2010年31本目 林芙美子原作
映画『浮雲』
★★★★★ ★★★★★
東宝 1955年 125分 モノクロ
監督 成瀬巳喜男
原作 林芙美子
脚本 水木洋子
出演 高峰秀子 森雅之 岡田茉莉子 中北千枝子
【花のいのちはみじかくて、苦しきことのみ多かりき】
かってわたしが高校大学生の頃好きだった林芙美子さんの歌で締めくくられた映画『浮雲』に感動した。
また、『浮雲』を映画にするとこのようになるのかと嬉しくなった。
名誉も何もかも失った二人は内地で再会。
インドシナの思い出に愛を求める女と行き違う男の葛藤。
わたしはこの映画を見て、森雅之にジェラール・フィリップをみた。
しゃれたつくりと話の切なさが、フランスの香りを放つ。
素敵だ。
話は二転三転して、屋久島で女は亡くなる。
その時男は女の存在の大きさに気づき、思いでを胸に泣く。
美しき女の亡がらに口紅を付ける男の儚さ。
屋久島の空は雨。
【花のいのちはみじかくて、苦しきことのみ多かりき】なのである。
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林芙美子の同名小説を映画化した成瀬巳喜男=高峰秀子の代表作で、世界の映画史に燦然と輝く名作中の名作。戦時中の占領地・インドシナで愛人関係にあった幸田ゆき子(高峰)と農林技師の富岡(森)。引き揚げ後も妻ある謙吾との縁が切れず、ゆき子は自活のため身を売る。小津安二郎の言葉"俺にできないシャシンは溝口の「祇園の姉妹」と成瀬の「浮雲」だ"はあまりに有名。