ワクチン接種後の血栓症はヘパリン起因性血小板減少症か?

2021年07月10日 13時58分46秒 | 事件・事故

NEJM誌から 日経メディカル

AstraZenecaのワクチン接種後に血栓症を起こした患者の病態を解析
2021/04/20
大西 淳子=医学ジャーナリスト
感染症
COVID-19
ChAdOx1 nCov-19
ヘパリン起因性血小板減少症


ドイツGreifswald医科大学のAndreas Greinacher氏らは、AstraZeneca社製のSARS-CoV-2ワクチン接種後に血栓症を発症した患者の血液検査と分析を行い、ヘパリン投与歴がないにも関わらずヘパリン起因性血小板減少症と同様の機序で血栓症が生じたことを示唆するデータを得て、2021年4月9日のNEJM誌電子版に報告した。

 ドイツでは、接種者の約4分の1に、AstraZeneca社製の組換えアデノウイルスベクターワクチンChAdOx1 nCov-19が用いられた。2021年2月下旬頃から、このワクチンの接種者に、脳や腹部といったかなりまれな部位に血栓が生じ、同時に血小板減少症も見られたという報告が数例続いた。

 著者らは、ドイツとオーストリアで、このワクチンの接種を受けて血栓症または血小板減少症を経験した11人の患者の臨床特性と検査データを評価した。論文ではまず、最初の発端例(INDEX CASE)とされた症例の経過を報告している。

 それまで健康だった49歳の女性医療従事者は、初回のワクチン接種を2021年2月半ばに受けた。その後数日間は、軽い症状(疲労感、筋肉痛、頭痛)を経験した。5日目になって、悪寒、発熱、悪心と心窩部の不快感が始まり、10日目に地域の病院に入院した。

 入院時点の血小板数は1万8000/μLと低く、Dダイマー値は35mg/Lと高かった。ほかに、γ-GTPとCRP値が上昇していたが、それ以外の血液検査の結果は正常だった。鼻咽頭スワブを採取し、PCR検査を行ったところ、SARS-CoV-2陰性と判定された。

 CT検査で、門脈血栓症と肺塞栓症が認められた。血小板濃縮液を投与し、三次医療機関に移送した。到着時点で患者には、心窩部の不快感と悪心があったが、それ以外は健康な状態で、血圧は125/88mmHg、心拍数は65回/分、体温は36.5度だった。抗菌薬と鎮痛薬の静注を行い、4000単位の低分子ヘパリン(エノキサパリン)を単回皮下投与した。

 翌日も血小板数とフィブリノーゲン値は低く、Dダイマー値とアミノ基転移酵素値は上昇していた。腹痛は悪化し、CT検査では、門脈血栓症が進行して内臓静脈と腸間膜静脈にも広がっていることが明らかになった。さらに、腎動脈下腹部大動脈と両側の腸骨動脈に、小さな血栓が認められた。低用量未分画ヘパリンの静注を開始したが、直後に頻脈が生じ、消化管出血が疑われたため、投与を中止した。乳酸値は3.7mmol/Lだった。

 患者をICUに移し、再びCT検査を行ったところ、びまん性の消化管出血と、内臓静脈血栓症による、腸管壁と膵臓の灌流低下、および腹水が見られた。赤血球輸血と血小板輸血を行い、プロトロンビン複合体濃縮製剤、組換え活性型第VII因子製剤を投与したが、11日目に死亡した。剖検では、脳静脈血栓症も存在していたことが明らかになった。

 2021年3月15日までに、上記の患者以外に血栓性の合併症を経験した10人のデータを入手し、INDEX CASEの患者と共に分析した。11人の患者の年齢の中央値は36歳(範囲は22~49歳)で9人は女性だった。頭蓋内出血を起こした1人を除く10人のうち9人には、脳静脈血栓症が認められた。また、3人は内臓静脈血栓症、3人は肺塞栓症、4人はその他の血栓症を発症していた。10人のうち5人が複数部位に血栓を有していた。また、5人にはDダイマー値の大きな上昇(10mg/L超)と播種性血管内凝固が見られた。11人中6人が死亡した。

 ワクチン接種から5~16日後の期間に、1人を除く10人の患者に1件以上の血栓イベントが現れた。11人の患者は当初の分析で中等症から重症の血小板減少症と判断されていた。血小板数の最低値の中央値はおおよそ2万/μL(範囲は9000~10万7000/μL)だった。血栓症の発現前にヘパリン投与を受けた患者はいなかった。


アストラゼネカ社 COVID-19 ワクチン接種後の 血小板減少症を伴う血栓症の診断と治療の手引き・第 2 版

2021年07月10日 13時27分22秒 | 医科・歯科・介護

2021 年 6 月

日本脳卒中学会、日本血栓止血学会 

学会合同手引き作成委員会(アイウエオ順)
一般社団法人 日本脳卒中学会
板橋 亮 : 岩手医科大学 脳神経内科・老年科 (委員長)
河野浩之 : 杏林大学 脳卒中医学
坂井信幸 : 神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科
中川一郎 : 奈良県立医科大学 脳神経外科学
平野照之 : 杏林大学 脳卒中医学
一般社団法人 日本血栓止血学会
伊藤隆史 : 鹿児島大学 システム血栓制御学
射場敏明 : 順天堂大学 救急災害医学
土井洋平 : 大阪大学 大学院医学系研究科腎臓内科学
森下英理子 : 金沢大学 医薬保健研究域保健学系病態検査学
安本篤史 : 北海道大学病院 検査・輸血部

はじめに
本手引き作成時点で、ワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症(Thrombosis with Thrombocytopenia
Syndrome: TTS)の診断と治療に関する確立したエビデンスは存在しない。本手引きは、主にアストラゼネカ社 COVID-19 ワクチン接種後の TTS において、海外の症例の報告や病態が類似した疾患の診療を参考に作成した。

今後の海外や国内からの報告によって本手引きの内容が変更になる可能性がある。患者の治療においては、症例ごとの状況に応じ、個別に判断していただきたい。

・ 治療の遅れは転帰を悪化させる恐れがあるため、鑑別診断を進めつつ速やかに TTS の治療を開始する。
・ 非典型的な脳出血やくも膜下出血の場合は TTS の可能性を考慮する。
・ 出血性梗塞、点状出血、皮下出血など出血傾向を伴う場合もある。
・ TTS の診断は、TTS 以外の疾患を除外することが重要であり、確実な鑑別のためには血栓止血の専門家に相談する。
† 血小板数はおよそ 15 万/μL 未満で、3 万/μL 以下になることがある
‡ 脳静脈血栓症(脳出血を伴うこともある)や内臓静脈血栓症(門脈系血栓(症))のほかにも、肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症、大動脈内血栓、脳梗塞、急性心筋梗塞などが報告されている。
§ D-ダイマーが著増(基準値上限の 4 倍以上)の場合 TTS の可能性が高い。

ただし、D-ダイマーが軽度上昇(基準値上限の 1-2 倍程度)の TTS 症例も報告されているため、D-ダイマー著増は診断には必須ではない。

出血傾向に注意すべき TTS が報告されているので、必要に応じて、凝固活性化マーカー(SF や TAT)、FDP、プラスミノゲン、PIC、α2PI などを追加測定することを考慮する。
|| 除外すべき疾患は、血栓性微小血管症(血栓性血小板減少性紫斑病や溶血性尿毒症症候群など)、免疫性血小板減少症、播種性血管内凝固、抗リン脂質抗体症候群、発作性夜間ヘモグロビン尿症、悪性腫瘍、血液がん など¶ 血小板減少、血栓症に加え、抗血小板第 4 因子(PF4)抗体検査(ELISA 法) が陽性の場合は TTS の確定診断となる。

ただし、本手引き作成時点では検査の提出先、実施施設を調整中であり、決定次第、改定する。
†† TTS は否定的であるが偽陰性の可能性も否定できない。また経時的に TTS に進行する場合もあるため、上記検査を適宜再検し、推移をみる。

TTS の概要
1)TTS とは
全世界で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチン接種が進む中、副反応として血小板減少を伴う血栓症が問題となっている。

2021 年 3 月以降、アストラゼネカ社アデノウイルスベクターワクチン(バキスゼブリアⓇ)接種後に、異常な血栓性イベントおよび血小板減少症をきたすことが報道され、4 月 7 日に欧州医薬品庁(EMA)は「非常にまれな副反応」として記載すべき病態と結論づけている。

4 月 9 日にはドイツとノルウェー、4 月 16 日には英国からバキスゼブリアⓇ接種後に生じた血栓症のケースシリーズが相次いで報告された[1-3]。ヘパリン起因性血小板減少症(HeparinInduced
Thrombocytopenia: HIT)と類似した病態と捉えられ、vaccine-induced immune thrombotic
thrombocytopenia(VITT)や vaccine-induced prothrombotic immune thrombo-cytopenia(VIPIT)という名称が用いられた。

ここでは血小板減少症を伴う血栓症(Thrombosis with Thrombocytopenia
Syndrome: TTS)を用いるが、本症の医学的に適切な名称については未だ議論があるところである。

お、バキスゼブリアⓇと同じアデノウイルスベクターワクチンである Ad26.COV2.S(Janssen/Johnson
& Johnson,申請中)でも同様の TTS を生じることが報告されている[45]。
海外では、国際血栓止血学会[6]、米国血液学会[7]、ドイツ血栓止血学会[8]、イタリア血栓止血学会[9]等から TTS に関する診断や治療の手引きが公開されており、WHO からも暫定ガイドラインが発表された[10]。

海外と医療事情が異なる我が国には、これまで本疾患に対する診療の手引きは存在しなかった。
TTS の特徴は 1) ワクチン接種後 4-28 日に発症する、2) 血栓症(脳静脈血栓症、内臓静脈血栓症など通常とは異なる部位に生じる)、3) 血小板減少(中等度〜重度)、4) 凝固線溶系マーカー異常(D-ダイマー著増など)、5) 抗血小板第 4 因子抗体(ELISA 法)が陽性となる、が挙げられる。

TTS の頻度は 1 万人から 10 万人に 1 人以下と極めて低い[11]。EMA はバキスゼブリアⓇ接種を受けた 2,500 万人のうち、86 人に血栓が見つかり、18 人が死亡したと報告している[12]。

しかし、これまでに報告された TTS の症例は、出血や著明な脳浮腫を伴う重症脳静脈血栓症が多く、致死率も高い。
また、脳静脈血栓症以外の血栓症も報告されている[2,3]。極めて稀な副反応であるが、臨床医は TTSによる血栓症(付 1 を参照)を熟知しておく必要がある。
2)ワクチン接種後 TTS の発症時期と血栓症の発症部位本手引きの作成時点では、海外の報告や提言を参考に、ワクチン接種後の TTS の発症時期を 4-28 日(ワクチン接種日を 0 日とする)とした[6-9]。

なお、ワクチン接種 3 日後に血小板減少を伴う脳静脈血栓症を来した症例が報告されている[13]。

今後、報告例が増加すれば基準が変更になる可能性がある。

一方、TTS ではないワクチンに関連する典型的な副反応(接種部位の疼痛や圧痛、頭痛、倦怠感、筋肉痛、悪寒、発熱、関節痛、嘔吐など)はワクチン接種後 2-3 日以内に生じると言われている[14]。
ワクチン接種後の TTS による血栓症の発症部位として静脈系、動脈系ともに報告がある。これまで特徴的とされてきたことは重症の脳静脈血栓症が多く、通常の脳静脈血栓症に比較して出血(出血性梗塞や脳出血など)を伴う頻度が高いことである。

また、脳静脈血栓症と診断した場合でも、脳以外の複数部位に血栓症を合併している可能性を考慮する必要がある。

これまでに、内臓静脈血栓症
(門脈系血栓(症))、肺血栓塞栓症、下肢静脈血栓症、脳梗塞(動脈系)、急性冠症候群、右室内血栓、下大静脈内血栓、脊髄周囲の静脈、大動脈内血栓などが報告されている[1-3]。
3.TTS とヘパリン起因性血小板減少症(HIT)との関連ワクチン接種後に発症する TTS は HIT と病態が類似する疾患として報告された[8]。

HIT はヘパリン投与が誘因となり、血小板第 4 因子/ヘパリン複合体に対する抗体が誘導され、血小板や単球のFcγRIIA への結合を介して、血小板の活性化やトロンビン過剰産生、血栓塞栓症、消費性血小板減少
をきたす疾患である[15]。

TTS においても、血小板第 4 因子とワクチンに含まれる free-DNA などが複合体を形成し、複合体に対して形成された抗体が血小板の活性化を惹起する可能性が想定されており、メカニズムの解明にむけた研究が続けられている[1,8]。

TTS と HIT は、ワクチンもしくはヘパリン曝露から血小板減少・血栓症を発症するまでの期間が類似しており(通常発症型 HIT ではヘパリン投与後 5-14 日で発症)、いずれの疾患も大部分の患者で ELISA 法での抗血小板第 4 因子抗体が陽性となり、抗体機能検査で血小板活性化能が確認される[1-3,15]。

両疾患で動静脈血栓症が観察されるが、
血栓好発部位は異なり、TTS で脳静脈血栓症、内臓静脈血栓症(門脈系血栓(症))が多いと報告されているが、HIT では下肢深部静脈血栓症や肺塞栓症が多い。また TTS では出血合併例がみられることも両者の相違点である。

検査所見では、TTS で HIT よりも血小板減少や D-ダイマー上昇、フィブリノゲン低下などの凝固異常が顕著にみられる傾向がある[1-3,16]。

抗血小板第 4 因子抗体検出については、本邦で HIT の診断に用いられているラテックス凝集法(LIA)または化学発光免疫測定法(CLIA)は、TTS では偽陰性になることが報告されているので、ELISA 法での確認が必要である[3-4]。

