今日の「お気に入り」は、頼山陽( 1780 -1832 )の「母を送る路上の短歌」。
「 東風(とうふう)に 母を迎えて来たり
北風(ほくふう)に 母を送りて還る
来(きた)る時は 芳菲(ほうひ)の路(みち)
忽(たちま)ち 霜雪(そうせつ)の寒と為(な)る
鶏(とり)を聞いて 即ち足を裹(つつ)み
輿(こし)に侍(じ)して 足槃跚(はんさん)たり
兒(じ)の足の 疲るるを言わず
唯(ただ)母の輿の 安きを計る
母に一杯を献じて 兒も亦呑む
初陽(しょよう)店(みせ)に満ちて 霜已に乾く
五十の兒に 七十の母有り
此の福(さいわい)人間得(う)ること 應(まさ)に難(かた)かるべし
南去北來(なんきょほくらい) 人織るが如きも
誰人(たれびと)か我が兒母(じぼ)の 歉(よろこ)びに如(し)かんや 」