がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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ご報告

2009年08月16日 | ・手ぬぐい活用術など

「あいっ、首里城レポートもいいけど、何か忘れてないねー?」

「このブログが少なくとも手ぬぐいブログを名乗ってるなら…」

「やさ、やさ」

「ちょいと、アレはどうだったわけ?」

「ああ、首里城手ぬぐい(梨園染謹製)のことなー?」

「新作がでたかどうか……」

「ちょいと一眠りしてから言うさー ZZZ…」

 

そ~んなのんきな首里城まやーぐぁ~たーはほっといて、
首里城手ぬぐいの御報告です!

 

新作は…!

 

なし~!

 

残念!

 

これまでのデザインと、これまでの色違いがあるだけでしたー。

こちらも美ら海手ぬぐい同様、ワタシは全て持ってて
全て紹介したわけではないんですが。
(私的にイマイチな紅型風手ぬぐいもあるものだからー無理してまでは買わない…)

例えばこういうものとか過去に御紹介してます

     
↑クリックすると記事にジャンプします

  

あ、そうそう。

半手ぬぐいみたいなものが新しく出てたんですが、
四方縫われてたし、裏あるし、
普通のハンカチでした。

少なくとも梨園染の半手ぬぐいではないです


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テンペスト行脚~夜の首里城~

2009年08月16日 | ・『テンペスト』行脚

途端、漏刻門の太鼓が申の刻を告げる。

連動して首里の寺が一斉に鐘を撞く。

たちまち王都が深錆色の重厚な波紋に包まれた。

「テンペスト(下)」より

首里城の松明に明かりが灯ると、真紅の宮殿はその本来の美しさを見せる。

昼間は華美で豪奢に振舞う役者なのに、
夜になると物憂げな女の眼のようにぼうとその姿を闇に浮かばせる。

宴をそっと抜け出して夜風に吹かれる貴婦人。

それが夜の首里城だ。

 

「テンペスト(上)」より

王宮には二つの顔がある。

昼間は政治の中枢として知的な顔つきをしているが、
夜は紅をさす貴婦人に変わる。

もともと王宮は男装の麗人なのだ。

女が男に化けていると思えば、いろいろなことが腑に落ちる。

世界の宗教建築にも匹敵する華麗な装飾、
幾重にも着飾った過剰な色彩感覚、
そして美と教養のみに特化した頭脳。

智恵と論理で競い、風流を作法の中にしみこませた役人達は美の僕だ。

しかし、誰がこの美と教養の王国に嵐が襲い来ると思ったであろう。

尚氏開闢から五百年。

文化が爛熟した王国に翳りが差し始めていた。

その翳りさえも美にしてしまうのは神から愛された故だろうか。

男装の麗人から貴婦人に戻った王宮は、
メランコリーに耽っているように映る。

やがて散る身を憂えながらも最新のファッションをさりげなく着こなしてみせる。

これこそが美学だとでもいうように。

 

「テンペスト(上)」より

 

はいっ!

ながら~くお伝えしました、写真と文章でたどるテンペスト行脚レポート。
昨日の前半戦と、今日の後半戦(笑)。全15記事っ

一応、これでラストです。

首里城、他にも木門とか西のアザナとか龍譚池とか継世門とか玉陵とか
もうちょっとロケ地があるんですが、
タイムオーバーと言うことで撮れませんでした。
(9時過ぎまで粘ってましたが10:00から美の壺手ぬぐい特集だったから帰らなきゃ…だったのです

また機会があればシリーズ化したいです
同じくタイムオーバーで行けなかった福州園にも行きたいぞー!

一連のレポートは、リンクしている文章を探すのはそんなに難儀じゃなかったです。
もうだいたいあの辺にこの記述があったな~と覚えていたので。
(写真の整理のほうが難儀だったー。何百枚撮ってたんだろう?)

