創作 人生の計算 10)

2021年07月13日 05時54分45秒 | 創作欄

武蔵野日赤病院の大森峰子看護部長に取材で会った時、「是非、病院長に会って下さい」と要請された。
「神埼病院長とは、同じ病院船に乗って中国の戦地に赴きたのです。当時、病院長は従軍看護婦の総括責任者でしたので、詳しいくお聴きしてください」と紹介されたのだ。
久岡武雄は、まだ取材経験が浅く病院長と面談することに腰が引けたが、会ってみれば気さくな人柄だった。
病院院長インタビューを続けている先輩の中川健太なら、それなりの話を引き出すことができただろうと思ったが、予備知識はほとんどなく<出たとこ勝負>を余儀なくされた。
「医療問題の根本的問題は、日本医師会にも責任の一端があって、日本医師会選挙に吉田富三さんを担ぎだしましてね。選挙は結果は惨敗でした。富三さんの貴重な足跡に大きな傷をつけてしまった」と言いながら、組んだ両手を握り締める。
「医療問題については、富三さんに会って聴くことですね。電話をして置きますから、是非、会いに行きなさい」口調に力がこもっていた。
大森看護部長に会ったことで、思いがけなくも神埼病院長と面談できた。
さらに、神埼病院から紹介され、日本医学協会の吉田富三会長を訪ねるこことなった。
まさに、それは邂逅であった。
人生に計算式があるとすれば、大きなプラスともいえる<邂逅>だったのだ。
まず、東京本郷の日本医学協会を訪ねた。
事務局長は60代後半と想われ、豊かな白髪で学者のような風貌であった。
「明治の新聞人は立派な人が多かった。つねに先見性を以って国民をリードする言論人でたちです」久岡武雄は明治の文学に親しんできたが、言論人の話には腰が引けた。
「今日の医療界を牽引する言論人は、吉田富三先生です。佐々木研究所か 癌研究会癌研究所を訪ねて、吉田先生に会いなさい」事務局の言葉には、吉田富三会長への信頼と敬愛の情がこもっていた。


無観客五輪開催という異常事態は、ワクチン確保に失敗した政府の無策が招いた

2021年07月13日 05時54分45秒 | 社会・文化・政治・経済

7/13(火) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

東京五輪は、一部地域を除き、無観客で開催することが決まった(12日正午現在)。一方、英国のスポーツイベントは観客も入り、大盛り上がりだ。ぼうぜんとする日本政府と、正常化に戻りつつある英国政府の差はどこで生まれたのか。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

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● 無観客の決定には賛成だが、日本人としては悔いが残る

 私は、五輪は開催で進めるべきだと主張してきた(本連載第274回)。五輪のホスト国として、開催には国際的な責任があり、「感情的」に投げ出すことが許されるような、軽い問題ではないからだ。

 ただし、安全対策、各競技会場での観客数などは、科学的・論理的に決定されるべきだ。

 まず、これまでの国内外で開催されたさまざまな個別競技のイベントから得られた知見を生かす。そして、従来にない大規模イベントである五輪で起こりうる問題を一つずつつぶしていき、観客数を決める。最終的には無観客もあり得る。ギリギリまで検討して判断すればいい。

 だから、私は「無観客」開催の決定に賛成である。

 だが、4度目の「緊急事態宣言下」での「無観客」での五輪開催には、日本人としてどうしても悔しい思いがある。

 これが「ロンドン五輪」だったならば、通常通りに開催し、「新型コロナに対する人類の勝利」を高らかに宣言する大会になっただろうと痛感するからだ(第271回)。

● 英国でスポーツイベントが盛り上がる状況にした、判断と根拠

 英国では、デルタ株が猛威を振るい、7月10日には新規感染者数が3万人を超え、19日には5万人に達すると予測されている。それにもかかわらず、ボリス・ジョンソン首相は、集会や飲食店の制限の解除など、感染抑制のための制限措置の大半を7月19日に解除し、経済・社会を正常化すると明言した。

 また、先日、テニスのウィンブルドン選手権の男女の決勝が開催されたが、観客は新型コロナ検査の陰性証明かワクチンの2回接種を示す証明書を提示して入場したという。

 さらに、サッカー欧州選手権(EURO2020)の決勝が、ロンドンのウェンブリー・スタジアムに6万人の観客が入場して開催された。イングランド代表の55年ぶりに主要大会での決勝進出に英国は盛り上がった。惜しくもPK戦で敗れたが、サポーターがイングランド国旗を振りながらスタジアム周辺やパブで盛り上がっている姿が日本でも放映された。

