みつとみ俊郎のダイアリー

音楽家みつとみ俊郎の日記です。伊豆高原の自宅で、脳出血で半身麻痺の妻の介護をしながら暮らしています。

初めてのヘルパー

2014-10-03 17:59:17 | Weblog
恵子が倒れてから丸三年。在宅で介護を始めてからも二年以上の月日がたっているのにヘルパーさんをこれまで一度も頼んだことがなかった。
ショートステイなどで施設を利用したことはあったけれども、ヘルパーという介護保険の制度を利用するのは今回が初めてだ。
「みつとみさん、家の中に他人を入れるのがイヤなんですか?」自分の祖母を長年介護している知人からそう言われたこともあった。
別に他人を入れるのがイヤとかそんな気持ちはサラサラない。
ただ、これまで炊事、洗濯、風呂の介助から何から何まで別にヘルパーさんに頼まなくても全部自分でできたので、頼む理由がなかっただけの話だ。
なのに、なんで今頃になってヘルパーさんを頼むようになったかというと、私と恵子だけの「二人の世界」は介護にとっても私たちの日常生活にとってもあまり好ましくないことだと最近思い始めたからだ。
毎日顔を合わせるのが二人だけ、というのはお互いにとってあまり良いことではない。
苛々をぶつけるのもお互いに一人しかいない。
特に、どこにも自由に行けない恵子にとっては、ある意味、私が世界のすべてになってしまう。
良くも悪くも、私という存在が世の中の全てになるのはどう考えても健全なことではない。
私は、仕事や他のことで「外」にすぐ出ていかれる。
でも、彼女はそうはいかない。
私以外の他人に接する機会が極端に少ない。
なので、強制的に他人を家の中に入れよう。外に出よう。
そんな意味でのヘルパーさんだ。
とりあえず頼んでいるのは「掃除」だが、これもある種の方便。
別にそんなに家の中が汚れているとも思わないが(私がマメに掃除するので)、でも「こことここの掃除をお願いします」と言って、なんとなく家の中の空気を変える。
これが私の目的だ。
でも、本音を言うと、食事を全部作ってくれるとありがたいナなんて思っていたりする(笑)。
だって、いつも思うのは「私は一日中台所で食事作っている気がする」からだ。
朝起きてすぐに考えるのは朝食のこと。
そして、片付けをしたと思ったら彼女の10時の飲み物(毎日10時にさまざまな栄養素を入れた特製ショコラを作る)を作る、ランチ、そして3時の飲み物(午後は特製抹茶ラテだ)、最後は夕食。
そんなわけで私はいつも台所に立っている。
う~ん。本当はもっと外食にも行きたいんだけどナ…。
彼女は、まだ外食に行きたいとは言わない。
まあ、しょうがないと言えばしょうがない。
外のお店でバリアフリーのところは少ないし、彼女はまだ介助箸かスプーンで左手で食べることしかできない。
食べるのにとても時間がかかる。
家の中では良いけれど、外で食べると普通の人の十倍は時間がかかってしまうので、そうなるのを恐れて外食に行きたいとは言わないのだろう。
でも、どこかで強引にでも引っ張って行かなければ…。
前に進むには、多少の強引さが必要。
多少無理に思えてもやってみれば案外「案ずるよりも産むが易し」になったりするものだから。

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