今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。
「子供のころから不思議に思いながら、誰も教えてくれないことがたくさんある。もっと気になることは『尊王攘夷』である。このむずかしい字を私はチャンバラ映画でおぼえた。攘夷は西洋人をうち払うことで、それを旗じるしにして国論を統一して幕府を倒しながら、維新成って廟堂に立ったら皆々開国して誰も異議を唱えるものがなかった。激論があったと聞かない。人はこういうときどういう顔をするのだろう。一人ならず全員が口をぬぐったその口を、私は見たいと思う。」
(山本夏彦著「世はいかさま」所収)
「千万人といえどもわれ往かんという言葉がある。自分で考えて正しければ、相手がたとえ千万人で、自分が一人でも屈しないと訳されて、今も時々用いられるが、千万人も往くなら俺も往こうと訳すのが本当である。」
(山本夏彦著「笑わぬでもなし」所収)
「子供のころから不思議に思いながら、誰も教えてくれないことがたくさんある。もっと気になることは『尊王攘夷』である。このむずかしい字を私はチャンバラ映画でおぼえた。攘夷は西洋人をうち払うことで、それを旗じるしにして国論を統一して幕府を倒しながら、維新成って廟堂に立ったら皆々開国して誰も異議を唱えるものがなかった。激論があったと聞かない。人はこういうときどういう顔をするのだろう。一人ならず全員が口をぬぐったその口を、私は見たいと思う。」
(山本夏彦著「世はいかさま」所収)
「千万人といえどもわれ往かんという言葉がある。自分で考えて正しければ、相手がたとえ千万人で、自分が一人でも屈しないと訳されて、今も時々用いられるが、千万人も往くなら俺も往こうと訳すのが本当である。」
(山本夏彦著「笑わぬでもなし」所収)