今日の「 お気に入り 」は 、作家の村上春樹さんが 、
1994年か1995年頃に書かれたエッセー「 うず
まき猫のみつけかた 」( 新潮文庫 )の中の数節 。
引用はじめ 。
「 最近は熱心に小説を書いているので 、毎日朝の
五時ちょうどに起きて 、夜の九時過ぎにはもう
ベッドに入ってぐうぐう眠るというパターンにな
っている 。僕の場合 、長編小説を書いていると
きにはどうやらこの生活形態が理想的パターンで
あるらしく 、いつもだいたい自然にそういう風
になってしまう 。自然に眠くなって 、自然に目
が覚めてしまうわけだ 。もちろん作家によって 、
人それぞれいろんな仕事時間のパターンがある 。」
「 朝食をはさんでだいたい午前十時半頃まで仕事
をして 、それから大学のプールで泳ぐか 、その
へんを一時間ほど走るかして 、そのあとで昼御
飯を食べる 。午後はだいたい気分転換 。小説以
外の仕事( 翻訳とか 、こういうエッセーとか )
をしたりしなかったり 、町にちょっと散歩にで
たり 、買い物をしたり 、あるいは事務的な日常
的な用事を片づけたりする 。夕食後はたまにビ
デオで映画を見たりするけれど 、だいたいはの
んびり本を読みながら音楽を聴いている 。よほ
どのことがない限り 、日が暮れたら仕事は一切
やらない 。」
「 寝る前に飲みすぎたり食べすぎたりすると 、朝
起きたときになかなかすっきりと頭が働かないの
で 、意識的に控えるようにしている 。早朝の時
間というのは僕にとって とても大事なものなので 。
それから外食というのは まずしなくなってしま
う 。もちろん友達づきあいというようなものも
皆無に等しくなる 。
という具合に 、小説に集中していると生活が一
貫して単純に規則的になってくる 。」
「『 そんな きちきちに 内向的に 孤独な人生を送っ
て 、いったいどこが楽しいのだ ?』と訊かれる
と 、僕も困ってしまうのだけれど 、うーん 、
でもしょうがないですよ 。生き方というのは人
それぞれなんだから ・・・ 。」
引用おわり 。
筆者は 、村上春樹さんのように 、長編小説を書く小
説家ではないけれど 、何かひとつの物事を 、集中して 、
成し遂げようとするとき 、ふだんの生活を 、出来る限
り 、単純に 、規則的なものにしないと 、集中力がそが
れ 、元も子もなくなるような気がしている 。
夫婦の寿命にかかわることで 、いつ終わりを迎えても
不思議がなく 、かと言って 、終らせたくない 、途絶え
させたくない 、できることなら無期限に続けたいライフ
ワークなので 、目標を全うするため「 きちきちに 内向
的に 孤独な 人生を送る 」。生まれつき内向的だし 、今
さら変われない 。
二十年前にそう決めたのだから 、しようがないですよ 。
楽しんでやるようなことじゃあないんだけれど 、これが
結構楽しめるんです 。
ただ 、孤独ではないんですよ 、ほんと 。
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