7/31(土) 16:05配信
NEWSポストセブン
副反応の原因とは
「2回目の接種後は4人に3人が発熱する。発熱は40℃に達することもある」。新型コロナウイルスのワクチンの副反応を調べている国の研究班がそう注意喚起した。
【写真】額に指先を当てる河野太郎氏。ワイシャツにはカフス、光沢ある黄色のネクタイ姿
モデルナ製を2回接種した自衛隊員およそ1000人のうち、実に75%以上が翌日に37.5℃以上の発熱をし、6割は38℃を超える高熱を出したという。7月21日の厚労省審議会「予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」で明らかになった。
その審議会では、まず、ワクチン接種後の死亡例が報告された。2月17日から7月16日まで、ワクチン接種後に死亡が報告された事例は751人。前回の報告を考えると、1週間で約100人のペースで増えていることになる。
さらに、会議では副反応の深刻さを示す冒頭の自衛隊員のデータについてやり取りが交わされた。発熱の多さについて、委員の1人が、厚労省の研究班代表である順天堂大学医学部の伊藤澄信客員教授に、こう尋ねた。
「モデルナ製は海外のデータでもこんなに年齢関係なく(副反応の発生率が)高かった印象ですか?」
伊藤教授は困惑しながらこう語った。
「ちょっとびっくりするくらい高いので、海外の治験のデータも含めて、(製造元の)武田薬品の方に再度確認をしようと思っております」
つまり、日本人は海外に比べて、副反応が多いとデータが示していたことを認めたのだ。
また2回目の接種を受けた自衛隊員のうち40%を超える419人が、接種3日後まで病休、または仕事にならない状況だったという。伊藤教授は、病休の多さについて胸の内をこう明かした。
「自衛隊員ですので、“頑強なかたで病休が4割”というのはショック」
「(翌々日の病欠者が35人なので)5%くらいの頻度でなると考えると、本当に企業も体調を考えて(職域接種を慎重に)やらないと危ないのではないかと危惧しております」
そして、伊藤教授はこう続けた。
「実は(発熱が)38℃以上の比率も高くて、最高40℃という人もいます。やはり(発熱が)これほど高い状態で、負担がかかるので、それについての準備をして接種をしていただかないと危ないのではと思います。特に高齢者のかたはあまり自覚症状が出ませんので、自覚症状がないままに無理をされる危険は、相当程度あるのではないかと危惧をしております」
専門家が「準備をしないと危ない」と警鐘を鳴らすのが、日本のワクチン接種の現実である。
「ファクターX」原因説も
また、審議会では別の重要なことも言及された。委員の1人が、日本人に副反応が多い理由を「(海外の人と)体重の違いもあるのかという意見もあった」と述べたのだ。
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんが指摘する。
「問題は日本人と欧米人に同じ量を投与すること。日本人成人の平均体重は男性約70kg、女性約50kgで、アメリカ人は男性約90㎏、女性約75kgですが、ワクチンは体格差を考慮せず、アメリカ人と同じ30μgを接種します。それだと日本人には過剰投与となり、副反応が増える恐れがあります」
従来のワクチン、たとえばインフルエンザワクチンなどは、体格や体重に関係なく同じ用量を打っても問題ないことから、「同様に新型コロナワクチンも問題ない」と主張する専門家が多く、この問題はほぼ黙殺されてきた。
だが、ついに国の委員会でも公に問題視する発言が飛び出したのだ。上さんは、今回のワクチンは「これまでとはまったく違う」と強調する。
「ファイザー製とモデルナ製は、遺伝子の設計図を体内に打ち込む『mRNAワクチン』という人類史上初のワクチンです。従来のワクチンとは安全性が異なる可能性があり、投与する量についても慎重な判断が必要なのですが、日本ではまだ充分な検証はなされていません。
アメリカの治験ではファイザー製ワクチンは10μg、20μg、30μgと量が増えるほど副反応が多くなった。投与量の多さが副反応を引き起こす可能性が示唆されているんです」
多くの接種者に副反応がみられる以上、厚労省はその原因の可能性がある「ワクチンの過剰投与」を徹底的に調査すべきではないか。
新潟大学名誉教授の岡田正彦さんも指摘する。
「体格差だけでなく、薬を代謝する酵素などの問題も含めて体質や遺伝子の違いが大きな理由かもしれません。もっといえば人種差がある。今回のワクチンはまだ充分に調べられていないので、もしかしたら日本人にはワクチン量が多い可能性があります」
一方で日本人に副反応が多い理由は、「量」が原因ではないと分析することもできる。
血液内科医の中村幸嗣さんは、「日本人には『免疫的ファクターX』があるのではないか」と指摘する。
「そもそも日本人は欧米人と比べて新型コロナの感染率が低いので、感染を抑えるなんらかの原因『ファクターX』があると指摘されています。『X』にあてはまる候補として、生活様式や自然免疫の強さ、BCG接種などさまざまな説がありました。
今回のワクチンの副反応の多さを考慮すると、やはり日本人はコロナに対する何らかの強い免疫=免疫的ファクターXがあると考えられます。つまり、コロナに未感染であっても、もともと体質的に免疫が強かった日本人にワクチンによる免疫の活性化が加わり、激しい免疫反応が生じて副反応が増強された可能性があると考えられます」
もしそうであるならば、欧米人基準の効き目の強いワクチンは、日本人にはミスマッチである可能性もある。
岡田さんは「さまざまな可能性を検討するためにもデータの収集が必要」と指摘する。
「今回のワクチンは明らかに過去のワクチンとは異なり、私を含めてさまざまな医師が『何か怖いことが起こっている』と実感しています。しかし厚労省が集めている副作用のデータは氷山の一角にすぎず、さらなる研究を進められません。厚労省は何よりもまず、副作用に関する正確なデータを集計すべきです」
厚労省は注意喚起をするだけでなく、オープンなかたちで副反応の調査と議論を進めることが求められる。
※女性セブン2021年8月12日号