また抗体機能検査で、典型的な HIT 患者由来の検体では生理的濃度のヘパリンを追加することで血小板活性化を認めるが、TTS 患者由来の検体ではヘパリン非依存性に血小板活性化を認めることが多い[1-3]。

HIT の一型として、ヘパリン非依存性に血小板活性化を惹起する抗体の存在が知られており、自己免疫性ヘパリン起因性血小板減少症(autoimmune HIT: aHIT)と呼ばれている。

aHIT は顕著な血小板減少や DICを合併することが報告されており[17]、TTS と類似した臨床像を示すことは興味深く、病態解明にむけた研究が望まれる。
4.TTS の診断
1)TTS を疑う臨床所見*
ワクチン接種後 4-28 日(ワクチン接種日を 0 日)に、新たに発症した血栓症に関連した以下の症状がある。ヘパリン使用の既往は問わない。
a. 脳卒中を疑う症状(片側顔面麻痺、片側運動麻痺、言語障害、共同偏倚、半側空間無視など)
b. 脳静脈血栓症を疑う症状(重度で持続する頭痛、視覚異常、痙攣発作またはそれに近い状態、悪
心嘔吐など)
c. 内臓静脈血栓症を疑う症状(重度で持続する腹痛、悪心嘔吐など)
8
d. 深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症を疑う症状(下肢痛または腫脹、胸痛や息切れなど)
e. 出血性梗塞、点状出血、皮下出血など出血傾向を伴う場合もある。
* 臨床所見で TTS を疑った場合、すべてのヘパリン類、ヘパリンコーティングカテーテル(圧ライン
やヘパリンロックも)を避ける。
2)検査
a. 画像診断:症状に合わせた血栓症の診断に必要な画像検査を選択する。
- 脳静脈血栓症が疑われる場合:MRI T2*強調画像や SWI、MR venography、または CT および CT 血管造影(静脈相を含む)を行う。また、非典型的な脳出血やくも膜下出血の場合は TTS の可能性を考慮する。
- 内臓静脈血栓症が疑われる場合:造影CT、腹部超音波検査、腹部/骨盤MRI等
- 肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症が疑われる場合:造影CT(胸部〜下肢)、経胸壁心超音波検査、下肢静脈超音波検査等
- 心筋梗塞が疑われる場合:経胸壁心臓超音波検査、心電図等
- 脳梗塞が疑われる場合:頭部 CT、頭部 MRI 等その他の臓器血栓症が疑われる場合にも造影 CT や超音波検査を用いた検査を実施することを考慮する。

同時に複数箇所の血栓症を併発する症例や無症候性の内臓静脈血栓症も報告されており、頭部〜下肢までの造影 CT や腹部超音波検査なども必要であれば考慮する。
b. 全血算(血液像を含む):血小板数の確認は必須である。
各施設の基準値未満(およそ 15 万/μL)で、3 万/μL 以下の著明な血小板減少をきたすことがある[2-3]。

TTS では破砕赤血球は特徴的な所見ではないため、血液像での破砕赤血球の有無は診断の一助となる。

しかし、一例のみ血栓性微小血管症を併発した TTS の報告があるため、診断には注意を払う必要がある[7,18]。
c. 凝固線溶検査:PT、APTT、フィブリノゲン、D-ダイマーを測定する。
D-ダイマーが著増(基準値上限の 4 倍以上)している場合、TTS の可能性が高い[6]。

また、播種性
血管内凝固(DIC)を合併し、出血傾向を呈する TTS(PT 延長、フィブリノゲン低下)が報告されて
いる[2-3]ので、必要に応じて凝固活性化マーカー(SF や TAT)、FDP、AT、プラスミノゲン、PIC、α2 PI などの追加測定を考慮する。
d. 抗血小板第 4 因子抗体(ELISA 法)[保険未収載]:臨床症状(血栓症、血小板減少)に加えて、本検査が陽性の場合、TTS の確定診断となる。
ELISA 法による測定は本手引き作成時点では、保険収載されておらず、国内で測定はできない。
ELISA 法の実施施設を調整中であり、決定次第、改定する。現在、国内で施行可能な抗血小板第 4因子/ヘパリン複合体抗体(いわゆる HIT 抗体)はラテックス凝集法(LIA)または化学発光免疫測定法(CLIA)であるが、TTS での感度は LIA 0.0% CLIA 5.9%と偽陰性になることが報告されているので測定しないことを推奨する[3-4,19]。

尚、ELISA 法は HIT では偽陽性率が高いことが知られており、TTS でも偽陽性が確認されていることから[20]、例え陽性であってもそれだけでは診断の確定には至らないことに留意する必要がある。
ELISA 法で検出された抗血小板第 4 因子抗体により血小板凝集が誘導されるか否かについては機能的測定法で確認する必要があるが、機能的測定法は高度の精度管理が求められ、実施可能な施設は限られている。
3)診断手順
a. ワクチン接種後に血小板数低下と血栓症を認めれば TTS の可能性を考える。

D-ダイマーが著増(基準値上限の 4 倍以上)していれば TTS の可能性は高いが、D-ダイマーが軽度上昇(基準値上限の 1-2 倍程度)の TTS 症例も報告されているため、D-ダイマー著増は診断に必須ではない[1]。

TTS を疑えば、抗血小板第 4 因子抗体(ELISA)の結果を待たずに TTS として治療(後述)を開始することを推奨する。
b. 画像検査で血栓症を認めない、あるいは血小板数の低下がない場合は、TTS は否定的であるが偽陰性の可能性も否定できない。

また、初診時に血小板減少を認めないが経時的に TTS に進行する場合
もあるため、上記検査を適宜再検し、推移をみることを推奨する。
4)鑑別すべき疾患と見分けるポイント
鑑別すべき疾患として、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)、血栓性微小血管症(TMA, 血栓性血小板減少性紫斑病や溶血性尿毒症症候群など)、免疫性血小板減少症(ITP)、DIC、抗リン脂質抗体症候群(APS)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、悪性腫瘍、血液がんなどがある。

しかし、治療の遅れは転帰を悪化させる恐れがあるため、鑑別診断を進めつつ速やかに TTS の治療を開始する。

本手引き作成時点で国内には TTS の確定診断を行う方法はなく、また、海外でもゴールドスタンダードとなる診断方法はまだ確立していない。

そのため、TTS 以外の疾患を除外することが重要であり、確実な鑑別のためには血栓止血の専門家に相談する。以下は主な鑑別点である。
HIT: ヘパリン投与歴の聴取が重要となる。
TMA (TTP): 末梢血塗抹標本で破砕赤血球の確認、網状赤血球増多、間接ビリルビン増加、高 LD 血症、ハプトグロビン低下、特に TTP では ADAMTS13 活性が著減する。
ITP: 鑑別が困難なことが多い。血小板減少のみがみられる場合や出血を伴う症例では ITP の可能性も考慮する。
DIC: TTS において DIC 様所見(フィブリノゲン著減、D-ダイマー著増など)をきたすことがあるため、鑑別が困難なことが多い。

基礎疾患の有無や血栓の存在部位、DIC 診断基準を参考にして推定する。
APS: 抗リン脂質抗体(ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体、抗 β2GPI 抗体)の存在証明が必要である。
PNH: 顕著な溶血所見(正球性貧血、網状赤血球増多、間接ビリルビン増加、高 LD 血症、ハプトグロビン低下)が TTS との鑑別点だが、PNH 血球(抗 CD55/CD59 抗体)の証明で確定させる。

5.TTS の治療
TTS は新しい疾患概念であり、有効性や安全性のエビデンスが確立した治療法は存在しないが、aHIT と類似した病態であることから、aHIT に準じた治療(免疫グロブリン静注療法ならびに抗凝固療法)が有効である可能性が欧米から報告されている。

TTS を疑えば、抗血小板第 4 因子抗体(ELISA)の結果を待たずに治療を開始することを推奨する。ただし、HIT とは異なり、血小板数やフィブリノゲン値の著しい減少、凝固時間の延長を伴うことが多く、出血(重篤な出血性梗塞や脳出血など)を高頻度に合併することには注意が必要で、抗凝固療法に際しては出血と血栓症のリスクバランスを考慮する必要がある。

本項では、本手引き作成時点において候補となる、TTS 全般に対する治療法について述べる。個別の血栓症(脳静脈血栓症など)に対する治療法については、付録の中で言及する。

なお、本手引き作成時点では、いずれの治療も TTS の治療として保険適用はない。
1)免疫グロブリン静注療法(1g/kg/日, 2 日間)[保険適用外]
静注用ヒト免疫グロブリン製剤(IVIg 製剤)を高用量投与(体重 1kg あたり 1g を2日間)することが推奨される。

IVIg 製剤は、抗血小板第 4 因子抗体が FcγRIIA を介して血小板や単球/マクロファージを活性化するのを抑制し、TTS の病態を改善できる可能性が示唆されている。

このため、投与する IVIg 製剤は Fc 部分が保持された完全分子型である必要がある(10%製剤であれば、本邦ではすべて完全分子型である;献血ヴェノグロブリン IH 10%静注、献血ポリグロビン N 10%静注、ピリヴィジェン 10%点滴静注)。

TTS に類似する aHIT では高用量 IVIg の有効性が示唆されていて[21-23]、TTS においても高用量 IVIg による経過の好転が報告されている[1-3]。

2)ヘパリン類
TTS においてヘパリン類が病態を悪化させるという直接的なエビデンスは報告されていないが、HIT に準じ、現時点では未分画ヘパリンおよび低分子ヘパリンの使用は避けるのが妥当であろう。
3)ヘパリン以外の抗凝固薬専門家に迅速に相談のうえ、出血と血栓症のリスクバランスを考慮し、以下の抗凝固薬の投
与を検討する。

薬剤の選択にあたっては、患者の状態(腎機能、肝機能、意識レベル、出血リスクな
ど)、薬剤の特徴(用量調整のしやすさ、投与経路、モニタリング方法、半減期、費用など)、使用
経験などをもとに判断する。重篤な出血症状を認める場合、上記 IVIg 製剤を先行させるのが妥当と考
えられる[6,9]が、血小板数が回復基調を示して出血リスクが回避され次第、血栓症の治療のために以
下のいずれかの抗凝固薬の投与を開始する。
a. アルガトロバン:HIT に対して適応のある抗トロンビン薬である。血小板数が 5 万/μL 以上でベースラインの APTT が正常であれば、正常対照値の 1.5-2.5 倍程度(血小板数が低いときは 1.5 倍程度)を目安に投与量を増減するのが、エビデンスに乏しいものの妥当と考えられる[9]。

ただし、
TTS では血小板数やフィブリノゲン値に応じて HIT よりも出血性副作用のリスクに注意する必要があり、十分な説明と注意深い用量調整が必要である。

また、APTT 試薬には多様性があり、アルガトロバンに対する感受性も異なるため、高感度の試薬を用いている施設では治療域が 1.5-2.5 倍よりも高く、感度の低い試薬を用いている施設では治療域が 1.5-2.5 倍よりも低くなることに注意が必要である。
b. 直接作用型経口抗凝固薬(DOAC):本邦において非弁膜症性心房細動および静脈血栓塞栓症以外の
適応はないが、比較的軽症で経口摂取可能な TTS 症例に対しては、有望な治療薬候補となり得る。
用量をどのように調節するかは不確定である。

また、WHO の暫定ガイドラインでは、抗凝固薬の第一選択として、経口活性化凝固第 X 因子阻害薬(リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン)が提案されている[10]。
c. フォンダパリヌクス:本邦において急性肺血栓塞栓症、急性深部静脈血栓症、術後静脈血栓塞栓症予防に対して適応のある Xa 阻害剤である。海外では HIT に対しての使用実績があり、アルガトロバンに劣らない有効性と安全性が示唆されている[24]。

血小板数が 5 万/μL 以上の場合には、体重に応じて 5/7.5 mg 製剤の投与を考慮する[9]。

血小板数が 3-5 万/μL の場合には 2.5 mg 製剤の投与を考慮する。半減期が 14-17 時間と長く、中和剤がないため、出血性副作用に注意する必要がある。
d. ダナパロイド:DIC に対して適応のある Xa 阻害剤である。海外では HIT に対しての使用実績があり、アルガトロバンよりも重大出血が少ない可能性が示唆されている[24]。

ただし、半減期が 17-28時間と長く、出血した際に薬効をキャンセルしにくい点には注意する必要がある。
e. ワルファリン:ワルファリンは凝固因子だけでなくプロテイン C 系抗凝固因子も抑制し、導入時期の血栓リスクを高めることから、HIT では急性期には投与しないことが推奨されている。

TTS においてもこれに準じて血小板数が回復するまでは投与を避けるべきと考えられる。
4)ステロイド
血小板減少や出血が顕著な場合、デキサメサゾン(40 mg/日, iv, 4 日間)もしくはプレド
ニゾロン(1-2 mg/kg/日)の併用を考慮できる。有効性に関するコンセンサスは得られていないが、有害性を上回る可能性が考えられる。

ただしワクチンの効果を損ねる可能性は否定できない。

ステロイドによって血栓症が増悪する懸念もあるため、投与に当たっては十分な説明とモニタリングが必要である。
5)抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレル、プラスグレル、シロスタゾールなど)
HIT ではヘパリン以外の抗凝固薬のみで治療することが提案されており、TTS でもこれに準じて抗血小板薬の使用は避けた方が良いと考えられる。抗血小板薬のみでは TTS における血小板活性化を抑制しきれないことが想定され、出血のリスクを増大させるおそれがある。

