「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2013・03・21

2013-03-21 07:30:00 | Weblog
今日の「お気に入り」は、ポルトガルの詩人フェルナンド・ペソア(1888-1935)の「わたしは羊飼」と題した詩一篇。

「わたしは羊飼
羊はわたしの想念
それはすべてわたしの知覚したもの
わたしは考える 眼と耳で
手と足で
そして鼻と口で

花を考えるとは花を見ること 香りをかぐこと
果物を食べることがその果物の意味を知ることだ

だから暑い一日
その一日を心ゆくまで楽しんだあまり寂寥におそわれ
草の上に身を横たえて
ほてる眼を閉じると
全身が実在のなかに横たわっているのを感じる
わたしは真なるものを知り うれしくなる」

(「フェルナンド・ペソア詩選『ポルトガルの海』池上岑夫編訳 彩流社刊 所収」)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする