米国の良心 天王山 上: 沖縄戦と原子爆弾 

2025年01月15日 04時23分45秒 | 社会・文化・政治・経済

ジョージ ファイファー (著), George Feifer (原名), 小城 正 (翻訳)

 

内容(「MARC」データベースより)

第2次世界大戦の天王山にたとえられ、15万余人が死んだ沖縄。その苛烈な戦闘の実相を、日米両軍兵士と住民、3者の目でとらえ再現。8年の歳月をかけて明らかにする、大作ドキュメント。
 
  • 沖縄戦の記録として、日米両軍、沖縄県民の人間的な声含め、時系列にそって詳細に記録した書と思います。
    著者はアメリカ人ですが、日本側の証言もボリュームとしてはこの書がもっとも充実しているのではないかと思います。実際日本でも多くの参考文献にされている様です。
     
    戦史を体系的に伝えるよりは、証言をより多く様々に盛り込んで、兵士や住民たちの過酷な状況、内面心理を生々しく伝えることを優先した書という印象を持ちました。

    日米両軍の一兵士、現地招集兵から将校、上層部にいたるまで、看護隊、鉄血勤皇隊、子供から老人にいたるまでの沖縄住民等など、驚くほど多くの証言が盛り込まれ、各戦闘や戦火の中での沖縄住民の生活、兵や住民の心理などを詳細、臨場感をもって記録しています。
     
    別の日本の戦記書の証言とつながる様な話も多く、興味深く読ませていただきました。

    訳者でもあり、体験談の提供協力もされた小城氏自らが、幸地の激戦やその後の敗残兵的な体験もされている事もあり、また、複数の沖縄戦体験者が詳細な取材協力に応じた様で、日本人も参照にしうる内容が多く含まれている様に思いました。

    元大隊長であった小城氏は、通常オブラードにつつむであろう敗残兵的な経験も本書「下巻」を通じて赤裸々、詳細にうちあけており、戦争の実態が何であったのか、いかに悲惨なものであったか、伝えようと意義ある事をされたと思いました。

    沖縄戦の全容・詳細を膨大な証言とともに記録した書としては大作と思います。
    ただ、下巻最後の「原爆」の項は言わんとしている事は分かるもののやはり同意はしかね、この項だけで本書に対する共感が下がってしまいました。
    個人的にはこの項は読み飛ばしてもよかったと思いました。
    また、特攻隊の心理分析や、日米に対する沖縄住民の心理分析は、やはり日本人や沖縄住民でないと難しい様に思いました。
     
  • 訳者の小城正さんは、実際は、沖縄戦で最もアメリカ軍に苦杯を飲ませてきた日本陸軍歩兵第22連隊の第1大隊長です。本書は、ジョージファイファー氏の沖縄戦取材記録のごった煮ですが、小城さんの回想だけを追っていけば、ひとすじの道にたどりつきます。
     
  • 日本側の描写については疑問が多く、一部の政治的に偏った人の意見のみを尊重しているように見える。広汎な取材をもとにしているものの、その信ぴょう性については全く疑うことなく、そのまま載せているように思う。そのため、悪意や政治的意図ばかりが目立ち、事実としてあったことを洗い出すのが非常に困難な本になっている。

    特に太田昌秀氏の証言が随所に見られる点について強調しておきたい。

    買ったことについて非常に後悔している。紙ごみに出す際には厳重に梱包して、少しでも人の目に触れないようにしたい。こういう政治信条の人とは思われたくない。
     
     

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