「恋愛の非日常性」

2018年02月15日 03時41分16秒 | 創作欄
「うちの旦那さんを誘惑しないでね」
ユカリは先日、崇拝していた女性社長の小原純子に言われた。
大学時代に、人材派遣会社兼人材養成会社を興した上昇志向の彼女に世間並みにの懸念があることに、むしろユカリは驚いた。
ユカリは28歳まで何度か恋をして、男に裏切られてもきた。
だが、相手を恨む気持ちは残してこなかった。
ユカリは小原社長の夫に好感を持っていたが、恋の相手としてのタイプではなかった。
「今度、誘うけど飲みいかないか」と小原忠志に言われた時、ユカリは「社長と一緒に」と身がまえた。
相手は黙ってユカリを見つめた。
「不倫関係」のようなドロドロした男女関係だけは避けたかった。
それ以上に、崇拝する小原純子を裏切れないという気持ちだった。
だが、小原忠志はこれまで知った男以上の何か秘めているような「魅せられる人物」に想われたのだ。
人に好かれるという「恋愛の非日常性」は、心のときめきでもあった。

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