
「光の競合」
晴れ渡る雲ひとつない青空。
高知らしい、高知ならではの冬の一日。
晴れでも雨でも傘を持ち歩く北陸育ちの母には
おそらく考えられないくらいの晴天だろう。
そして、6アールの畑には溢れんばかりのケール。
まけまけいっぱいのケールの山、山、山。

さあて、今から今期3回目の収穫だ。
予定収量200キロ。
一株5〜8枚ずつ摘み取りミカンコンテナに詰めていく。
どの野菜にも言えることだが、
生育に一番大事なことは光が当たるかどうかだ。
だから、葉が重なり合うと、下葉から黄色くなってしまう。
そうなる前の美味しい葉を摘み取るというわけだ。
植物は声を上げないが、様態でいろんなことを教えてくれる。
一株どうし、押し合いへしあいしながら光を奪い合う感じで育つ。
だから、畝と畝の間、通路側には茎を伸ばしてグッと伸びてくる。
弱肉強食の世界は動物だけではなく植物も同じなのだ。
刈り取ったケールは散髪したてのイガグリ頭に似ている。
遠くから見るとマッチ棒が並んでるようだ。

サッパリとしたケールはまた太陽の光を浴びてイキイキと育つだろう。
こんな生命のたくましさをいつも感じられるなんて、
こんなに幸せに満ちた仕事はそうないなあと思う。
一枚当たりのケールの値段が出荷する場所で最大10倍も違うことは
生産者にならないとわかるはずもなかったが。
※ この記事は、NPO法人土といのち『お便り・お知せ』2020年3月号より転載しました。