今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。
「人間ひきぎわが大事だなどと他人のことなら言うが、自分のことになるとたいていの人は目が見えなくなる。」
(山本夏彦著「『戦前』という時代」所収)
「大企業に属していれば、友のごときものが出来ます。病気で休めば会社に届けなければなりません。ながく休めば見舞に来てくれます。結婚すれば祝ってくれる、忘年会もあれば新年会もあります。手帳には書くことがいっぱいあります。電話をかける相手もありますから、ついうかうかと定年までいます。そしてハタと気がつくのです。退職したらもう顔を出すところがないのです。」
「以前は会社を去っても家族がありましたが、いまはありません。」
(山本夏彦著「つかぬことを言う」所収)
勤め人をしていた頃、退職者が元の職場を訪ねてくることがありました。現職の顔触れも大分変わっている中、いかにも所在なげでした。訪ねて来られる方も、本音では迷惑なのです。そうした空気を読めずに、その後も度々訪ねてくる人もおりました。
「人間ひきぎわが大事だなどと他人のことなら言うが、自分のことになるとたいていの人は目が見えなくなる。」
(山本夏彦著「『戦前』という時代」所収)
「大企業に属していれば、友のごときものが出来ます。病気で休めば会社に届けなければなりません。ながく休めば見舞に来てくれます。結婚すれば祝ってくれる、忘年会もあれば新年会もあります。手帳には書くことがいっぱいあります。電話をかける相手もありますから、ついうかうかと定年までいます。そしてハタと気がつくのです。退職したらもう顔を出すところがないのです。」
「以前は会社を去っても家族がありましたが、いまはありません。」
(山本夏彦著「つかぬことを言う」所収)
勤め人をしていた頃、退職者が元の職場を訪ねてくることがありました。現職の顔触れも大分変わっている中、いかにも所在なげでした。訪ねて来られる方も、本音では迷惑なのです。そうした空気を読めずに、その後も度々訪ねてくる人もおりました。