「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

Long Good-bye 2020・01・14

2020-01-14 06:00:00 | Weblog


                                                      



   今日の「お気に入り」は、昨日の続き。


    「 両者の違いは子どもや英語学習中の外国人が重点的に教わるポイントだが、オックスフォ

     ード英英辞典のサイト( oxfordlearnersdictionaries.com )によれば、シンパシー

    ( sympathy )は『 1.誰かをかわいそうだと思う感情、誰かの問題を理解して気にかけ

     ていることを示すこと』『 2.ある考え、理念、組織などへの支持や同意を示す行為 』

    『 3.同じような意見や関心を持っている人々の間の友情や理解 』と書かれている。

     一方、エンパシーempathy )は、『 他人の感情や経験などを理解する能力 』とシン

    プルに書かれている。つまり、シンパシーのほうは『 感情や行為や理解 』なのだが、エン

    パシーのほうは『 能力 』なのである。前者はふつうに同情したり、共感したりすることの

    ようだが、後者はどうもそうではなさそうである。


     ケンブリッジ英英辞典のサイト( dictionary.cambridge.org )に往くと、エンパシー

    の意味は『 自分がその人の立場だったらどうだろうと想像することによって誰かの感情や

    経験を分かち合う能力 』と書かれている。

     つまり、シンパシーのほうはかわいそうな立場の人や問題を抱えた人、自分と似たような

    意見を持っている人々に対して人間が抱く感情のことだから、自分で努力をしなくとも自

    然に出て来る。だが、エンパシーは違う。自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわい

    そうだとは思えない立場の人々が何を考えているのだろうと想像する力のことだ。シンパ

    シーは感情的状態、エンパシーは知的作業とも言えるかもしれない。

     EU離脱派と残留派、移民と英国人、様々なレイヤーの移民どうし、階級の上下、貧富の

    差、高齢者と若年層などのありとあらゆる分断と対立が深刻化している英国で、11歳の子

    どもたちがエンパシーについて学んでいるというのは特筆に値する。」



    (ブレイディみかこ著 「 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 」 新潮社刊 所収)











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