7/16(金) 9:06配信
日刊ゲンダイDIGITAL
コロナワクチンには知られていない副反応も…(C)ロイター
新型コロナワクチンの副反応といえば、発熱や倦怠感、頭痛などさまざま。その中にはあまり知られていない副反応もある。それが不安と恐怖を引き起こすことも……。弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長に聞いた。
ワクチン接種後死亡556件で厚労省が「無関係」とした7例の中身
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40代のA子さんは7月初旬までに2回目の新型コロナワクチンの接種を終えた。その後、発熱や倦怠感などの症状を経験したAさんは、ワクチン接種をした左腕の脇の下の異変にも気が付いた。
乳がんの早期発見に有効な画像診断であるマンモグラフィー検査を受けようとしたところ、「もう少し後でいいでしょう」と「待った」がかかったという。なぜか。
「左の脇の下の腫れは新型コロナワクチンの副反応による可能性があると判断されたからでしょう。日本乳癌検診学会の『乳がん検診にあたっての新型コロナウイルス感染症への対応の手引き』(Ver.2.0)にも2回目のワクチン接種後すぐの積極的な乳がんの画像診断は不要と明記されています」
実際、同手引書には〈特に腋窩リンパ節腫大は、ワクチン接種後によく見られる臨床症状/所見で、最長ワクチン接種後10週間後まで持続する。ワクチン接種後、早くて1~2日でワクチン接種側の片側性リンパ節腫大が発症するが、それは良好な免疫反応を獲得している兆候なので心配はいらない〉とある。
また〈基本的に2回目ワクチン接種後6~10週間以内のワクチン接種側の片側性リンパ節腫大の患者には、積極的な画像検査による精査は不要で、臨床的な経過観察が推奨される〉としている。
「もしAさんが、そのまま画像診断を受けて、がんの疑いがあると診断されると、本来必要のない、生検などの追加の検査を受けなければなりません。その間、Aさんは心配や不安、恐怖に悩まされることになる。それを防ぐために、乳がん検診に伴うマンモグラフィーや乳房超音波検査はワクチン接種前に受けるか、2回目ワクチン接種後少なくとも6~10週間間隔で行うことが推奨されているのです」
■報告されたリンパ節腫脹は98件
そもそもワクチンを打つとなぜ脇の下のリンパ節が腫れるのか。
それは首(頚部)や鎖骨のくぼみ(鎖骨上)、足の付け根(鼠径部)、脇の下(腋窩)などのリンパ節は、体内に侵入してくるウイルスや細菌を監視する白血球の拠点だからだ。感染症にかかったり、腕にケガをしたりしてウイルスや細菌が体内に侵入すると、これを通報、排除するための白血球の動きが活発になりリンパ節が腫れてしまう。
「これを反応性のリンパ節腫大と呼びます。リンパ節の腫れはがんやアトピーのようなアレルギー疾患などのほかに、ワクチン接種の副反応としても見られます。新型コロナワクチンは利き腕でない側の肩から上腕の筋肉に注射します。薬剤は首や鎖骨のくぼみに流れて免疫反応が起こる。その結果、リンパ節腫大が形成されるのです」
厚労省が7月7日にファイザー社製ワクチンによる副反応として報告したリンパ節腫脹は98件だった。しかし、もっとあったとしてもおかしくない。
「海外でも乳がんの画像診断は1回目のワクチン接種前か、2回目のワクチン接種から6週間後に受けることを推奨しています。ただし、ワクチン接種をしたからといって検診を受けてはいけないわけではありませんし、場合によっては遅らせすぎるのもいけません」
例えば、乳がん、頭頚部がん、悪性リンパ腫、悪性黒色腫などの既往がある人は、リンパ節腫大の発見はリンパ節への転移の可能性がある。
「あるいはリンパ節の腫れが続く、大きくなる、脇の下以外の場所のリンパ節が腫れているときも、感染症や、悪性腫瘍、免疫疾患などの可能性があるので、詳しい検査が必要となります。また、乳房にしこり・痛み・分泌物・ただれ・湿疹・ひきつれなどの症状がある場合は、検査を遅らせてはいけません」
コロナ禍ではただでさえ乳がん検診を控えたり先延ばしにしている人が多い。そのため将来、乳がんが進行した状態で見つかるケースが増えるのではとの危惧がある。一般の人が受診のタイミングを迷うのは当然だ。
心配だったら、まずは医療機関に相談すること、そして受診する際は必ず、〇日前に新型コロナワクチンを打ちました、と医師に告げることだ。
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