創作 心の原点 3)

2025年01月09日 20時16分05秒 | 創作欄

28歳の佐野昭は、経済関係の月刊誌の編集者になっていた。

その出版社の社長小倉隆治は、元読売新聞の記者であり、マスコミに深い人脈があった。

スポーツ新聞の競馬担当記者や、競馬好きな作家たちとの交流もあった。

競馬の馬を数頭持っていて、馬主仲間と銀座のクラブに通っていたが、酒は飲まなかった。

「酒はダメだ。口を付けただけで気分が悪くなる。オヤジも同じだった」

「佐野、俺の代わりに飲め」と同行した昭にグラスを回す。  

そして、昭は社内で唯一社長から競馬に誘われる。

馬主仲間の情報は、真に信頼できるのかどうか?!

昭は、暮れのボーナスをもらった後であり、「馬主情報」に乗ってしまう。

だが、その肝心な馬は3着となる。

「佐野、惜しかったな。新年の競馬で取りもどそう」

昭は50万円を失い、社長は300万円も失うが「これも、競馬だな」と余裕を失わず薄らに笑っていたのである。

 

 


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