駆り出されている兵士もいるとされる。

 アフガニスタンの民間人被害から、目を背けるべきではない、といったアフガン国内人権機関からのアピールも出ているが、援助疲れの先進主要国の人々には、あまり響いていないように思える。2018年は最初の3カ月だけで1500人の市民が犠牲になっているという。治安状況の悪化から、アフガニスタンでは1000以上の学校が閉鎖に追い込まれている。

 国際刑事裁判所(International Criminal Court: ICC)検察官は2017年11月、アフガニスタンにおける戦争犯罪の捜査を開始する権限の付与を判事部に求めた、という発表を行った。ただし2018年5月現在、正式な捜査開始の決定は出ていない。一部にはICC検察官の動きを歓迎する動きも高まった。しかしアフガニスタンの状況を考えると、現実には捜査をすること自体が不可能である、といった醒めた見方も数多く見られ、ICCの捜査がどういう形で始まるかも不透明だ。
混乱と不安定の国内政治

アフガニスタンのガニ大統領【EPA=時事】
アフガニスタンのガニ大統領【EPA=時事】
 戦争で兵士が戦死し続けているのに、政府の役人は関係ないことばかりをやっている、といった政治家の発言なども飛び交う。アシュラフ・ガニ大統領や、アブドラ・アブドラCEO(最高執行官)に対する批判も高まる。兵士が戦争している最中、開発プロジェクトの式典に出て演説などをしている場合か、といった批判である。

 国家保安局(NDS)長官が、国会の不信任決議にかけられた。弾劾理由は、治安対策を十分に行っていない、というものだった。さすがにこの不信任決議は否決されたのだが、ほとんどスケープゴート探しのような状況が生まれてしまっているのだ。州都などが陥落しようとしているのに、なぜ外国軍はもっと激しく空爆を強化しないのか、と叫ぶ国会議員たちもいる。事態の改善に役立たないなら、外国軍は不要だ、と叫ぶ国会議員たちもいる。

 米軍の司令官や、NATOの「確固たる支援(Resolute Support)」司令官は、アフガン政府の兵士は、人類のために、テロリスト組織と戦う勇敢な人々だ、といった発言を繰り返している。裏を返せば、国際部隊の存在が、事態の打開に役立っていないという見方の反映だ。

 現在、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)という政治ミッションの長は、日本人の山本忠通国連事務総長特別代表である。だが残念ながら、事件が起こるたびにそれを非難し、民間人の被害を拡大しないように呼び掛ける、といった活動以外に、何をしているのかが見えてこない。

ペンス米副大統領(左)を迎えるアフガニスタンのアブドラ氏(中央)とガニ大統領=2017年12月、カブールの大統領府【AFP=時事】
ペンス米副大統領(左)を迎えるアフガニスタンのアブドラ氏(中央)とガニ大統領=2017年12月、カブールの大統領府【AFP=時事】
 中央政府は存在しており、国際社会の期待も政府に集まっている。しかしガニ大統領の威信が高いとまでは言えない。ガニ大統領と、政府内の旧北部同盟系の勢力との関係も不安定である。自らが選んだウズベク人系のラシッド・ドスタム副大統領は、犯罪捜査対象になるや否やトルコに逃げてしまい、1年にわたって戻ってきていない。元軍閥と言うべきアタ・モハマド・ノール州知事(バルフ州)をガニ大統領が罷免した際には、アタ知事がそれを拒絶して、知事職に居座ろうとするという事件がしばらく続いた。

 2014年大統領選挙では、最大民族であるパシュトゥーンのガニと、タジクのアブドラ・アブドラは、第1回投票の得票率では、ガニが31%にすぎず、アブドラ・アブドラのほうが約45%を獲得していた。ところが決選投票でガニが上回ったとされたため、騒然となった。米国の調停で危機を乗り越えて、「国民統一政府(NUG)」が形成されたが、いまだにガニ大統領とアブドラ・アブドラCEOの間では、緊張関係が残っている。アフガニスタンが、2018年に予定されている議会選挙と、2019年に予定されている大統領選挙を無事に乗り越えらえるかは、相当に懸念されているところである。

 ガニ大統領は、タリバンに選挙に参加するように呼びかけたが、タリバン側は即座にこれを拒絶している。急速に勢力を拡大させているタリバンが、今この状況で和平合意に応じる見込みは乏しい。戦争か和平か、といった選択肢は、実際には、アフガニスタンには存在していない。政府は領土の一部をタリバンに譲渡して和平合意をまとめようとしているといった噂も流れているが、タリバンが自らに有利な状況を拡張させている中で、仮に何らかの譲歩を行っても、なお和平を導き出すのは、至難の業だ。
取り巻く諸国の反目と新たな介入

アフガニスタンへの米軍関与について演説するトランプ米大統領=2017年8月【AFP=時事】
アフガニスタンへの米軍関与について演説するトランプ米大統領=2017年8月【AFP=時事】
 米国では昨年8月、新しいアフガニスタン戦略に関するドナルド・トランプ大統領の演説が行われた。これによって5000人とも言われる規模の米軍の増派が行われた。実際その後、米軍によるISISやタリバン勢力に対する空爆は激しくなっている。タリバンの資金源になっているとされる麻薬工場に対する空爆なども行われた。麻薬生産が増加しているのは、政府職員が汚職でからんでいるからだ、といった糾弾もなされている。しかし、事態の打開にはつながっていない。

 NATOも、2001年から継続してアフガニスタンに関わり続けている。今もそうであり、深刻な事態の認識も共有している。ドイツは今年の3月に増派を発表し、1000人程度から1300人に派兵規模を引き上げて、アフガニスタンに展開させることとなった。イギリスも5月になってから、600人の派兵部隊を1000人に増派する、という決定を発表した。しかし事態の大幅な改善にはつながらないだろう。