動脈系の血栓症を併
発している患者で、ヘパリン以外の抗凝固薬に加えて抗血小板薬を投与することの有効性は不明である。

また、TTS 以外の疾患に対して抗血小板薬を使用している患者で、抗血小板薬を中止または継続してよいかどうかを判断する十分なデータはない。

6)血小板輸血
原則として血小板輸血を避ける。ただし重篤な出血合併症があったり、侵襲的な処置が必要となった場合は考慮してもよい。
7)新鮮凍結血漿血液製剤の使用指針に基づき、フィブリノゲン低下(参考値:150 mg/dL 以下, またはこれ以下に進展する危険性がある場合)、PT 延長(PT-INR 2.0 以上, または PT 30%以下)、APTT 延長(各施設における基準の上限の 2 倍以上, または 25%以下)を伴う場合には、新鮮凍結血漿の補充を考慮する。
8)血漿交換[保険適用外]
高用量 IVIg に治療抵抗性を示す場合、血漿交換を考慮できる。

血漿交換を繰り返すことにより、抗血小板第 4 因子抗体を低下させ、血小板の活性化を抑えられる可能性が、HIT において報告されている[25]。

ただし、抗血小板第 4 因子抗体を完全に除去することは困難であり、出血のリスクも伴うことから、高用量 IVIg に治療抵抗性を示す症例に限定することが望ましい。
9)慢性期の治療
TTS 慢性期においては経口抗凝固薬の継続が妥当である。本邦において DOAC は非弁膜症性心房細動および静脈血栓塞栓症以外の保険適用はない。

従って、TTS で多くみられる脳静脈血栓症においては、血小板が完全に回復した後より、ヘパリン以外の抗凝固薬(アルガトロバン,フォンダパリヌクス,ダナパロイド等)を併用した上でワルファリンを開始し、PT-INR 2.0-3.0 を目標としたワルファリンによる抗凝固療法の継続を考慮する。

併用したヘパリン以外の抗凝固薬はワルファリンが治療域に達してから中止する。

一方、血小板減少を伴わない脳静脈血栓症において、ダビガトラン[保険適用外]とワルファリンを比較した無作為化試験[26]や、DOAC[保険適用外]の安全性を示唆するメタ解析[27]があり、AHA/ASA Stroke Council Leadership は、TTS に関連した脳静脈血栓症において、血小板が完全に回復した後より、ワルファリン以外にDOAC[保険適用外]の使用も提案している[28]。
静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)合併例ではワルファリン以外に DOAC の使用も考慮される。

これら以外の臓器における静脈血栓症では PT-INR 2.0-3.0 を目標としたワルファリンによる抗凝固療法の継続を考慮する。

急性期より DOAC を開始し安定した症例では慢性期も DOAC 継続が妥当であろうが、前述したように非弁膜症性心房細動および静脈血栓塞栓症以外に保険適用はない。

小板減少を伴わない脳静脈血栓症における慢性期抗凝固療法は、少なくとも 3 ヵ月間の継続が妥当とされているが、症例によっては 3 ヵ月以上の継続が選択され得る[29]。

しかし、TTS に関連した脳静脈血栓症における適切な抗凝固療法継続期間は不明である。

これら経口抗凝固薬の終了前に血小板数、D-ダイマーの正常化と血小板第 4 因子に対する抗体陰性化を確認することは参考になる[30]。

動脈血栓症合併例において慢性期に抗血小板薬を継続すべきかどうかは不明である。経口抗
凝固薬との併用は出血性合併症リスクを上昇させる事を十分踏まえた上で、必要最低限の用量および投与期間に留めるのが妥当である。
また、TTS 発症例または TTS の可能性がある症例では、2 回目のバキスゼブリアⓇ投与は避けるべきである[30]。

おわりに
本手引きは COVID-19 ワクチンに関連した疾患に対する診断や治療をまとめ、日常診療で遭遇した場合の対応方法を提言するために作成したものであり、ワクチン接種に伴う副反応を強調したも
のではない。ワクチン接種によって万が一、副反応(TTS)が発生した場合は、本手引きを参考に適切な医療の提供に務めていただきたい。
TTS は新しい概念の病態であり、確定診断のための抗体検査(ELISA 法)の導入、治療の候補薬の保険収載、さらにはワクチンとの因果関係の解明など、多くの課題が残されている。

今後、新たな知見が加わる度に、本手引きは改訂していく予定である。読者には最新版を参照されたい。
謝辞:本手引きの作成にあたっては、橋本洋一郎先生(熊本市民病院 脳神経内科)から医学専門家としての意見をいただいた。


COVID19新型コロナワクチンて本当に安全?

2021年07月10日 13時21分35秒 | 医科・歯科・介護

はちのへ99クリニック

政府や報道は、新型コロナワクチンは、稀なリスクはあっても十分に利益が有り余っているので、接種に躊躇することはない、ということで接種を強く推奨していますが、本当にそうなのでしょうか?小学校6年生レベルの算数を使って考えてみました。

【接種しなかった場合のリスクと接種した場合のリスクの比較】

 新型コロナに罹った場合(PCR陽性となった場合)の死亡率は全年齢を含めて1.4%程度、70歳台で4.5%80歳台で12.3%とかなり死亡リスクが高いことがわかっています。一方、ファイザー製ワクチンを接種した9,759,770人の内、530日時点で139人の方が亡くなっています。

接種から死亡までの期間は当日から約3週間の間で平均で5日でした。勿論、この中にはワクチンの副作用とは無関係の死亡がたくさん含まれている可能性はあります。

しかし、もし全死亡例がワクチンの副作用であったと最悪の見積りをしても、ワクチン接種後の死亡率は0.0014%であり、新型コロナに罹患した場合の死亡率より遙かに低いことを理由にワクチン接種のメリットはデメリットより十分に高いと説明されているのだと思います。

 しかし、ここには新型コロナに感染するリスクは考えられていません。この一年半の間に全国で78.1万人が感染しましたが、それは161人に一人の割合で感染者は1%にも達していません。実際、青森県の死亡者数は30人であり、これは青森県の人口1,249,000人の0.0024%(この一年半で青森県人が新型コロナで死亡したリスク)であり、ワクチン接種後の死亡率とそれほど大きな差は無くなってしまいます。同じ計算を東京で行うと東京都民がこの一年半で死亡したリスクは0.016%となり、ワクチン接種後の死亡リスクより約10倍多い事になります。

 この計算からすると、ワクチン接種のメリットは政府や報道が言っているほどは高くないように見えます。

【ワクチン接種後の死亡率は通常の死亡率より高いか?】

日本の人口 126,300,000

  65歳未満 90,415,000

  65歳以上 35,885,000

年齢別年間死亡者数(令和元年)

  65歳未満 126,770

  65歳以上 1,253,839

一日に死亡する確率(上記から計算)

65歳未満 1/260,325人  

65歳以上 1/10,446人  

ワクチン接種人数

  65歳未満 4,454,060人

  65歳以上 5,305,710

ワクチン接種人数が通常の死亡率で亡くなった場合の予測死亡者数

  65歳未満 1日で17 5日で86

  65歳以上 1日で508人 5日で2540

ワクチン接種後の死亡数(接種から死亡までの平均日数約5)

  65歳未満  21人

  65歳以上  118人

 上記計算からは、ワクチン接種によって決して死亡率が上がっておらず、むしろ65歳以上では極端に低下していることが分かります。しかし、だからワクチン接種後の死亡はワクチンとは無関係、とは言えないと思います。通常、ワクチンは重篤な急性疾患(今現在肺炎や急性心筋梗塞で闘病中など)や死が近づいている慢性疾患(癌の末期など)の方には接種が予定されていません。通常は急変して亡くなる方は少なく、死の1-2週間前には近々の死が予測されてから亡くなる方が多いと思われ、このような方は接種の対象になっていないからです。

 ワクチン接種が死亡率を上げているかどうかは、ワクチン接種予約後に突然の死亡によりワクチン接種キャンセルになった方を集計し、ワクチン接種後の死亡率と比較すれば、かなり信憑性の高いデータが得られると思います。

【ワクチン接種後死亡者の死因と通常の死因の割合を比較してみた】

  令和元年死亡者数
死因 総数 自殺相対比率 65歳以上 自殺相対比率 65歳未満 自殺相対比率
出血性脳卒中 33990 1.75 26809 1.38 7090 0.36
心不全 85565 4.40 82837 4.26 2718 0.14
急性心筋梗塞 31429 1.62 27818 1.43 3607 0.11
脳梗塞 32015 1.65 31181 1.61 833 0.04
大動脈瘤・解離 18830 0.97 16949 0.87 1879 0.10
肺塞栓症 1579 0.08 1310 0.07 269 0.01
自殺 19425 1.00 6290 0.32 13099 0.67
  ワクチン接種後死亡者数
死因 総数 自殺相対比率 対自然死比率 65歳以上 自殺相対比率 対自然死比率 65歳未満 自殺相対比率 対自然死比率
出血性脳卒中 63 10.5 6.00 30 5.00 2.86 33 5.50 15.1
心不全 21 3.50 0.79 15 2.50 0.57 6 1.00 7.15
急性心筋梗塞 18 3.00 1.85 15 2.50 1.55 3 0.50 4.71
脳梗塞 10 1.67 1.01 7 1.17 0.71 3 0.50 11.7
大動脈瘤・解離 5 0.83 0.86 2 0.33 0.34 3 6.00 62.0
肺塞栓症 9 1.50 18.45 3 0.50 6.15 6 1.00 72.2
自殺 6 1.00 1.00 0 0.00 0.00 6 1.00 1.48

スマホの方は表の一部が見えないかも知れません。

 この表は、令和元年の日本における死因別死亡者数と5月30日までに報告されたファイザーワクチン接種後の死因別死亡者数から作られています。ただし、ワクチン接種者の年齢比率は、一般人口の比率と比べて65歳未満が1/3でしたので、65歳未満は実際の死亡者数の3倍に修正してあります。

青字の自殺相対比率の部分は、一番ワクチンとは関係無さそうな死因である自殺者数を1とした場合の各死因別死亡者数の比率を示しています。令和元年の出血性脳卒中の死亡者数は自殺の死亡者数の1.75倍、ワクチン接種後の出血性脳卒中の死亡者数は自殺の死亡者数の10.5倍となります。

赤字の数字はワクチン接種後の自殺相対比率が令和元年の自殺相対比率の何倍になったかを示しています。データ数が少ないので、あまり信頼性はなく、また小学校6年生レベルの算数だけで考えており、統計的処理を施していません。よって、青字や赤字の絶対値には意味がありませんが、他の死因との比較の参考になります。

出血性脳卒中と肺塞栓症が多そうだと言うことが見えてきます。厚労省の報告では死亡した139例全てにおいて「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの」とされていますが、全体のデータを見ると、ワクチン接種後の死亡者のある程度はワクチンと因果関係があるように見受けられます。

 元々、新型コロナ感染症そのものが高率に血管系合併症を起こすことが知られています。mRNAワクチンは体内で人間の細胞にスパイク蛋白を作らせますが、ウィルスそのものが持っているスパイク蛋白が血管系合併症の原因になっているとすると、ワクチンによって作られたスパイク蛋白が同様の悪さをすることは納得出来るようにも思います。これは、ほとんど私の妄想ですが。

【まとめ】

 新型コロナワクチンによる血管系合併症による死亡はある程度存在することが疑われますが、その頻度は勿論それほど高くないと思います。ただ、ワクチンの接種のメリット・デメリットは、新型コロナに罹患した場合と比較するのではなく、感染するリスクが低いことも考えると、青森県では東京に比べてワクチンのメリットはそれほど大きくないという考え方もできます。

また、高齢者は罹患した場合の死亡リスクが高いので、感染するリスクが少なくてもワクチン接種のメリットはかなり大きいと思いますが、罹患しても死亡リスクが少ない若い人は検討の余地があるかと思います。

特に、生殖機能に関する長期的な安全性は確認されていません。集団免疫を獲得して早く社会を通常に戻すためにはできるだけ多くの人が接種した方が良いことは間違いないと思いますが、個人の立場からすると必ずしもそうとは言えないかも知れません。

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ワクチン接種の打ち手が足りない、といこうとで歯科医師、救命救急士、検査技師などが検討もしくはすでに担当されています。多くの病院では筋肉注射は看護師が99%以上実施していると思います。

私も医師になって約40年になりますが、今まで筋肉注射を実施した記憶は一度もありません(もしかしたら1-2回やったかもしれません)。医師は血管内注射はやりますが、筋肉注射や皮下皮内注射はほとんど行っていないと思います。

ワクチン接種に関しての医師の役目は、予診票から接種が可能かどうか判断することと、強い副反応が生じた場合に適確に対応することであり、注射を行うのは、最も慣れている看護師が実施するべきだと思います。

ワクチン接種の打ち手が足りない、といことは看護師が足りないので歯科医師、救命救急士、検査技師などが接種担当に選ばれたのでしょうか?ニュースからはこのあたりが釈然としません。

実際、医療従事者として私達も某病院で先行ワクチン接種を受けましたが、予診は恐縮にも院長先生や副院長先生に行っていただき、実際の接種は看護師の方に行っていただきました。大体、救命救急士は忙しくて注射どころではないように思います。

5月 25, 2021

ワクチン接種後死亡 “救命措置は適切” 高知 南国市

2021年07月10日 13時19分56秒 | 医科・歯科・介護


南国市は、4日、高齢者を対象に行われた新型コロナのワクチン接種で、接種を受けた高齢者が15分間の経過観察中に倒れ、搬送先の病院で死亡が確認されたと発表しました。

南国市などによりますと、高齢者が倒れたため会場に待機していた救急救命士や医師などが▽気道を確保したり、▽電気ショックを与えて心臓の動きを正常に戻すAEDを使用したりして対応にあたりましたが、改善しなかったということです。

ワクチン接種と死亡の因果関係は分かっていませんが、県などは、「副反応の疑いはないものと見られる」としています。

南国市は「現場では高齢者が倒れたあと、医師などによる適切な救命措置がとられたと考えている」と話しています。

県感染症対策協議会の会長を務める吉川清志医師は、「今回の事例は、これまで知られているワクチンの副反応の、心筋炎やアナフィラキシーにはあたらないと考えられる」としたうえで、「ワクチンを接種することのメリットは大きく、今回のことでワクチン接種を控えることのないようにしてほしい」と話しています