 ジョンソン政権が、経済・社会の正常化に大胆にかじを切っているのは、科学的根拠に基づいている。イングランド公衆衛生庁が、ワクチンを2回接種すれば入院や重症化を防ぐ有効性は、米ファイザー製で96%、英アストラゼネカ製で92%という研究結果を公表したからだ(『ファイザー製とアストラゼネカ製ワクチン、2回接種でインド型変異株に有効=英研究』BBC News)。

 この研究結果を受けて、ジョンソン首相は、「ワクチン接種が進み、感染と死亡の関係を断ち切ることができた」として、今後新規感染者が増えても、入院患者や死者はそれほど増えることはないと判断したのである。

 この英国の状況とまったく対照的なのが、4度目の「緊急事態宣言」発令で、無観客で東京五輪の開会式を迎えることにぼうぜんとしている日本だ。

 ウィンブルドンやEURO2020が「科学の勝利」を高らかに宣言する大会となった一方で、東京五輪は、日本が「非科学的な闘い」を延々と続ける姿を世界にさらす大会になる。どうしてこうなってしまったのだろうか。

● 1年前の致命的な大失策、あの時、ワクチン確保に動いていれば…

 五輪開催に際し、まず懸念されたことは、海外から来る多くの選手・関係者がウイルスを持ち込み、日本国内で感染拡大を起こしてしまうことだったはずだ(第274回・p3)。現在、世界各国から選手・関係者が次々と来日し始めている。陽性者が次々と発見されているが、日本入国時の検査体制が有効に機能しているからだといえる。

 今後も陽性者が出ることはあるだろうが、選手村で大規模な感染拡大が起きることはないのではないだろうか。選手・関係者は、ワクチン接種を済ませている人が少なくない。入国時の検査が陰性であり、入国後も何度も検査を受けるのであれば、日本国内に在住する人たち以上に安全な人たちだと、冷静に考えるべきだ。

 実際、専門家から出された五輪開催についての意見でも、来日する選手・関係者を問題視するものは見られない。むしろ、日本在住の人たちの移動による感染リスク増大が強調されている。

 例えば、政府分科会の尾身茂会長ら専門家有志26人が、五輪に関する提言を公表している(『新型コロナ対策の専門家有志が作成した提言書』)。ここでは、「競技関係者間でのクラスター発生」「バブルからバブル外への感染流出」という、選手・関係者を起源とするリスクについては数行触れている程度である。

 提言の大部分は「人流・接触機会の増大のリスク」についてである。要するに、日本国内に在住する人たちが五輪を観戦するために集まり、全国に散っていくことによる感染拡大のリスクにどう対応するかが問題となっているのである。

 日本国内に在住する人の多くが、いまだにワクチンを接種できておらず、新型コロナの感染・重症化の危険がある状態にさらされているから、「人流・接触機会の増大」がリスクになるのだ。

 つまり日本のワクチン確保・接種の遅れが問題なのである。突き詰めれば、製薬会社との交渉を、政府が迅速に行っていなかったからだ(第277回)。英国と比較すれば、それはより明らかになる。

 昨年4月の時点で、英国ではジョンソン首相が反対を押し切って、135億ポンド(約2兆400億円)の巨額資金をワクチン開発につぎ込むことを決断した。(『【解説】イギリス政府はパンデミックとどう闘ったか 1年間の舞台裏』BBC NEWS)。

 一方、同じ頃、日本の専門家会議は世界のワクチン開発の進展をつかめず、「ワクチン開発には数年かかる」と安倍晋三首相(当時)に進言した。その結果、ワクチンの確保は後手に回ってしまった。

 これは、五輪のホストを務める国としては、致命的な大失策だったと言わざるを得ない。最先端の情報をつかんでいれば、「ワクチン接種による新型コロナのパンデミック終結と五輪の開催」という戦略を立てて、動けたはずだからだ。

 例えば、「五輪のホスト国だから、最優先でワクチンを提供してもらいたい」と、政府が製薬会社と強く交渉することができた。日本政府にとって、ワクチン確保の交渉は、むしろ他国より容易だったはずだ。

