「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2005・04・13

2005-04-13 07:00:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。

 「職業には貴賎があると、私は思っている。皆さんも思っている。それでいて、貴賎はない、あってはならぬと、図々しいのは人前で説教する。それを聞いて深くうなずくものがある。腹と口が違うのは我々の常だが、説教までするとは不思議なようでそうでない。我らは決して実行しない、またするつもりのない修身を、聞いたり話したりするのが、きらいだきらいだと言いながら、実は大好きなのである。修身ほろびずと、だから私は思っている。」

  (山本夏彦著「茶の間の正義」所収)


 「先生が子供たちに意見を言わせ、それをディスカッションと称して聞くふりをするのは悪い冗談である意見というものは、ひと通りの経験と常識と才能の上に生じるもので、それらがほとんどない子供には生じない。」

  (山本夏彦著「毒言独語」所収)


 「子供たちは互いにおうむ返しだと知りながら、自分の言葉として発言する。それなら大人と同じである。」

 「子供は大人がみくびるほど鈍くない。彼らは大人が何を欲するか知っている。」

  (山本夏彦著「編集兼発行人」所収)
 
コメント
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