厚労省が新型コロナワクチン接種後の死亡者のデータを隠匿しています

2021年07月10日 12時57分11秒 | 医科・歯科・介護

投稿日:2021年7月7日  かねしろクリニック


厚労省のHPで「新型コロナワクチンの副反応疑い報告について」が公表されています。

資料1-5-1で統計的に纏められていますが、そこで「日本における死亡として報告された事例の報告件数」が表として示されていて100万人接種当たり10.0件が報告されているとあります。

副反応疑い報告の状況について2021.05.12_0001

しかしこれは5/2までの数字であり、その後に更新がされていないように思われますが、実はその後、5/16までに100万人接種当たり12.6件になったと公表されてました。

副反応疑い報告の状況について2021.05.26_0001

その後も死亡報告が増えたためと思われますが、驚くことに厚労省はHPから図2を削除して図1しか見られないようにしました。

6/23の会議でファイザー製で355件、モデルナ製で1軒の死亡報告がありましたが(図3)、6/22時点で1回でもワクチン接種した方は2400万人余り居ましたので(図4)、100万人接種当たりに換算すると死亡者は約14.8件になります。

新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要 2021.06.23_0001  接種人数の推移 2021.06.22

接種が進めば進むほど100万人接種当たりの死亡報告が増えるため、厚労省は意図的にデータを出していないとしか思えません。

死亡者数もワクチン接種者数も公表されているため、計算すれば直ぐに100万人接種当たりの死亡者は分かりますが、そんな単純な事さえ隠匿しようとするのは姑息としか言えません。

本日、ワクチンによる副反応を検討する会議が予定されていますが、重篤な副反応・死亡者の報告がどれだけ増えているか危惧します。

しかしこの会議に出てくるのは副反応疑いと認定され症例だけであり、多くの認定されていない症例があります。

いまだに副反応疑いで亡くなった方は1人も因果関係不明不明とされて保障されていません。

新型コロナ感染者の後遺症の方が余程、因果関係不明だと思いますが後遺症が怖いためにワクチン接種するように言うのに、ワクチン接種後に亡くなられた方は全て因果関係不明というのは全く整合性に欠けます。

新型コロナウイルスはインフルエンザよりも弱いウイルスでほとんどの人が治っているのに、稀に居る症状が酷い人ばかりメディアに出して不安を煽りますが、そもそもワクチンが必要なウイルスではありません。

将来的にも全く安全性が保障されておらず、本来は治験段階ですので国からお金をもらっても良いぐらいですが、ワクチン接種が善で、無料で接種できるために得だと感じさせ、メディアの誘導で早く接種したいとマインドコントロールされている事に皆さん気付いて下さい。


【解説】コロナワクチンの安全性 今後も長期的な評価必要

2021年07月10日 12時54分19秒 | 医科・歯科・介護

2021年01月31日18時30分
 米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品企業ビオンテックが開発した新型コロナウイルスのワクチン[ビオンテック提供]

新型コロナウイルスのワクチン接種に向けた総合調整を担う河野太郎規制改革担当相=19日、東京・永田町の自民党本部
英国で実施中の新型コロナウイルスのワクチン接種=14日、中部スティーブニッジ【AFP時事】
米製薬大手ファイザーの本社前をマスク着用で通り過ぎる老夫婦=2020年12月9日、ニューヨーク【AFP時事】

◆NPO法人医療ガバナンス研究所理事長・上昌広
【新型コロナ】「第3波」の今こそ再考 なぜ中国は感染拡大を抑制できているのか

 新型コロナウイルス(以下、コロナ)ワクチンの開発成功のニュースが続々と報じられている。
 2020年11月9日、米ファイザー・独ビオンテック連合が約4万3000人を対象とした第3相臨床試験の中間解析で90%の有効性を報告したのを皮切りに、11月16日には米モデルナが94%、11月23日には英アストラゼネカが70%、11月24日にはロシアの国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所(以下、ガマレヤ研究所)が91%の有効性を示す中間解析結果を公表した。
 さらに、仏サノフィと英グラクソ・スミスクライン連合や米ジョンソン・エンド・ジョンソン、塩野義製薬などがコロナワクチンの臨床開発を進めている。今年前半には結果が公表されるだろう。
 コロナワクチンの臨床試験の一連の中間解析結果は、専門家の予想を大きく上回るものだった。知人の製薬企業社員は「こんなに効くとは誰も思っていなかったでしょう」と言ったが、私は臨床開発が失敗すると考えていた。米食品医薬品局(FDA)や世界保健機関(WHO)がコロナワクチンの有効性の基準として設定していたのは50%だった。
 感染者を半減させることは、公衆衛生学的には有効だが、一般の方々がワクチンに抱くイメージとは乖離(かいり)があるだろう。ワクチンが有効というなら、麻疹ワクチンや天然痘ワクチンのように、接種すればまず感染しないと考える人が多いはずだ。中間解析結果は、コロナワクチンが、まさにこのレベルで有効であることを意味する。
 では、何が奏功したのだろうか。
◆遺伝子工学を活用
 それは遺伝子工学を活用したことだ。従来のワクチンは、ウイルスを鶏卵や細胞などで培養し、その後、その一部あるいは不活化したもの、あるいは弱毒化したものを接種していた。つまり、ウイルスの病原体そのものを投与して、免疫誘導を試みていたと言っていい。
 コロナワクチンは違う。ファイザー・ビオンテックとモデルナのワクチンはmRNAワクチンだ。これはmRNAウイルスであるコロナの遺伝子の一部、具体的にはスパイクタンパク質をコードする部分を注射して、体内でワクチン由来のスパイクタンパク質を発現させ、免疫が誘導されるのを期待する。
 本稿では詳述しないが、mRNAワクチンの場合、抗体による液性免疫以外に、T細胞という免疫細胞による細胞性免疫も誘導される。一方で、ウイルスゲノムの一部を注射するだけだから病原性はない。
 mRNAワクチンの問題は体内で不安定なことだ。ファイザー・ビオンテックとモデルナは、mRNAを脂質ナノ粒子にくるむことで、この問題を解決した。現在、第一三共も、この方法を用いてコロナワクチンを開発している。
 一方、アストラゼネカとガマレヤ研究所のワクチンにはウイルスベクター(運び手)が利用されている。中国のカンシノ・バイオロジクス、ジョンソン・エンド・ジョンソン、日本のアイロムグループも、同様のやり方でコロナワクチンの開発に取り組んでいる。
 アストラゼネカの場合、ヒトに対しては弱毒性のチンパンジーの風邪ウイルス(アデノウイルス)をベクターとして利用している。接種された人の細胞にアデノウイルスが感染すると、導入された遺伝子が細胞内でスパイクタンパク質を産生する。あとはmRNAワクチンと同じだ。
 mRNAワクチンやウイルスベクターワクチンは、コロナのゲノム配列さえ分かれば設計は容易だ。手間のかかるウイルス培養を必要としないため、安価に大量生産できる。
 21年中にファイザーは20億回分、モデルナは6~10億回分、アストラゼネカは20億回分(10億回分は20年内)、ガマレヤ研究所は5億回分を供給できるという。コロナワクチンは通常2回接種を要するため、この4社で最大30億人分のワクチンが提供できる。こんなことは鶏卵培養を用いた従来型のワクチン製造法では考えられない。
 日本政府はファイザーから1億2000万回分、モデルナから5000万回分、アストラゼネカから1億2000万回分の供給を受けることで合意している。これで全国民のワクチンが確保できたことになる。とかく批判を浴びがちな厚生労働省のコロナ対策であるが、ワクチン確保に成功したことは海外からも高く評価されている。
 ファイザーのワクチンは、マイナス60度の超低温での保管が必要であることなど問題もあるが、接種体制を工夫すれば、何とかなるだろう。
◆なお多い未解決の問題
 問題は効果と安全性だ。mRNAワクチンはコロナワクチンが初めての臨床応用であり、ウイルスベクターワクチンの使用経験も少ない。
 米ジョンソン・エンド・ジョンソンと中国のカンシノ・バイオロジクスがエボラウイルスワクチンとして開発し、それぞれ欧州と中国で承認されているだけだ。体内で1種類のタンパク質を大量に発現させる「一本足打法」が有効だとは、筆者には想像もできなかった。
 中間解析では、ワクチンの効果がいつまで継続するか、今回の臨床試験に登録されていない若年層にも有効かなど、未解決の問題も多い。ただ、これについても着実に前進している。
 例えば、12月3日、米『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』は、モデルナのワクチンが1回目の接種から4カ月後も抗体が維持されていたという研究成果を掲載しているし、モデルナは12月10日から12~18歳未満を対象とした第2、第3相臨床試験を開始している。
 では、現在問題となっていることは何だろう。私が懸念しているのはワクチンの安全性だ。
 臨床医はワクチンの副反応を発症時期と発症頻度に分けて考える。ある程度の頻度で生じる短期的な副反応については、これまでの臨床試験でおおむね明らかになっている。ファイザー・ビオンテック連合およびアストラゼネカのいずれのワクチンとも副反応は強い。
 例えば、アストラゼネカのワクチンの臨床試験では解熱剤であるアセトアミノフェン1グラムを6時間おきに内服することになっていた。1日の総投与量は4グラムだ。日本での常用量は1回0.5グラム程度で、1日4グラムは最大許容量だ。関係者が、当初から強い炎症反応が生じることを予想していたことが分かる。
 副反応はアストラゼネカのワクチンに限った話ではない。11月18日、米科学誌『サイエンス』は、ファイザーとモデルナのワクチンの接種には、強い痛みと発熱を伴うことを紹介する記事を掲載した。この記事によれば、接種者の2%弱が、39度以上の高熱を生じている。
 モデルナの臨床試験に参加した43歳は、接種部位が「ガチョウの卵」のサイズまで腫脹し、38.9度の発熱があり、筋肉と骨が激しく痛んだという。この人物は、「一晩中、電話の前で救急車を呼ぶべきか迷った」そうだ。この症状は12時間続いたという。
 また、12月17日に公開されたFDAの報告書によると、モデルナのワクチン接種後、3人が顔面麻痺(まひ)(ベル麻痺)を発症。プラセボ群では1人であり、FDAはベル麻痺への注意を求めるという。
◆稀だが重大な副反応も
 稀(まれ)だが重大な副反応も報告されている。
 9月初旬、アストラゼネカのワクチンを接種した被験者が横断性脊髄炎を発症した。この病気は脊髄に炎症を生じ、進行すれば感覚消失、麻痺、尿閉や便失禁を生じる。原因はウイルス感染、自己免疫疾患などさまざまで、ワクチン接種後に起こることも報告されている。
 この報告を受けて、世界各地で臨床試験は一時的に中断した。この結果、ワクチン開発で先行していたアストラゼネカは、ファイザー・ビオンテック連合とモデルナの後塵(こうじん)を拝することとなった。
 今後、日本でもコロナワクチンが承認され、大勢の人に接種されれば、さらに稀な合併症も出てくるだろう。
 問題は、長期的な安全性だ。コロナワクチンは第3相臨床試験が始まってから3カ月程度しか経過していない。原理的に長期的な安全性を評価できない。
 ワクチンの長期的な合併症は免疫異常が有名だ。10年、米カイザーパーネンテワクチン研究センターの医師たちが『ワクチン』誌に発表した研究によれば、自己免疫疾患の発症は、自己免疫性溶血性貧血の0.8/10万人年から自己免疫性甲状腺炎の54.1/10万人年まで幅広い。
 これら以外に、若年性関節リウマチ、ギラン・バレー症候群、横断性脊髄炎、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、1型糖尿病など多くの自己免疫性合併症が報告されている。
 このような免疫異常は、ワクチンを打たなくても、ウイルス感染が契機となって発症することがある。ウイルスが感染した細胞を認識したリンパ球が、神経細胞上に発現しているタンパク質をウイルス関連抗原と誤って攻撃してしまうからだ。
 コロナは自己免疫疾患を引き起こしやすいかもしれない。両者の関係を議論した論文が多数発表されている。筆者が米国国立医学図書館データベース(PubMed)で「COVID-19」と「自己免疫(autoimmune)」という単語をタイトルに含む論文を検索したところ、102報にヒットした(20年12月15日現在)。
 ワクチン接種が人為的に疑似感染を誘導する以上、このような自己免疫疾患を発生させるリスクを否定できない。ワクチン接種に伴う免疫異常が顕在化するのは、接種から数カ月後が多い。
 リスクを評価するには、最低でも半年以上の観察期間が必要だ。ところが、このようなデータが出そろうのは、早くても春以降だ。
◆接種の是非は?
 では、皆さんは、どうすればいいだろう。個人の状況に応じて、ワクチンのメリットとデメリットを天秤(てんびん)に掛けて判断するしかない。
 私はもちろん接種する。それは私が臨床医だからだ。どんな形であれ、患者にうつすことは避けたい。多少のリスクがあろうが、ワクチンを接種して、自らの感染を予防しなければならない。
 では、患者さんにはどう説明するだろう。80歳で高血圧・糖尿病の男性から相談を受けたとしよう。このような患者はコロナに感染した場合、致死率が高い。
 12月14日、米国の一部の州でファイザーのワクチンの接種が始まった。米疾病対策センター(CDC)が作成中の指針では、エッセンシャルワーカーに次いで、重い持病を抱える人と65歳以上の高齢者への優先接種が検討されている。
 ただ、私は現状では、80歳の持病がある男性にワクチン接種を勧めない。なぜなら、高齢者は若年者ほどワクチンの効果が期待できず、一方、副反応が出ると重症化しやすいからだ。
 12月10日『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』で公開されたファイザーのワクチンの臨床試験の論文によると、参加者に占める56歳以上の割合は42%だった。彼らの55%が倦怠(けんたい)感、11%が発熱、39%が頭痛を訴え、38%が鎮痛剤の内服を要した。
 55歳以下では、それぞれ34%、1%、25%、20%と少なかった。高齢者ほど副反応が強いことがご理解いただけるだろう。もし、80歳の高齢者に接種した場合、どのような反応が生じるか想像がつかない。
 人種差も大きな問題だ。ファイザーの臨床試験では、アジア系の人の参加はわずかに1608人(4.3%)で、大部分は白人(3万1266人、82.9%)だ。アジア人の安全性が十分に検討されているとは言いがたい。
 では、どうすればいいだろうか。私は先行してワクチン接種を始めた米国や英国のデータを参照したい。
 日本でワクチン接種が始まるのは、早くて今年の春以降だろう。それまでには相当数の経験が海外で蓄積されているはずだ。データに基づき柔軟に考えたい【「厚生福祉」1月19日号より】。


新型コロナワクチンは危ないの? ―ワクチン危険説に対するQ&A

2021年07月10日 12時50分37秒 | 医科・歯科・介護

公開日
2021年03月31日 medicalnote

この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2021年03月31日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。
日本では2021年2月から医療従事者への先行接種が始まっている新型コロナワクチン。SNSなどでは誤解を招くような情報や根拠のない噂が広がり、接種に消極的になっている方もいるようです。

そこで今回は、ワクチン接種に不安を感じている方に向けて、よく見受けられる疑問や不安にQ&A形式でお答えしていきます。(監修:ジョージタウン大学内科助教・安川康介先生/CoV-Navi(こびナビ) 副代表・木下 喬弘先生)

【最終更新日:2021年6月9日】

効果についての疑問

Q1.新型コロナワクチンを打てば、新型コロナウイルスに感染しなくなるのでしょうか?