 アフガニスタンをめぐる各国の非難合戦も、泥仕合の様相を呈し始めている。イランは、米国がISやアル・カイダを支援していると糾弾する発言を行った。すると米国大使が、そんなことは笑い話だと一蹴し、マイク・ポンペオ米国務長官が、イランこそがタリバンを支援してアフガニスタンを混乱させている元凶だ、と非難した。米国とイランの間の緊張関係が、アフガニスタンをめぐっても高まっている現状である。

 昨年8月の新アフガニスタン戦略の演説の中で、トランプ米大統領は、パキスタンはテロリスト勢力の掃討に協力をしていない、という理由で、強い言葉でパキスタンを非難した。パキスタン政府は、当然、トランプ演説に強く反発した。

タリバンによる自爆テロ現場で警戒する駐留米軍=2017年8月、アフガニスタン・カンダハル【AFP=時事】
タリバンによる自爆テロ現場で警戒する駐留米軍=2017年8月、アフガニスタン・カンダハル【AFP=時事】
 さらにトランプ演説が論争を呼んだのは、パキスタンを非難する一方で、インドの役割に対する強い期待を表明した点である。これまでもインドはアフガニスタンに少なからぬ支援や関与を果たしてきた。しかし伝統的なパキスタンのアフガニスタン情勢への深い関わりのため、インドはなるべく目立たないように行動してきた。実はアフガニスタン国民は、そのことをよく知っており、世論調査をすると、近隣国の中ではずば抜けてインドの好感度が高いという結果が出る。インドは、昨年、116の開発援助プロジェクトを実施する「新開発パートナーシップ」をアフガニスタンに提供したが、実は政府軍に武器供与なども行っている。

 こうした事態が、パキスタンにとって面白いものであるはずはない。今年になってから、パキスタン政府軍が、「ドュランド・ライン」として知られる国境紛争が存在する地域で、越境してアフガニスタン側に武装攻撃を仕掛けるといった事件が相次いでいる。

 事態を憂慮し、自国も入って3者協議の枠組みの促進などの外交努力をしているのは中国であり、トルコである。従来の関与国が泥仕合に陥っていく中、新たにアフガニスタンに対する影響力の確保を狙う勢力が、存在感を見せ始めてもいるわけである。

 今年4月、モスクワで開催された国際安全保障会議で、ハミド・カルザイ前大統領は、米国がアフガニスタンで成功する見込みはない、と発言した。そして米国は、多くのアフガン人の悲劇に対する責任を負っている、とも述べた。さらにカルザイはロシアのテレビ番組に出演し、ロシアだけがアフガニスタンを助けることができる、などと発言した。このカルザイの行動は、アフガニスタン国内で大きな反発を呼んだ。今やカルザイは、国内政治においてガニ大統領の最大の批判者でもある。ガニ大統領が米国に対して毅然とした態度をとっていない、という理由で、非難し続けているのである。
「危機」が広がる可能性も

 アフガニスタンは、これからどうなっていくのか。

 米国がアフガニスタンを見捨てる、という事態が、そう簡単に起こるわけではない。NATO諸国についても同じだ。だが、各国の援助疲れは顕著で、今以上の支援で関与を強める余力を持つ支援国は、ほとんど存在していない。軍事的な状況の打開は起こりそうになく、タリバンとの和解などといったことは、もっと起こる確率が低い。したがってアフガニスタンは、仮に首都カブールが陥落、といった事態が起こることはなさそうだとしても、これ以上の危機がまだまだ広がる、といったことは、十分にありうる。その場合には、世界的規模の「対テロ戦争」の行方にも、大きく影響していくだろう。

 


1965年の「韓国との請求権・経済協力協定」

2019年09月11日 08時56分18秒 | 社会・文化・政治・経済

両国の国交正常化のための「日韓基本条約」とともに結ばれ、日本が韓国に5億ドルの経済支援を行うことで、両国及び国民の間での請求権を完全かつ最終的に解決したとする内容。

日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約
朝鮮語: 대한민국과 일본국 간의 기본 관계에 관한 조약 (大韓民國과 日本國 間의 基本關係에 關한 條約))は、昭和40年(1965年)6月22日に日本と大韓民国との間で結ばれた条約。
通称日韓基本条約。
日本が朝鮮半島に残したインフラ・資産・権利を放棄・当時の韓国国家予算の2年分以上の資金提供することで、日韓国交樹立、日本の韓国に対する経済協力、両国間の請求権の完全かつ最終的な解決、それらに基づく日韓関係正常化などが取り決められた。
韓国は日本からの受けた請求権資金・援助金で浦項総合製鉄、昭陽江ダム、京釜高速道路、漢江鉄橋、嶺東火力発電所などが建設されて最貧国から一転して経済発展した。
韓国政府は日韓基本条約によって日本から受けた資金5億ドル(当時)に含まれた個人への補償金であった無償援助3億ドル分含めて経済発展資金に回したことが発覚して2014年に裁判になったが、日韓請求権協定で受け取った資金を産業育成やインフラ整備など他の目的に使用したことについて「法律に沿うもので違法行為とは見ることはできない」などの理由で原告は棄却や敗訴している。
逆に韓国政府や裁判所の日韓基本条約で解決との立場を変えた判決が、2012年や2018年に韓国の最高裁から出されている。
請求権協定の第1条において、無償3億ドルに等しい価値を有する「日本国の生産物及び日本人の役務」によって供与すると定められている。