「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2013・03・20

2013-03-20 08:00:00 | Weblog
今日の「お気に入り」は、ポルトガルの詩人フェルナンド・ペソア(18888-1935)の「わたしの村からは」と題した詩一篇。

「わたしの村からは見える 地上から見える限りの世界が……
だからわたしの村はほかのどこにもおとらず広い
わたしの背丈はわたしの身長でなく
わたしの視界とひとしいのだ……

都会では この丘の上のわたしの家ほど
広く生きることはできない
都会では そこここの大きな家が視野をかたく閉じ込め
地平線をかくし わたしたちの視線を空のなお彼方へと押しやる
それらはわたしたちを小さな存在にかえる 眼が与えてくれるものを奪うからだ
わたしたちを貧しくする 見ることよりほかにわたしたちの富はないからだ」

(「フェルナンド・ペソア詩選『ポルトガルの海』」池上岑夫編訳 彩流社刊 所収)

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