病原体への感染自体を防ぐ効果のことを“感染予防”効果、病原体に感染したことによって症状が出ることを防ぐ効果のことを“発症予防”効果といいます。2020年12月に発表されたファイザー社の新型コロナワクチンに関する治験では、発症予防効果は95%と高いことが示されました。一方で、その時点では感染予防効果はまだ明らかではなく、「感染自体を減らさないからワクチンは流行抑制には効果がないかもしれない」という懸念がありました。しかし、その後複数の臨床研究において発症予防効果だけでなく、感染予防効果もあることが報告されました。イスラエルで約120万人を対象とした大規模な臨床研究では、無症状の感染を90%以上防ぐ効果が示されています。また、毎週PCR検査を行っているアメリカの医療機関における研究では、日本で承認されたファイザー社およびモデルナ社のmRNAワクチンに、無症状の感染を含む90%の感染予防効果が報告されています。

Q2.さまざまな地域で新型コロナウイルスの変異ウイルスが出現しています。変異ウイルスにもワクチンの効果はあるのでしょうか?

新型コロナウイルスに限らず、ウイルスは常に変異を起こしています。ファイザー社のワクチンでは、英国で問題視された「B.1.1.7(アルファ株) 」という変異ウイルスに関しては、ワクチンの発症予防効果は十分に保たれていることが分かっています。

南アフリカで特に問題となっている変異ウイルス「B.1.351(ベータ株)」については、免疫逃避との関連があると考えられているE484Kという変異があるため、新型コロナウイルスワクチンの効果が下がる可能性も示唆されています。実際に、アストラゼネカ社のベクターワクチンは、B.1.351に対してはほとんど効果が認められなかったとされています。

一方で、接種が先行するカタールでの研究において、ファイザー社のワクチンはB.1351に対しても約75%の効果が保たれていると報告されています。このように、変異ウイルスに対するワクチンの効果は、変異ウイルスの種類、ワクチンの種類によっても異なってくるといえます。

ファイザー社やモデルナ社も、すでにB.1.351に対応する改良したmRNAワクチンを開発し、臨床研究が開始されています。今後さらに強い免疫逃避を起こす新たな変異ウイルスが生まれた場合でも、mRNAワクチンを再開発することで対応できると考えられています。

Q3.新型コロナワクチンは筋肉注射とのことですが、筋肉注射でも呼吸器感染症に効果があるのでしょうか?

ワクチンの有効性は、大規模な臨床試験の結果で確認されています。同じ筋肉注射(日本では皮下注射)で使用されるインフルエンザのワクチンは、発症予防効果が40~60%とあまり高くないのは事実です。しかし、これは注射方法の問題よりも、インフルエンザワクチンの標的となる部分に極めて変異が多いことが大きな理由です。新型コロナワクチンは筋肉注射で行われた大規模な臨床試験の結果、非常に高い有効性が確認されており、十分な効果が認められています。

そのほかのワクチンでも、海外では筋肉注射は広く行われています。これは、筋肉注射のほうが抗体を産生しやすいことや、副反応が少ないことを示唆する研究結果があるためです。

安全性についての疑問

Q4.ワクチンには水銀が入っていると聞きました。体に悪いのではないでしょうか?

ワクチンには添加剤として“エチル水銀(チメロサール)”が含まれている場合があります。ただし、ファイザー社製の新型コロナワクチンではエチル水銀は使用されていません。

また、この“エチル水銀”は水俣病みなまたびょうの原因としても知られる“メチル水銀”とは別物です。メチル水銀と比べて毒性は強くなく、含まれる量もごくわずかなので、ワクチンに含まれているエチル水銀による健康被害を気にする必要はありません。

Q5. 新型コロナワクチンの副反応にはどのようなものがあるでしょうか? ベル麻痺(顔面神経麻痺の一種)や血栓症が起こると聞き、不安です。

ファイザー社やモデルナ社のワクチンでは、接種部位の痛み、頭痛、体のだるさ、筋肉痛などの副反応が報告されています。ごくまれに、重度の副反応であるアナフィラキシーが起きることがありますが、これに対しては確立された治療があり対処可能です。ワクチンを接種した後は15〜30分、アナフィラキシーが起きないか観察されることになります。

また、治験においてワクチン接種後に“ベル麻痺”と呼ばれる顔面神経の麻痺が報告されましたが、これはワクチンを受けていない人でも一定の確率で起こる病気です。その後の調査で、ほかのワクチンと比べても接種後のベル麻痺の頻度は変わらないことが確認されています。

また、血栓症については、日本では承認されていないアストラゼネカ社とジョンソンエンドジョンソン社のアデノウイルスを使ったベクターワクチンで、非常にまれな確率(2021年6月時点で10万~100万回接種に1回)で、血小板の減少を伴う血栓症が報告されています。

Q6.海外で、新型コロナウイルスに感染し回復した人が新型コロナワクチンを打ったところ死亡したと聞きました。感染歴のある人が打つと危険なのでしょうか?

ワクチンを接種した後に何らかの症状が出ると、ワクチンのせいではないかと疑いたくなるものではありますが、ワクチンがその症状の原因であるかどうかは慎重に検討する必要があります。

現在米国などの国では、感染歴があったとしてもワクチンを接種することが推奨されています。これは、感染歴がある方でも新型コロナウイルスに対する免疫があまりできない場合があったり、感染するよりもワクチン接種の方がより多くの抗体が作られることがあったりすることが分かっているからです。新型コロナウイルスへの感染歴のある人が新型コロナワクチンを接種することで、特に重大な副反応のリスクが高くなるということはないと考えられています。

Q7.欧米で開発されたワクチンはアジア人の治験が少ないので、アジア人に対する安全性は不明なのではないでしょうか?

たしかに、ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社の治験は白色人種が中心で、アジア人の割合は約4~5%程度でした。しかし、日本での認可がされるには原則として日本での治験が必要です。そのため、国内で認可されたワクチンは、日本人に対する安全性と有効性が確認されてから接種が開始されています。

また、一般的には人種によってワクチンの有効性や安全性が大きく変わることは考えにくいため、海外製だからといって危険であると考える必要はありません。世界的にワクチン接種は急速に進んでいます。多様な人種がいる米国だけでもすでに2021年6月時点で1億6000万人以上が接種を受けており、アジア人で特に副反応が多いという報告もありません。

Q8.新型コロナワクチンは、ウイルスの遺伝子を人に投与するものだと聞きました。ウイルスの遺伝子が人の体に影響を与えることはないのでしょうか?

結論から言えば、新型コロナワクチンに入っているウイルスの遺伝情報が人体に影響を及ぼすことはありません。

現在日本で接種が開始されたファイザー社製ワクチンは“mRNAワクチン”という種類で、ウイルスの一部であるスパイクタンパク質のmRNA(メッセンジャーRNA)、すなわち遺伝情報を体内に投与するものです。

人の遺伝情報であるDNAはmRNAを作りますが、逆にRNAからDNAが作られることは基本的にはありません。またRNAは細胞の中にある核に入ったり、遺伝情報に組み込まれたりすることもありません。そのため、ウイルスのmRNAが人の遺伝情報に悪影響を及ぼすことはないと考えられます。

また、体内に入ったmRNAは壊れやすく、速やかに分解され、それによって作られたタンパク質も10日以内になくなってしまうと考えられています。このため、長期的な副反応が問題となることは考えにくいとされています。

Q9.新型コロナワクチンで不妊になったり、妊娠中に受けることで胎児に悪影響を与えたりすることはありますか?

新型コロナワクチンに含まれるウイルスのmRNAは、ヒトの細胞に入ってもDNAを書き換えるメカニズムがありません。これは卵子や精子などの生殖細胞でも同様です。米国では、2021年2月時点で約3万5000人の女性が妊娠中にワクチンを接種したと答えています。これらの女性の妊娠・出産経過を詳しく調べたところ、ワクチンを接種していない方と比べて、流産や早産、先天奇形の発生率は変わらないことが分かっています。このことから、妊娠中のワクチン接種が胎児に悪い影響を与えることはないと考えられます。

なお、妊娠中にワクチンを接種した母親から、胎盤の血液や母乳を通して新型コロナウイルスの抗体が移行することが確認されています。したがって、妊娠中にワクチンを接種することで、これらの抗体が赤ちゃんを感染から守ってくれることが期待されています。

Q10.新型コロナワクチンを打つと持病が悪化することはないでしょうか? また、新型コロナワクチンを打ってはいけない基礎疾患はあるでしょうか?

ファイザー社製ワクチンの添付文書では、接種不適当者として重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方、発熱がある方、またワクチンの成分に対して重度のアレルギーのある方が挙げられていますが、原則としてワクチンを打ってはいけない基礎疾患はありません。持病のある方でもワクチン接種は可能で、安全性には問題がないと考えられます。なぜなら、mRNAワクチンは生ワクチンではないため、ワクチンを接種することで新型コロナウイルスに感染することは原理的にあり得ないからです。

一方で、たとえば臓器移植後や免疫機能が低下している方は、免疫がつきにくいことを示唆する報告はあります。つまり、基礎疾患のある方では、基礎疾患のない方に比べてワクチンの効果が低い可能性があるのです。しかし、WHOは「基礎疾患を有する患者には、ワクチン接種が推奨される」という見解を出しています。特に、がん、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満(BMI 30以上)の人は新型コロナウイルス感染症が重症化するリスクが高く、ワクチンを接種することの利益は大きいと考えられています。実際に、ファイザー社の臨床研究ではさまざまな基礎疾患を持った方が参加され、その有効性と安全性が評価されています。

Q11.アレルギー(食品、薬品、造影剤など)があっても、新型コロナワクチンを打って大丈夫でしょうか?

ファイザー社、モデルナ社のmRNAワクチン接種によるアナフィラキシーは、ポリエチレングリコール(PEG)という物質が原因だと考えられています。したがって、ポリエチレングリコールに対して即時型のアレルギーが出たことのある方はmRNAワクチンを接種することができません。

一方で、特定の食品やほかのワクチンなどに対する重度のアレルギーがある方でも、新型コロナワクチンを接種することは可能です。ただし、過去にアナフィラキシーを起こしたことがある方は、念のため30分程度接種会場で様子を見ることが望ましいと考えられます。

Q12.日本ではワクチン接種後に、くも膜下出血などの脳出血が報道されましたが、コロナワクチンが関係しているのでしょうか? また、アストラゼネカ社のワクチンでは副反応として血栓が報告されていますが、ファイザー社やモデルナ社でも同じリスクがあるのでしょうか?

現在日本で接種が進んでいるファイザー社、モデルナ社の新型コロナウイルスワクチン(mRNAワクチン)は、2021年6月現在米国では2億回以上接種がされていますが、脳出血の原因になるという報告はありません。また、日本で脳出血で死亡した例においても、ワクチンが原因であると判断された例はありません。

アストラゼネカ社のワクチン(ベクターワクチン)では、非常にまれな確率で特殊な血栓症を引き起こすことがあると報告されていますが、この特殊な血栓症がmRNAワクチンでも引き起こされるという報告は現時点ではありません。

ワクチン接種後の疑問

Q13. ワクチンを接種した後熱が続く場合は、市販の発熱怪熱剤を飲んでもよいのですか? ワクチンの効果が下がることはないでしょうか?

新型コロナウイルスワクチン接種後に発熱や痛みが生じた場合、市販の解熱鎮痛剤を服用いただくことは可能です。ただし、ワクチン接種前に解熱鎮痛剤を飲んでしまうと、ワクチンの効果がわずかに下がる可能性も指摘されており、ワクチン接種後に症状に応じて飲むのがよいと考えられます。

新型コロナワクチン接種後には、接種部位の痛みや腫れ、倦怠感、発熱、関節痛、頭痛や筋肉痛などが出ることがありますが、2~3日以内で軽快することがほとんどです。なので、発熱やほかの症状が続く場合は、かかりつけ医へ相談しましょう。

Q14. 1回の接種でも有効率は十分に高いといわれていることから、世間では「1回のみの接種でもいいのでは?」といわれています。これは本当でしょうか?

