■護国寺■
那覇港からほど近い波の上の寺は厳戒態勢だった。
護国寺は今や封鎖されて人ひとり近づくことができない物々しさだ。
この寺が宣教師であり医師であり、十三ヶ国語を操る言語学の天才と呼ばれた
ベッテルハイム博士の住居だ。
「いつまで私を軟禁するつもりだ。この無体は英国国教会に報告するぞ!」
「この王国の腐れ役人どもに神の御慈悲を。アーメン。」
ベッテルハイム一家の衣食住を王府の予算で賄ってあげているのに、
無慈悲といわれる始末だ。
ただあまりにもアクの強い性格と
好奇心旺盛であらゆるところに首を突っ込むために、
彼のことを琉球の民は
「ナンミンヌガンチョー(波の上の眼鏡)」
と愛称をつけて慕ってもいた。
「テンペスト(上)」より
■台湾遭害者之墓■
「維新政府には恩があります。
昨年、宮古島民が台湾で殺害されたときに清国に対して抗議してくれました。
今まで台湾島で何百人の同胞が殺されたとお思いですか?」
「成熟した国は外交で国力を増進しますが、
新興国は武力に頼ります。
台湾遭難事件は維新政府にとって外洋にでる良い口実になったでしょう。」
「維新政府は何を企んでいるんだ?」
「日本が帝国を築くとき、まず周辺国を見渡します。
一番近いのは朝鮮ですが、派兵す大義名分がありません。
でも、台湾には琉球国民を虐殺したという理由で派兵できるのです。」
「テンペスト(下)」より
はい、昨日首里城とその周辺を散策してきたのですが、
首里城とその周辺といえば、ちょうどテンペストの舞台でもあるので、
テンペスト行脚みたいになりました(笑)
物語とリンクするところは文章を一部抜粋しながらお届けしま~す
たぶん、長くなると思いますが
那覇観光と読書のつもりでお付き合い下さい
なお、太文字になっているところが抜粋部分です。
■「波上宮」■
護国寺のすぐとなりにある波上宮。
鳥居が黒い。
(逆光で黒く写ってるわけじゃなく、本当に黒いです)
こっちが境内。
首里城と同じくベースカラーは朱。
ちょうど赤ちゃんのための神事をやっていました。
おみくじはガジュマルのひげに。
なんか、沖縄の本格的な神社ってワタシ初めて行った気がしますよ?
神社も沖縄らしさが出ていてなんだか新鮮ですね。
紋はお馴染み三つ巴。
かっこいい
灯篭にも三つ巴。
首里城で三つ巴を探したとき、建物などにはあまり見つからなかったけど、
神社にはあらゆるところで見られました。