今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。
「『羽織ごろ』という言葉をご記憶だろうか。私はおぼえている。一見紳士みたいな紋付羽織袴姿で大会社に乗りこんで、天下国家を論じて結局いくらか貰って返る――新聞記者の異名である。
明治大正時代の新聞記者は、羽織着たごろつきだといわれた。二流三流新聞の記者はその場で、一流はあとで貰った(だろう)と、これはかげで言われた。」
「昭和になってからは羽織ごろは死語になった。そのかわり新聞は増長して、自分を正義で潔白で無謬だと思うようになった。」
「新聞が世をあやまるのは繰返すが自分を無謬だと思うことにある。週刊誌は『黒い報告書』のたぐいが呼物であるかぎり内心忸怩としてそんなこと思いはしない。これでいいのである。」
「世界の共産党が瓦解した今わがマスコミはノンポリか日和見だろう。それにもかかわらず天皇制といえば反対、国旗といえばあげないというのはパブロフの犬(条件反射)である。日の丸は血にまみれているというが、どこに血にまみれない国旗があるか。その旗をひきずりおろした五、六人の生徒がいた、即位の日をお休みにしなかった小学校が一校あったと大きく報じるのは日和見のくせになぜだろう。教育である。小学校以来四十年間国家と国旗をあしざまに言う教育をうけたから、大人になってもしぜんこんな紙面をつくるようになったのである。」
(山本夏彦著「世間知らずの高枕」新潮文庫 所収)
昨日耳にした二十前後の若者の会話の断片です。
「よくわかんないけど、コイズミさんカッコいいよネ。」
「革命やんないキョーサントーなんて意味ないじゃん。」
「シャカイトー?(多分社民党のことです)口ばっか。うざってー。」
「オカダ、誰それ。」
選挙なんか行きそうにないけど、案外、よく見てるのかも知れません。
「『羽織ごろ』という言葉をご記憶だろうか。私はおぼえている。一見紳士みたいな紋付羽織袴姿で大会社に乗りこんで、天下国家を論じて結局いくらか貰って返る――新聞記者の異名である。
明治大正時代の新聞記者は、羽織着たごろつきだといわれた。二流三流新聞の記者はその場で、一流はあとで貰った(だろう)と、これはかげで言われた。」
「昭和になってからは羽織ごろは死語になった。そのかわり新聞は増長して、自分を正義で潔白で無謬だと思うようになった。」
「新聞が世をあやまるのは繰返すが自分を無謬だと思うことにある。週刊誌は『黒い報告書』のたぐいが呼物であるかぎり内心忸怩としてそんなこと思いはしない。これでいいのである。」
「世界の共産党が瓦解した今わがマスコミはノンポリか日和見だろう。それにもかかわらず天皇制といえば反対、国旗といえばあげないというのはパブロフの犬(条件反射)である。日の丸は血にまみれているというが、どこに血にまみれない国旗があるか。その旗をひきずりおろした五、六人の生徒がいた、即位の日をお休みにしなかった小学校が一校あったと大きく報じるのは日和見のくせになぜだろう。教育である。小学校以来四十年間国家と国旗をあしざまに言う教育をうけたから、大人になってもしぜんこんな紙面をつくるようになったのである。」
(山本夏彦著「世間知らずの高枕」新潮文庫 所収)
昨日耳にした二十前後の若者の会話の断片です。
「よくわかんないけど、コイズミさんカッコいいよネ。」
「革命やんないキョーサントーなんて意味ないじゃん。」
「シャカイトー?(多分社民党のことです)口ばっか。うざってー。」
「オカダ、誰それ。」
選挙なんか行きそうにないけど、案外、よく見てるのかも知れません。
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