新型コロナウイルスワクチンは、必ず同じワクチンを2回接種する必要があります。ワクチンで生じる中和抗体の量は、1回の接種では個人差が大きく、またどの程度効果が持続するかも詳しく分かっていません。ただし、ファイザー社とモデルナ社のどちらのワクチンでも、1回目の接種後より2回目の接種後のほうが抗体価が高くなり、より高い効果が得られるといわれています。

なお、ワクチンを受けた後、抗体が作られるためにはある程度の時間が必要であるため、ワクチン接種直後から免疫がついたと考えてはいけません。米国ではfully vaccinated(ワクチン接種完了者)とは、ファイザー社とモデルナ社のワクチンの場合、2回目の接種を受けてから2週間経過した人のことを指します。

ワクチンの開発過程についての疑問

Q15.新型コロナワクチンの開発期間が1年程度というのはさすがに早すぎるのではないでしょうか? きちんとしたものなのか、品質面が不安です。

ワクチンの開発には10年以上の月日を要することも珍しくはないので、新型コロナワクチンの1年程度という開発スピードに不安を感じるのも無理はないでしょう。しかし、新型コロナワクチンは何もない状態から1年で開発できたわけではありません。今回の新型コロナウイルスに似たSARSに対する研究や、長年開発されてきたmRNAワクチンをはじめとする新しいタイプのワクチンの研究成果の蓄積がありました。

そして新型コロナウイルスが発生した後、それまでの研究が新型コロナウイルスに対するワクチンの開発に応用されたのです。また、短期間に膨大な開発資金が投入されたことや治験ボランティアの協力も大きな要因です。

決して開発や治験の段階で手を抜いたり、必要な工程を飛ばしたりしたわけでもありません。異例のスピード開発ではありますが、むしろ治験の規模や審査の厳密性などについては従来のワクチンを上回る部分が多く、品質に問題はありません。


日本国内のワクチン接種状況 副反応の情報

2021年07月10日 12時48分53秒 | 医科・歯科・介護

日本国内でも2021年2月17日に始まった新型コロナのワクチン接種。これまでの接種回数や副反応の情報をまとめています。NHK

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日本国内のワクチン接種状況グラフ

日本国内 ワクチン接種 全人口に占める割合

日本国内全体でワクチン接種を受けた人が、全人口の何パーセントにあたるかを示したグラフです。「1回目の接種を終えた人の割合」「2回目の接種も終えた人の割合」をそれぞれ表示しています。(全人口には、ワクチン接種の対象年齢に満たない子どもも含みます)

※割合を算出する際の母数人口には「2020年1月1日住民基本台帳」のデータを使用しています。

日本国内のワクチン接種状況(累計人数・日ごとの回数)

日本国内では、2021年2月17日から、医療従事者を対象に、アメリカの製薬大手のファイザーなどが開発したワクチンの先行接種や優先接種が行われています。2021年4月12日からは、65歳以上の高齢者を対象にした優先接種も進められています。ファイザーのワクチンは1回目の接種のあと通常3週間あけて2回目の接種を受けます。モデルナのワクチンは1回目の接種のあと通常4週間あけて2回目の接種を受けます。

※「接種回数」は、「1回目の接種」と「2回目の接種」の合計です。

※「1回目」は「少なくとも1回の接種を行った人の数」、「2回目」は「2回の接種を完了した人の数」です。

※日ごと=1日ごとに発表される新たな接種回数。医療従事者などへの土日祝の接種回数は、次の平日にあわせて計上されます。

日本国内のワクチン接種回数(年代区分別・累計)※医療従事者を除く※

日本国内で進められているワクチン接種の累計の回数について「年代別」に表示しています。「65歳以上・1回目」「65歳以上・2回目」と「64歳以下・1回目」「64歳以下・2回目」について、それぞれ色分けをして表示しています。このグラフには、医療従事者は含まれていません。

一般接種の接種状況(高齢者を含む)

日本国内で行われている一般接種の接種状況です。2021年4月12日から65歳以上の高齢者を対象にした接種が始まり、その後、順次、各地で64歳以下の人たちへの接種が進められています。

※「接種回数」は、「1回目の接種」と「2回目の接種」の合計です。

※「1回目」は「少なくとも1回の接種を行った人の数」、「2回目」は「2回の接種を完了した人の数」です。

※日ごと=1日ごとに発表される新たな接種回数。

医療従事者などの接種状況

2021年2月17日から国内で進められている、医療従事者を対象にしたワクチンの先行接種や優先接種の状況です。約480万人が対象になっています。

※「接種回数」は、「1回目の接種」と「2回目の接種」の合計です。

※「1回目」は「少なくとも1回の接種を行った人の数」、「2回目」は「2回の接種を完了した人の数」です。

※日ごと=1日ごとに発表される新たな接種回数。土日祝の接種回数は、次の平日にあわせて計上されます。

65歳以上の高齢者 接種した人の割合

日本国内の65歳以上の高齢者について、ワクチンの接種を行った人の割合を表示しています。「1回目の接種を終えた人の割合」「2回目の接種も終えた人の割合」をそれぞれ表示しています。

※割合を算出する際の母数人口には「2020年1月1日住民基本台帳」のデータを使用しています。

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都道府県ごとのワクチン接種状況

新型コロナのワクチン接種。都道府県ごとの接種状況をまとめています。全体の接種人数、医療従事者などの接種人数、高齢者などの接種人数をグラフにしています。


ワクチンQ&A アレルギーや副反応は

2021年07月10日 12時43分19秒 | 医科・歯科・介護

NMK

コロナワクチン、激しいアレルギー反応=アナフィラキシーなど副反応の不安は?危険性は?コロナワクチンの安全性に関するQ&Aをまとめました。

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Q.ワクチンを接種すると、どんな副反応が起きる?

A.
ワクチンを接種すると、発熱や接種した部分が腫れるなどといった副反応が起きることがあります。

感染症に詳しい国立三重病院の谷口清州臨床研究部長によりますと発熱や腫れなどのワクチンの副反応は、免疫を活性化させるという「主反応」が起きていることの裏返しで、免疫の機能が働いて効果が出ていることの現れだということです。

新型コロナウイルスでもこうした副反応が報告されているため、どのような症状が出るのか事前に知っておくことが大切です。

日本で最初に接種が始まったファイザー製のワクチンについてアメリカのCDC=疾病対策センターは、ワクチン接種後の副反応などを登録する「v-safe」のデータを分析した結果を報告しています。

2021年1月27日に示された資料によりますと、この時点でファイザー製のワクチンを少なくとも1回以上接種された人が1215万人余りいて、このうち
▼接種した場所などに痛みを訴えた人が1回目の接種後には67.7%、2回目の接種後には74.8%、
▼けん怠感を訴えた人が1回目の接種後は28.6%、2回目の接種後は50%、
▼頭痛を訴えた人が1回目の接種後は25.6%、2回目の接種後は41.9%、
そして▼発熱を訴えた人が1回目の接種後は7.4%、2回目の接種後は25.2%などとなっています。

国内では、厚生労働省の研究班が新型コロナウイルスのワクチンの先行接種を受けた医療従事者に出た症状をまとめていて、厚生労働省の専門家部会で報告しています。

2021年4月9日の専門部会で示された報告では、2回の接種を終えた1万9000人あまりについて副反応を分析したところ、▼接種した場所に痛みが出た人は1回目の接種後は92.9%、2回目の接種後は92.4%で接種翌日に痛みを感じる人が多かったということです。

また、▼けん怠感があった人は、1回目の接種後は23.2%、2回目の接種後は69.3%、
▼頭痛があった人は、1回目の接種後は21.2%、2回目の接種後は53.6%、
▼37度5分以上の発熱があった人は、1回目の接種後は3.3%、2回目の接種後は38.1%でした。

接種した翌日に発熱するケースが多く、ほとんどの場合は、体温は次の日には下がるということです。

年代別に見ると、2回目の接種後に▼発熱があった人は20代の51%に対して、65歳以上が9.4%、
▼けん怠感があった人は20代で76.8%だったのに対し65歳以上では38%と
若い世代で頻度が高い傾向が見られました。

さらに、重いアレルギー反応、アナフィラキシーについては、2021年4月4日までに79件が、国際的な指標での分析で アナフィラキシーに該当したということです。

接種は109万6698回行われて、1万3882回に1件の割合となりほぼ全員が軽快しているということです。

アメリカのCDCなどの論文によりますと、ファイザーのワクチンでアナフィラキシーが起きたのは994万回の接種が行われたうちで47件、頻度は100万回の接種につきおよそ4.7件で、このうちの76%が接種から15分以内に、89%が30分以内に起きていたということです。

アナフィラキシーが起きた人の77%は以前にアレルギー反応が出た経験があったということです。

インフルエンザのワクチンでもアナフィラキシーになることがありますが、頻度はおおむね100万人に1人程度だとされていて新型コロナウイルスのワクチンの方が多くなっています。

ワクチンの専門家によりますと、アナフィラキシーが起きた場合でもアドレナリンを注射するなどして適切に対応すれば、命に関わることはないということです。

厚生労働省の専門家部会は「ワクチンの安全性に重大な懸念は認められない」とする見解を示していて、高齢者についても接種後の症状を分析することにしています。

(2021年4月12日時点)

Q.ファイザーワクチン 12歳から15歳の効果と副反応は?

A.
ファイザー社製の新型コロナウイルスのワクチンは、現在、日本でも12歳以上が接種の対象となっています。

このワクチンの添付文書には、12歳から15歳までを対象とした臨床試験のデータが掲載されています。

それによりますと新型コロナウイルスに感染したことがない1983人のうち、ワクチンを接種した1005人では接種後に感染した人はいなかったのに対して、偽薬と呼ばれる偽のワクチンを投与した978人では16人で感染が確認されたということです。

このデータからは12歳から15歳までのワクチンの有効性は100%となります。

また、アメリカのCDC=疾病対策センターのウェブサイトにまとめられた臨床試験のデータによりますと、12歳から15歳のこのワクチンの副反応は、次のようになっています。

・注射した部分の痛みが1回目の接種後で86.2%、2回目の接種後で78.9%
・38度以上の発熱が1回目の接種後で10.1%、2回目の接種後で19.6%
・疲労感が1回目の接種後で60.1%、2回目の接種後で66.2%
・頭痛が1回目の接種後で55.3%、2回目の接種後で64.5%

一方で、強いアレルギー反応のアナフィラキシーは、この時点では報告がなかったということで、そのほかの深刻な副反応もみられていないということです。

ただ、発熱や頭痛などの比較的軽い副反応は高齢者に比べて若い世代のほうが強く出る傾向がみられ、例えば38度以上の発熱は、いずれも2回目の接種で、12歳から15歳まででは19.6%だったのに対して、18歳から55歳では15.8%、56歳以上では10.9%などとなっています。

また、日本小児科学会では2021年6月16日に子どもへのワクチン接種に対する考え方を公表しています。

この中では、健康な子どもへのワクチン接種について、感染対策で子どもの生活がさまざまな制限を受けていることや感染した場合まれに重症化することなどを挙げて接種する意義はあるとしました。

ただ、子どもは新型コロナウイルスに感染しても軽症が多いことなどから、ワクチンを接種する際には子ども本人と養育者がメリットとデメリットを十分に理解していることや、接種の前からあとまできめ細やかな対応を行うことが必要だとしています。

(2021年6月16日時点)

Q.ファイザーワクチンの副反応は?

A.
予防接種の実施に関するアメリカの諮問委員会によりますとファイザーなどが開発した新型コロナウイルスのワクチンを接種したおよそ99万7000人のうち1回目の接種では▽接種部位の痛みを訴えた人が67.7%、▽疲労が28.6%、▽頭痛が25.6%、▽筋肉痛が17.2%、▽発熱が7.4%、▽関節の痛みが7.1%、▽悪寒と吐き気がそれぞれ7%、▽腫れが6.8%で報告されました。

また、重いアレルギー反応も報告されています。

接種が始まってから1月18日までにアメリカで行われた994万3247回の接種について調べた結果、50件で「アナフィラキシー」と呼ばれる重いアレルギー反応が確認されたということです。

20万回の接種につき1.0057件の割合で確認された計算になります。

▽症状が出た人の年齢は26歳から63歳で中央値は38.5歳、▽94%が女性でした。

また、▽74%が接種から15分以内に、▽90%が30分以内に症状が出たとしています。

80%は、過去に薬や食べ物などでアレルギー反応が出た経験があったということです。

(2021年2月16日時点)

Q.モデルナワクチンの副反応は?

A.
モデルナの新型コロナウイルスのワクチンについて、国の研究班が接種後の症状を分析したところ、接種から2日後にかけて痛みや発熱などを訴える人が目立ち、ピークは翌日だったということです。

厚生労働省の研究班は、モデルナのワクチンの1回目の接種を受けた自衛隊員1400人余りについて接種後の症状を分析しました。

それによりますと
▼症状で最も多かったのは「接種部位の痛み」で
▽接種の当日に確認された人が63%、
▽翌日が86%、
▽翌々日が68%でした。

また、
▼「全身のけん怠感」は
▽接種の当日が13%、
▽翌日が22%、
▽翌々日が16%、

▼「頭痛」は
▽当日が7%、
▽翌日が12%、
▽翌々日が8%、

▼37度5分以上の「発熱」は
▽当日が1%、
▽翌日が4%、
▽翌々日が2%でした。

いずれも接種の翌日が最も多く、3日後には症状がおさまる傾向が見られたということです。

また、「全身のけん怠感」と、「頭痛」、「発熱」は、若い人のほうが発症する人が多く、20代が最多でした。

国の研究班の代表で、順天堂大学医学部の伊藤澄信客員教授は「ファイザーのワクチンと同様、若い世代ほど症状が出やすい傾向がある。2回目の接種後は1回目より症状が出る可能性があり、注視していきたい」としています。

(2021年6月25日時点)

Q.アナフィラキシーと呼ばれる激しいアレルギー反応が起きるケースは?