 ワクチン確保の交渉に成功し、英国と同様に世界で最初にワクチン接種が始められたならば、五輪前に日本在住の人たちの大多数が抗体保有者となることができた。観客を入場させての五輪開催はまったく問題なかっただろうと、容易に想像できる。

● 政府の無策、遅れた科学、 非科学的な精神主義の結果が「無観客」に集約

 政府はこれまで、感染拡大を防ぐために、国民に対してひたすら行動制限を求め続けてきた(第275回)。五輪という世界最大のスポーツイベントの開催も、国民の行動制限だけで乗り切ろうとしている。

 五輪を安心・安全な大会にするために、国民はもっと行動制限を頑張らなければならないと言っているのに等しいのだ。だが、それはまるで「竹やりでB29を落とす」というような、いつもの精神論ではないだろうか。

 何度でも強く強調しておきたいが、緊急事態宣言下の五輪開催という異様な事態を招いたのは、ワクチン確保ができなかった政府の無策である。

 要するに、五輪の無観客開催とは、国民に責任を押し付けた政府の無策、最先端の研究から取り残されてしまった科学、昭和の幻想がいまだのさばる非科学的な精神主義の結果だ。それは、日本の国力の衰退を全世界に見せつけた、完全なる国家的大敗北なのではないだろうか。

● 英国の挑戦が世界を変えるかもしれない

 最後に、新型コロナの感染者の増加にもかかわらず、ワクチン接種による重傷者、死者の減少を科学的根拠にして、新型コロナ感染抑制のための制限措置の大半を解除し、経済、社会を正常化するという挑戦を、英国が行うことの意義を考えてみたい。

 英国がこのチャレンジに成功すれば、世界の新型コロナ対策を、感染者の拡大防止から、重傷者・死者の抑制に転換させることになるだろう。それは、感染者数の増減のみに一喜一憂し、国民の行動制限をひたすら求める日本のコロナ対策を変えるきっかけになるかもしれない。

 そして、英国は新型コロナ対策で世界を主導していることを示すことで、失いかけた国家の威信を取り戻すかもしれない。

 英国を見ていて強く感じるのは、政治家、専門家が本当に必死に考え、行動していることだ。それは、EU離脱による激動で、国家存亡の強い危機感があるからだ。

 国家としての生き残りをかけて、なんとしても新型コロナ対策で世界を主導するのだという、不退転の覚悟があるのだ。そして、それは日本の政治家、専門家に最も欠けているものなのである。

上久保誠人

 

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阪神】涙!涙!矢野燿大監督、テレビ取材で涙!何度も言葉詰まらせ「感動しています」一問一答

2021年07月13日 05時52分47秒 | 野球

7/12(月) 22:01配信

スポーツ報知

9回2死一、三塁、大山悠輔(中央)がサヨナラとなる中前適時打を放ち、笑顔で迎える矢野燿大監督(右端)

◆JERAセ・リーグ 阪神4×―3DeNA(12日・甲子園)

 阪神が4人連続となる適時打で今季2度目のサヨナラ勝ち。4番・大山の一撃で試合を決めた。勝利が決まった瞬間、選手たちと一緒にグラウンドに飛び出してきた矢野監督は目に涙を浮かべた。試合後のテレビ取材では必死に涙をこらえながら、対応。「僕としては勝てない中でもやり切ってくれてるのがうれしかったですし、その中でも結果がね…」と時折言葉を詰まらせて涙ぐんだ。以下一問一答

 ―今の気持ち

「感動しています」

 ―タイムリー4本で逆転

「いや、苦しかったですけどね。一人一人が…(言葉を詰まらせる)。ちょっと待ってください…。いや、全員の気持ちだと思います」

 ―大山が決めてくれた

「(大山)悠輔も苦しんでますし、そこまでね、みんなでつないで、それしかこの試合勝てないんでね。投げる方でも(藤浪)晋太郎も頑張ってくれましたし、及川も。青柳もね。最後の2点(7回)は悔しかったですけど、ベンチでも全員諦めることなく、やってたんで」

 ―今シーズン、前半戦はタイガースらしい野球ができた

「…(また言葉を詰まらせる)。そうですね。1年間いろいろありますけど、僕としては勝てない中でもやり切ってくれてるのがうれしかったですし、その中でも結果がね…(言葉を詰まらせる)。僕自身も勉強になっていることですけど」

