払い戻しは補償問題に発展も
五輪チケットをめぐっては、2次販売の概要が10月10日に公表される予定だったが、2日前に突如延期された。マラソンなどの開催地変更が影響を与えたとみられ、今月8日の発表でもマラソン関連の詳細部分は先送りされることが濃厚だ。今回の変更問題はチケット販売全体の戦略に大きな影を落としている。
新たな札幌でのレースでは、組織委などが大通公園を発着点にして、観客席を設けない案を本格検討。大通公園周辺で仮設観客席の設置スペースの確保が困難であることや、設備面で費用がかさむことが理由だ。その場合、札幌での観戦は沿道のみとなるが、チケット販売なしでは減収となり、無料観戦の実現にはハードルが高いのも実情。収支のバランスを含め、どう落しどころをつけるがポイントとなりそうだ。
一方、組織委を悩ませているのはすでに1次販売で、当選者が購入したマラソンチケットの払い戻しをどう設定するかだ。来年8月9日予定の男子マラソンについては単独の販売だが、8月2日の女子マラソンは、その日午前に新国立競技場で行われる、女子砲丸投げ決勝などとセットで売り出されている。
男子マラソンはA席6千円、女子マラソンを含むその日午前のチケットはA席3万円で、女子マラソンでの日本人選手の活躍を期待していた購入者の払い戻しをどうするかはさまざまな選択肢があり、どの選択肢を選んでも購入者の不満が残りそうだ。
遠方に住むチケット購入者の中には、東京への航空券や宿泊場所も一緒に予約している人もおり、キャンセルに伴う諸経費を誰が負担するのかという問題もある。関係者は「チケット代の返金だけで済まされる問題ではない」と認識しており、今後、補償問題に発展し、組織委などに追加経費が求められる可能性が出てきている。