A.
新型コロナウイルスのワクチンを接種したあとのアナフィラキシーは、すでに接種が始まっているアメリカなどで報告されています。

アメリカのCDC=疾病対策センターの報告によりますと、アナフィラキシーの症状が報告されたケースは、次のとおりです。

▼アメリカの製薬大手ファイザーなどが開発したワクチンでは、2020年12月23日までに1回目の接種を受けたおよそ190万人のうち21人。

▼アメリカの製薬会社モデルナのワクチンでは、2021年1月10日までに1回目の接種を受けたおよそ400万人のうち10人。

症状が出た人の中ではふだんから何らかのアレルギーがあった人が多く、経過が分かっている人は全員が回復したということです。

報告の中でCDCは、ワクチンでアナフィラキシーが起こることはまれだとした上で、「アナフィラキシーは命を脅かすおそれがあり、早急な治療が必要だ。ワクチンの接種会場には症状を緩和する薬剤、『エピネフリン』の投与ができるなど、必要な設備と訓練されたスタッフが必要だ。ワクチン接種を受けた人には、会場を離れたあとでも、アレルギー症状の兆しがあればすぐに医療ケアを受けるよう説明すべきだ」としています。

アナフィラキシーは重大な副反応ですが、エピネフリンを注射するなど、すぐに対応すれば命に関わることはないとされています。

厚生労働省はウェブサイトで、「接種後にもしアナフィラキシーが起きてもすぐに対応が可能なよう、予防接種の会場や医療機関では、医薬品などの準備をしています」と説明しています。

(2021年2月12日時点)

Q.“接種後に死亡”したケース 厚労省は因果関係を「評価できない」「評価中」としているがどういうこと?

A.
新型コロナウイルスのワクチンを接種した後で、死亡したケースが報告されていますが、厚生労働省は因果関係については「評価できない」か「評価中」としています。どういうことなのでしょうか。

ワクチンを接種した後で体調不良などがあった場合には「副反応の疑い」として国に報告されます。

この中には、ワクチンを接種した人に出たあらゆる症状が含まれ、接種と関係があるか分からなかったり、すぐに判断できなかったりするケースも多くあります。

この「副反応の疑い」について厚生労働省はウェブサイトで「『接種後の死亡』と『接種を原因とする死亡』は全く意味が異なります。『接種後の死亡』にはワクチンとは無関係に発生するものを含むにも関わらず、誤って『接種を原因とする死亡』として、SNSやビラなどに記載されている例があります」と説明し、接種後に亡くなったケースについて接種が原因とする誤った情報が広がっているとして注意を呼びかけています。

また厚生労働省は「国内外で注意深く調査が行われていますが、ワクチン接種が原因で何らかの病気による死亡者が増えるという知見は得られていません」としています。

新型コロナウイルスのワクチンの効果や副反応などについての最新情報を提供するウェブサイト「CoV-Navi」を運営している木下喬弘医師は「いま日本で使われているワクチンについては、死亡の原因になるような病気の頻度が、自然に発生する頻度よりワクチンを打った後に多いのかどうかということが非常に精密なメカニズムで調べられている。現在のところ、心筋炎以外には、特定の病気が増えていることはなく、その心筋炎もコロナに感染して起きる心筋炎より軽く済んでいる」と話しています。

そのうえで「ワクチン接種のように普段の生活でなかなかないことのあとで起きたことはすぐに原因として結びつけてしまう心理が働く。ワクチン接種との因果関係についてどのように評価されたのかというところまでの情報をわかりやすく発信することも必要だ」と話しています。

(2021年7月2日時点)

 

Q.長い時間がたってから影響が出てくるのでは?

A.
新型コロナウイルスのワクチンは1年に満たない非常に短い期間で開発されたこともあり「長い時間がたってから影響が出てくるのではないか」と心配する声があります。厚生労働省は、日本で使われている「mRNA」ワクチンについて、短期間で分解され、人の遺伝情報に組み込まれるものではないとしています。

これまでさまざまな感染症に対するワクチンの接種が行われてきましたが、アメリカのCDC=疾病対策センターは、これまで接種が行われてきたポリオやB型肝炎、風疹など現在承認されているさまざまなワクチンでは、副反応は接種してから1時間以内から長くても6週間以内に起きているとしています。

新型コロナウイルスワクチンの成分の「mRNA」について厚生労働省は、「mRNAを注射することでその情報が長期に残ったり、精子や卵子の遺伝情報に取り込まれることはないと考えられています」としていて、体の中に入ると数分から数日で分解され、人の遺伝情報、DNAに組み込まれるものではないと説明しています。

また、国際的な科学雑誌「ネイチャー」によりますと、mRNAワクチンが臨床試験で最初に人に投与されたのは15年前の2006年だということです。

国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は、厚生労働省のウェブサイトで「mRNAワクチンは新しいプラットフォームのワクチンではありますが、インフルエンザウイルスなど他のウイルスのmRNAワクチンは何十年も前から研究されており、長期的な副反応は認められていません」と説明しています。

(2021年7月2日時点)

 

Q.「ワクチンを打つと不妊になる」「妊娠中にワクチンを打つと流産する」などの情報が出回っているが、本当なの?

A.
新型コロナウイルスのワクチン接種が進められる中、「ワクチンを打つと不妊になる」「妊娠中にワクチンを打つと流産する」などといった、根拠のない情報がSNSなどで拡散されています。厚生労働省なども否定していて、専門家は「情報の出所を確認して、誤った情報に惑わされないでほしい」と呼びかけています。

●“ワクチンで流産”厚労省が否定

厚生労働省は2021年6月、新型コロナウイルスのワクチンに関する情報をまとめたウェブサイトに、「ご注意ください」として誤った情報への注意を促すメッセージを掲載しました。

この中では「ワクチン接種が原因で何らかの病気による死亡者が増えるという知見は得られていません」「接種を受けた方に流産は増えていません」としていて、厚生労働省はSNS上でデマを含む誤った情報が広がっていることを受けて文書を掲載したと説明しています。

●ワクチン接種、妊婦への影響は?

妊婦に対するワクチン接種の影響については、アメリカのCDC=疾病対策センターのグループが、2020年12月から2021年2月までにファイザーかモデルナのワクチン接種を受けた16歳から54歳までの妊婦、3万5691人で影響を調べた初期段階の研究結果を論文に発表しています。

それによりますと、流産や死産になった割合や生まれた赤ちゃんが早産や低体重だった割合は、ワクチン接種を受けた妊婦と新型コロナウイルスが感染拡大する以前の出産で報告されていた割合と差がありませんでした。

また、ワクチンを接種した妊婦で生まれたばかりの赤ちゃんの死亡は報告されていないとしています。

一方で、妊娠している女性が新型コロナウイルスに感染すると同世代の女性よりも重症化する割合が高いことが報告されていて、日本産科婦人科学会などは2021年6月、▼ワクチン接種によって母親や赤ちゃんに何らかの重篤な合併症が発生したとする報告はなく、▼希望する妊婦はワクチンを接種することができるとしたうえで、「ワクチン接種するメリットが、デメリットを上回ると考えられている」などとする声明を出しています。

●“ワクチンで不妊”も否定

また「ワクチンを接種すると妊娠できなくなる」という情報も出回っていて、新型コロナウイルスワクチンの効果や副反応などについて最新情報を提供するウェブサイト「CoV-Navi」を運営している木下喬弘医師は、根拠がなく、誤った情報だと指摘しています。

木下医師によりますと「胎盤の形成に関わるたんぱく質は、新型コロナウイルスの表面のたんぱく質と形が似ていて、ワクチンで作られた抗体によって攻撃される」という誤った情報がSNSで広まったのが元になっているということで、アメリカの新型コロナウイルスの研究者が検証したところ、胎盤の形成に関わるたんぱく質と新型コロナウイルスのたんぱく質は形がほとんど似ていなかったということです。

木下医師は「抗体は胎盤の形成に関わるたんぱく質を攻撃しないことがわかっている。自分だけでなく将来の子どもへの影響を心配する気持ちは非常によく分かるが、正しい情報を集めてもらいたい」と話しています。

●精子の減少も見られず

さらに、ワクチンを接種した後で男性の精子の量にも変化はなかったとする研究も出されています。

アメリカのマイアミ大学が行った研究の論文によりますと、25歳から31歳の成人男性45人について、ファイザーのワクチンを接種する前と2回目の接種を受けてから2か月以上たったあとで精子の量や濃度、運動量を比較したところ、有意な減少は見られなかったとしています。

●誤った情報での判断避けて

根拠のない情報がSNSなどで広がっていることについて、木下医師は「あらゆるワクチンが開発されるたびに、『接種すると不妊になる』といった誤った情報が世界各国で流されてきた。ワクチンの成分と妊娠のメカニズムは結びつかない。誤った情報をもとに接種しない判断をすると、接種率が下がって感染がおさまりにくくなるだけでなく、本人や周りの人が感染して健康を害してしまうこともある。人の命が奪われることもあるので、厚生労働省などが出している情報を確認して判断してほしい」と話しています。

(2021年7月2日時点)

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Q.副反応 インフルエンザと比べると?

A.
新型コロナウイルスのワクチンのうち、日本で最初に接種が始まったファイザー製のワクチンの場合、予防接種の実施に関するアメリカの諮問委員会によりますと、ワクチンを接種したおよそ99万7000人のうち、1回目の接種では
▽接種部位の痛みを訴えた人が67.7%、
▽疲労が28.6%、
▽頭痛が25.6%、
▽筋肉痛が17.2%、
▽発熱が7.4%、
▽関節の痛みが7.1%、
▽悪寒と吐き気がそれぞれ7%、
▽腫れが6.8%で報告されました。

アメリカ・CDC=疾病対策センターによりますと、こうした症状は接種のあと1日から2日以内に起こることが多く、数日で消えることが多いということです。

こうした症状は、インフルエンザのワクチンで報告されている副反応とも共通しています。

厚生労働省によりますと、一般的なインフルエンザのワクチンを接種したあとに起こる副反応として、接種した部分に赤みやはれ、それに痛みなどの症状が10%から20%の人で出るということです。

このほか、発熱や頭痛、それに寒気やけん怠感の症状の出る人が5%から10%いるということです。

また、厚生労働省の専門部会の資料によりますと、2019年から2020年にかけてのシーズンに医療機関から報告されたインフルエンザのワクチンの副反応が疑われたケースで重篤だったのは93件で、このうち5人が死亡したということです。

激しいアレルギー 発生の頻度は?

また、海外では、新型コロナウイルスのワクチンを接種したあとに「アナフィラキシー」と呼ばれる激しいアレルギーが起こったケースがあったと報告されています。

予防接種の実施に関するアメリカの諮問委員会の資料によりますと、アナフィラキシーが起こる頻度は100万回の接種につき5回だったということです。

インフルエンザのワクチンでもアナフィラキシーが報告されていますが、頻度はおおむね100万人に1人程度だとされていて、新型コロナウイルスのワクチンのほうが多くなっています。

ワクチンの専門家によりますと、アナフィラキシーが起きた場合でもアドレナリンを注射するなどして適切に対応すれば、命に関わることはないということです。

(2021年2月22日時点)

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Q.「筋肉注射」で接種を行うと、痛みが強いのでは?

A.
新型コロナウイルスのワクチンは筋肉注射を行うように開発されているものが多く、痛みが強いのではないかという懸念も出されていますが、専門家は筋肉注射だからといって必ずしも痛みが強いわけではないと指摘しています。

筋肉注射は、皮下脂肪のさらに奥にある筋肉に打つ注射の方法で、注射針を上腕部に直角に刺して接種します。

国内ではインフルエンザなどの予防接種で皮膚と筋肉の間に打つ皮下注射が行われていますが、筋肉注射の方がワクチンの成分の吸収が早いと考えられています。

日本ワクチン学会の理事長で福岡看護大学の岡田賢司教授によりますと、海外では通常のワクチンでも筋肉注射が一般的だということです。

そして、筋肉注射であればすべて痛みが強いわけではなく、ワクチンに含まれる成分などによるほか、痛みの感じ方には個人差も大きいということです。

ただ、今回接種が予定されている新型コロナウイルスのワクチンについて海外からは痛みが強いという報告もあり、事前の説明や、接種時にうまく気を紛らわせるなど、工夫が必要だとしています。

(2021年2月12日時点)

Q.接種したら、すぐに帰宅してもいい?

A.
アメリカの製薬大手ファイザーなどが開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省は、海外で接種を受けた人でまれに重いアレルギー反応が報告されていることから、接種のあと少なくとも15分間は経過を観察するよう自治体に求めることにしています。

厚生労働省によりますと、ファイザーのワクチンについて、アメリカでは2021年1月18日の時点で、20万回の接種につき1件の割合で、接種をした人に「アナフィラキシー」と呼ばれる重いアレルギー反応が出たことが報告されています。

このうち90%は、接種から30分以内に発生していたということです。

これを受けて厚生労働省は、接種を行う自治体に対し、過去に重いアレルギー反応があった人については接種後、30分間経過を観察するよう求めることを決めました。

そのほかの人も、少なくとも15分間は経過を観察し、症状が出た場合は直ちに救急処置を行うとしています。

(2021年2月15日時点)

Q.ワクチンから感染することはある?

A.
日本国内で接種の準備が進められている新型コロナウイルスのワクチンは遺伝子ワクチンと呼ばれるタイプで、ワクチンから新型コロナウイルスに感染することはありません。

このワクチンはウイルスそのものは使わず、人の体内でウイルスのたんぱく質を作るために設計図に当たる「mRNA」と呼ばれる遺伝情報が含まれた物質を投与します。

mRNAは、不安定で分解しやすい物質で、たんぱく質が作られた後は分解されてしまい体内に残ることはないほか、遺伝子には入り込まないため、安全性が高いとされています。

ワクチンによって感染してしまうケースはポリオなど、毒性を弱めたウイルスを使った「生ワクチン」などではまれにありますが、現在、使われている新型コロナウイルスのワクチンには「生ワクチン」はなく、ワクチンから感染することはありません。

(2021年2月15日時点)

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Q.接種前後の体調や行動は?