 ―ファンに向けて

「きょうみたいなね、感動できるような試合が毎日できる訳じゃないですけど、そのような思いで僕たちは戦ってるんで、一緒に頑張ってもらえたらなと思います」

報知新聞社
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【MLB】19点リードで野手登板の“ユルユル直球”を… プホルスの通算675号が「容赦ない」

2021年07月13日 05時49分26秒 | 野球

7/11(日) 19:48配信

Full-Count
高めにきた100キロにも満たない球を…「情けをかけるルールが必要だ」

ドジャースのアルバート・プホルス【写真:AP】

■ドジャース 22ー1 Dバックス(日本時間11日・ロサンゼルス)

 エンゼルスを戦力外となり、今季途中からドジャースに加入したアルバート・プホルス内野手が10日(日本時間11日)、本拠地でのダイヤモンドバックス戦で2本塁打を放つ活躍を見せた。大量19点リードの8回には、野手登板にも関わらずダメのダメのダメを押す2ラン。お情け一切なしのメジャー通算675号に、ファンからは「容赦ないな」「なんて男だ」との声が上がった。

【動画】野手登板の“無気力ボール”を容赦なく本塁打にしたプホルス

 2回までに9点を奪ったドジャース。さらに7回にも、プホルスがソロを放つなど一挙7点を加えて大勝ムードに拍車がかかった。8回に1点は返されたが、その裏またも猛攻。20点目を奪い、さらに1死三塁となった段階でダイヤモンドバックスはリリーフ温存のため外野手登録のレディックを登板させた。

 2死となった直後、打席に入ったプホルスは、高めにきた60マイル(約97キロ)のユルユルの“無気力ボール”を一振り。打球は大きな弧を描き、左翼スタンドに着弾した。球団公式ツイッターが動画を公開すると、ファンからは「情けをかけるルールが必要だ。展開が一方的すぎる」「打撃練習笑」などのコメントが並んだ。

 大量リードの展開でさらに追い討ちをかけるような行為は“不文律破り”と批判の的にもなるが、近年は古くからの慣習を疑問視する声があるのも確か。是否はさておき、レジェンドが本塁打数を積み重ねたことには間違いない。

Full-Count編集部
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阪神・矢野監督の目に涙 大逆転サヨナラ勝ち「全員の気持ちだと思います」

2021年07月13日 04時30分47秒 | 野球

7/12(月) 21:39配信

デイリースポーツ

 阪神・佐藤輝に声をかける矢野監督(撮影・飯室逸平)

 「阪神4-3DeNA」(12日、甲子園球場)

 阪神が劇的な逆転サヨナラ勝ちで連敗を2で止めた。3点差で迎えた九回2死一塁から4連打で同点。なお一、三塁で大山がDeNA守護神・三嶋の初球を中前に運ぶサヨナラ打を放った。

【写真】マルテの同点打の時点では笑顔のガッツポーズだった矢野監督

 試合後の矢野監督は「いや、えー…、感動しています」と話した後、目を潤ませた。「苦しかったですけどね。本当に一人一人が……」と話すと、言葉を詰まらせて「……ちょっと待ってください」5、6秒ほど沈黙すると「全員の気持ちだと思います」と大逆転劇を振り返った。

 3点を追う九回。1死から梅野が右前打で出塁。中野は右飛に倒れて2死となったが、ここから炎の5連打が生まれる。代打佐藤輝が中前打で続き、近本、糸原、マルテの連続タイムリーで同点。最後は4番・大山が決めた。投手陣は青柳が7回4安打3失点。八回は藤浪が三者三振、九回を及川が三者凡退に抑えて、大逆転を呼んだ。

 矢野監督は「悠輔もね、苦しんでいましたし。そこまでね、みんなでつないで。でしか、この試合勝てないんでね。投げる方も、晋太郎も頑張ってくれましたし。及川も。で、青柳もね、最後の2点は悔しかったですけど、ベンチでも全員、諦めることなくやっていたんで」と選手たちを称えた。

 前半戦終了まで残り2試合。「つなげないとね。つながるだけの価値のある勝ち方ができたと思うし、残り2戦しっかり戦っていきます」と全員でつかみ取った大きな1勝を、継続していく思いだ。

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