A.
ワクチンの接種に際して、体調がすぐれない場合などには控えるようすすめられることがあります。

厚生労働省は▼37.5度以上など明らかに発熱している人や体調が悪い場合などは接種を控え、▼持病のある人や治療中の人は接種前の診察の際に医師に相談するよう呼びかけています。

そして、接種を受けたあとは、アレルギーが出ないか確認するため15分以上施設で待ち、体調に異常があった場合は医師に連絡するよう呼びかけています。

その後、接種した当日は、入浴は問題ないということですが、注射した部分をこすらないようにして、激しい運動を控えることが必要です。

ワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫 特任教授によりますと入浴や日常生活の範囲内での深酒にならない程度の飲酒は問題がないとしています。

一方、接種に際しては接種することへの不安が引き金になってめまいや過呼吸などの症状が出ることがあるほか、集団接種を行う際にはまわりの人にも不安が広がるおそれもあります。

政府の分科会メンバーで川崎市健康安全研究所の岡部信彦 所長は、不安を感じたときに相談できる体制を作っておく必要性を指摘しています。

(2021年2月16日時点)

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Q.アストラゼネカワクチンと血栓の関係は?

A.
アストラゼネカのワクチンは、「ウイルスベクターワクチン」と呼ばれるタイプで、新型コロナウイルスのたんぱく質を作る遺伝子を無害な別のウイルスに組み込み、そのウイルスごと投与します。

このワクチンで、接種したあと血栓ができたケースが報告されていて、2021年4月7日に公表されたEMAの調査結果では「血栓は非常にまれな副反応としてリストに加えられるべきだ」として、ワクチンと血栓の間に関連性がありうるという認識が示されました。

それによりますと、血栓は60歳未満の女性で接種から2週間以内の報告されるケースが多く、脳や腹部の静脈などで起き、血小板の減少を伴うこともあるなどとしています。

イギリスの規制当局は、5月12日までにイギリス国内でこのワクチンを1回接種した人が2390万人、2回接種した人は900万人いてこのうち、血小板の減少を伴う血栓症になったのが309人、そして56人が死亡したと報告しています。

血栓が起きる頻度は接種100万回あたり、12.3回だとしています。

このワクチンの海外での添付文書には、接種後に血小板の減少を伴う血栓が極めてまれに確認されていて、死亡例もあることが記載されています。

血栓が起きる割合は高齢者よりも若い世代で高いとされ、イギリス政府の諮問委員会は予防的な措置として40歳未満には別のワクチンの接種を勧めるとしていて、ほかにも年齢制限を設けた国や接種を中止した国も出ています。

血栓ができる原因は特定されていませんが、各国の研究グループから血を固める「血小板」の働きを高める抗体が増えていることが報告されていて、血を固まりにくくするヘパリンという薬を投与したあとに、血小板が減り、逆に血栓ができてしまう「ヘパリン起因性血小板減少症」と似ていると指摘されています。

WHO=世界保健機関は2021年4月16日の声明で、感染が続く国ではワクチンを接種するメリットはリスクをはるかに上回るとした上で、各国は感染状況やほかのワクチンを入手できるかといった事情を考慮して判断すべきだとしています。

(2021年5月21日時点)


新型コロナワクチン、副反応の危険性

2021年07月10日 12時40分55秒 | 医科・歯科・介護

九州大学教授 馬場園明

2021/01/13


新型コロナウイルスの感染拡大が収束せず、日本政府は1月7日、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県を対象に再び緊急事態宣言を発令した。期間は1月8日から2月7日までの1カ月間。重症者は徐々に増えており、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を備えた病床はひっ迫している。

 中国・武漢市で新型コロナウイルスの最初の症例が発見されてから1年余り。パンデミックの第一波が収まるかと思うと、第二波が到来。第二波が収まらないまま、第三波が到来。ヨーロッパなどでは従来種より感染力が強い変異種も発見され、新型コロナが収束する兆しは見えない。

 

 新型コロナ対策の切り札とされているのが、新型コロナに対する抗体をつくるワクチンの開発だった。これまでアメリカ、ドイツの製薬会社がワクチンの開発に成功。イギリスは2020年12月8日から、アメリカは12月14日から米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナワクチンの接種を始めている。

 アメリカは米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンに加えて、米製薬会社モデルナが単独開発したワクチンも12月8日、緊急使用を許可した。いずれもmRNAという種類のワクチンで、これまでの生ワクチンや不活化ワクチンとは製造方法が異なる。

 生ワクチンは、ウイルスの毒性を弱めたものが原材料。不活化ワクチンは、ウイルスの感染能力を失わせたものが原材料。いずれもワクチンの製造にウイルスそのものが必要になる。一方、mRNAワクチンは、ウイルスの遺伝子から免疫効果を誘導する遺伝子配列を探し、その遺伝子配列をもとにワクチン用遺伝子を設計し、ワクチンを生産する。

 米ファイザーと独ビオンテックが開発したワクチンと、米モデルナが開発したワクチンを比較すると、接種回数はいずれも2回だが、接種の間隔が異なる。治験方法は、どちらもワクチン群とプラセボ(偽薬)群をくじ引き同様に割り振る無作為化比較対照試験を採用しており、2つの治験結果は単純比較できる。

ワクチン群とプラセボ群の新型コロナ発生率は、両ワクチンともほぼ変わらなかった。したがって、ワクチン群の発生率をプラセボ群の発生率で割った相対危険度、予防効果も同等だった。ワクチン間の相対危険度、予防効果に差はなく、いずれも重篤な副反応(副作用)はなかったとされる。

 ワクチン間の大きな違いは、ワクチンを凍結して保存する冷凍保存温度と、人体に投与する前に解凍して冷蔵庫で保存できる期間の違いである。これはワクチンの加工方法の違いによるものと考えられるが、ワクチンに関する情報が限られている現状では、その優劣を判断することはできない。

 新型コロナのワクチン接種で先行するイギリスでは、ワクチン接種の優先順位が決められている。【3】(表2)この優先順位は、ワクチンの接種によって恩恵が大きい順番とされているが、言い換えれば、ワクチン接種の優先順位は新型コロナのリスクが高い順番とも言える。

 

 

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料によれば、2020年1~4月、同年6~8月のいずれの期間においても年齢が高いほど、重症化、死亡のリスクが高くなっている。(表3)このため、日本におけるワクチン接種についてもイギリスと同様の優先順位を付ける可能性が高い。

 

 

 一般にワクチン接種の優先順位は経済学的な観点から決められる。重症者発生率や死亡率が高いグループへのワクチン接種は、新型コロナに感染した場合の医療費や本人、家族の間接費用のコスト削減効果が大きくなる。このため、高齢者や医療従事者、基礎疾患がある人の優先順位は必然的に高くなる。

 もっとも、日本国内の重症者発生率は、ワクチン接種が先行して始まったイギリスやアメリカに比べてかなり低い。新型コロナに対して極端に弱い基礎疾患や重症化、死亡リスクが極端に高い基礎疾患がない人にとって、ワクチン接種のメリットは明らかになっていない。

 そして、最大の問題は、ワクチン接種にどのような副反応(副作用)が存在し、どれだけのリスクがあるか現時点では分からないことだろう。米ファイザーと独ビオンテック、米モデルナの両ワクチンの治験でも、疼痛、発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛の症状は多数報告された。

 イギリスやアメリカではワクチン接種後、強いアレルギー反応であるアナフィラキシ―ショックが発生したとの報道もあるが、これは生命にかかわる問題である。アナフィラキシ―ショックの既往症がある人にはワクチンを接種しないとの指示も出ているが、アナフィラキシーショックは完全に予見できず、一定数の発生は避けられない。

 アナフィラキシーショックのほかにも、抗体依存性感染増強 (ADE) が発生する可能性が指摘されている。これは、ウイルス粒子とある抗体が結合すると、宿主細胞への侵入が促進され、ワクチン接種をきっかけに、より重篤な症状が引き起こされる現象である。

 新型コロナの感染拡大により、医療の現場は疲弊し、多くの国民が経済的に困窮している。しかしながら、ワクチンの効果がどれだけ持続するのか、その普及が集団免疫を形成できるのかは明確でない。政府はワクチン接種で発生した障害を補償するとの報道もあるが、健康や生命が損なわれれば、取り返しはつかないだろう。

 日経メディカルOnlineと日経バイオテクが2020年11月20日~12月2日に実施した新型コロナワクチンに関するアンケート調査によれば、医師6830人のうち2019人(29.6%)が「早期にワクチン接種を受けたくない」と回答。このうち1441人は回答理由に「安全性が十分に検証されていないから」を挙げている。

 日本政府は、新型コロナワクチンをすぐに国民に接種することはせず、独自の治験で安全性を確認してから導入する。1月中には治験を終え、2月にも国民への接種を始める計画だが、mRNAワクチンは人類にとって全く新しいワクチンであり、これまで想定しなかった、新しい副反応(副作用)が起きる可能性も考慮しなければならない。

 日本薬剤疫学会、日本疫学会、日本臨床疫学会、日本ワクチン学会は昨年11月、新型コロナワクチンの国内承認にあたり、ワクチン被接種者全員を登録、追跡する医療情報システムの構築とワクチン接種の効用、副反応(副作用)の情報共有を提言した。こうした提言を真摯に受け止めてこそ、政府は新型コロナワクチンに責任を持つと言えるだろう。

ばばぞの・あきら 1959年鹿児島県生まれ。九州大学医学部卒。米ペンシルバニア大学大学院、岡山大学医学部講師、九州大学健康科学センター助教授を経て、九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座教授。岡山大博士(医学)。


コロナワクチン「重い副反応が出た」医療従事者が続出…現場からの報告

2021年07月10日 12時28分43秒 | 医科・歯科・介護

【上半期ベスト記事】
7/10(土) 9:01配信

現代ビジネス

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2021年上半期で、現代ビジネスで反響の大きかった経済・ビジネス部門のベスト記事をご紹介していきます。4月24日掲載〈コロナワクチン「重い副反応が出た」医療従事者が続出…現場からの報告〉をご覧ください。
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【写真】アメリカでワクチン接種して分かった、これから日本で起きる「意外な結末」

 ※情報はすべて4月24日時点のものです。

「丸一日寝込んだ」という人も…

photo by istock

 新型コロナワクチンの接種が遅々として進まない。4月19日現在の政府発表によると、480万人の医療従事者のうち、1回目のワクチン接種を終えた人は約120万人(25%)、2回目のワクチン接種を終えた人は約72万人(15%)に留まっており、高齢者接種は4月12日から、ようやく1回目の接種が始まったばかり。

 そんな中、2回目の接種を終えた医療現場から看過できない話を聞いた。「予想外に重い副反応(副作用)が出て、丸1日寝込んだ」「体がだるくて仕方がなく、3日間はあまり仕事ができなかった」といった声が次々に聞こえてきたのだ。

 だが、そうした情報は、政府からも、新聞テレビからもなぜかまったく伝えられない。

たとえば、厚生労働省のホームページの「新型コロナワクチンについて」という説明を読むと、副作用として「注射した部分の痛み、疲労、頭痛、筋肉や関節の痛み」や「寒気、下痢、発熱等」や、「まれな頻度でアナフィラキシー(急性のアレルギー反応)が発生」するとあるものの、「予想よりも重い副作用」が実際に起こりうるリスクを感じさせる記述はない。

 いったい、いま医療現場で何が起きているのか。4月13日に2度目のワクチン接種を受けた南渕明宏・昭和大学横浜市北部病院循環器センター教授に話を聞いた。以下は南渕氏との一問一答である。

 ーー厚労省のホームページには、接種部分の痛み、疲労、頭痛、筋肉や関節の痛み、下痢、発熱等がみられることがあるが、大部分は接種後数日以内に回復していると、副作用についてサラリと触れています。国民に先行して、実際にワクチンを受けてみてどうでしたか。

 「ワクチンは2度打ちます。1回目は何もなかったが、2度目の接種後、具体的には接種の翌日の夜から強い脱力感に見舞われました。このほか両足、両腕に痛みが走るような症状もありました。まったく予想していなかったので、強い副作用に驚きました。

 夜が明けて、何とか病院に出勤しましたが、その日は終日、教授室にこもってぐったり休んでいました。とにかくヘロヘロでしたね。その次の日、さらにその次の日も体がだるかったですが、4日目はほぼ回復しました。

 とにかくびっくりしました。全身倦怠感と言えばそれまでなんですが、いままであまり経験したことがなかったヘロヘロ感でした」


塾の生徒にみだらな行為させた疑い 経営者の立場利用か

2021年07月10日 12時25分31秒 | 事件・事故

7/10(土) 9:49配信

朝日新聞デジタル

福岡県警本部=福岡市博多区東公園

 塾の生徒の女子高校生にみだらな行為をさせたとして、県警は9日、福岡市博多区博多駅前3丁目、自称無職松沢健司容疑者(42)を児童福祉法違反(淫行をさせる行為)の疑いで逮捕し、発表した。「恋愛感情があった」と供述し、容疑を否認しているという。

 発表によると、松沢容疑者は3月10日~4月20日ごろ、自身が経営する区内の塾の一室で生徒の女子高校生(17)に3回にわたりみだらな行為をさせた疑いがある。松沢容疑者は生徒が高校へ提出する課題を添削するなどしていたという。

 6月、女子高校生と親族が博多署へ相談して発覚。女子高校生は「言うことを聞かないと高卒資格を取れないと思い、従っていた」と話しているという。県警は松沢容疑者が塾の経営者としての立場を利用したとみて調べている。(板倉大地)

朝日新聞社
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