ただ、ワタシがチョイスした文章がベストかどうかは別(笑)

抜粋しました文章は、テンペストという物語の見せ場ではありません。

本当にドキドキワクワクする見せ場はこれ以外に山ほどあります。

是非、この機会にご一読をオススメいたします

 

あ、そうそう、
以前、記事にした「
泊外人墓地」とか「識名園」とかもテンペストロケ地なので
よかったら覗いてみて下さい


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テンペスト行脚~首里城/御庭、御内原~

2009年08月16日 | ・『テンペスト』行脚

■御庭(うなー)■

首里城は複数の建物で広大なパティオを形成している。

それが御庭と呼ばれる空間だ。

御庭に施された白と赤のストライプ模様が
正殿に向かって視線を勢いよく駆け上がらせるように演出させていた。

紫禁城をモデルに造られた首里城は琉球の美意識と融合し、
より華やかな宮殿となった。

王宮の森の緑と正殿の真紅が補色になって強烈な印象を与えるのだ。

「テンペスト(上)」より

尚育王から表十五人衆の証である紫冠の帽子が被せられる。

寧温も朝薫もまだ地位の実感がわかない。

お互いに目で「あれをやろうな」と合図した。

戴帽式を終えたふたりは、科試に合格したときと同じように御庭を駆け出した。

「おめでとう。孫親方!」

「おめでとうございます!喜舎場親方!」

 

「テンペスト(上)」より

 

■御内原(うーちばら)■

評定所が表記の世界なら、御内原は見ても記してはならない世界、
起きたことが語られない闇の世界である。

寧温を案内するかのように一匹のオオゴマダラがゆらゆらと飛んで行く。

白い翅は朝霧のように溶けて御内原へと誘う。

「お待ち。ここをどこだと思っている。
鈴を鳴らさずに入れば命はないぞ」

「私は評定所筆者主取の孫寧温でございます」

「表の世界の人間は御内原に入ることはできぬ。
それくらい知らぬのか」

「入れないのは男です。しかし私は宦官。
これからは御内原の出入りは自由にさせていただきますので、
お見知りおきを、女官大勢頭部様」

 

「テンペスト(上)」より

 

    

 

御内原はいわゆる琉球の大奥で、男子禁制の女だけの世界です。

現在、御内原は整備中で中に入ることはできません。

お分かりの通り、首里城再建はまだ現在進行形。
来るたびに少しずつ進化していく首里城。

一度来たことある、と言う方も久しぶりにまた訪れてみてはいかがでしょう?


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テンペスト行脚~首里城/御差床、正殿二階~

2009年08月16日 | ・『テンペスト』行脚

■御差床(うさすか)■ ■正殿二階■

真鶴は涙声で明の手を引いた。

「明……。正殿へ行きましょう…」

「ここが首里天加那志のお座りになっていた御差床です。

後ろに二階に上る階段があります」

真紅の階段を上がると余白を埋めつくすウルトラバロックにも似た装飾が、
荘厳なシンフォニーを奏でる。

 

「明、玉座に座りなさい」

「これより即位の儀を行います。

中城王子様、この王印をお受け取りください」

明の顔つきが王の威厳に変わる。

これは琉球王国の最後ではなく、新しい王朝の始まりだと思った。

民が生きている限り、どんな国でも造れる。

それが明の信念だ。

「今日は誠に吉き日である。新生琉球王国の生誕の日なのだから」

「余は王位に就かず民の心の中の王とならん。
どんなにこの国が荒れても、たとえ戦に巻き込まれても、
民の心の中に灯る希望とならん」

  

「テンペスト(下)」より


「今は耐えよう。きっとまたいつか花が咲くこともある」

いくさ世も済まち 弥勒世もゆがて

嘆くなよ臣下  命どぅ宝

  

「テンペスト(下)」より


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テンペスト行脚~首里城/南殿、書院・鎖之間~

2009年08月16日 | ・『テンペスト』行脚

■南殿■ ■書院・鎖之間■

昨日、勢いに任せて連続アップしたテンペスト行脚。

テンペストの舞台になっているロケーションを写真と文章でたどるシリーズです。

昨日はたくさんの方のご訪問ありがとうございます

せっかくココまで来たので、あともう少しお付き合いください

太字になっている部分が物語からの引用です。
(※文章を多少前後させたり略したりしているところもありますので御了承下さい)

では、再開~

王の執務室である書院では尚育王が夜勤を行っていた。

書院は正殿の中華様式とは異なり、純和風建築の建物である。

廊下ひとつ渡ると国が変わるかのような様式が王宮の特徴だ。

 

「テンペスト(上)」より 

 

尚育王が日本式の居間でくつろぎながらふたりに問いかける。

「どうした?2人とも顔色が優れないぞ」

王はこれが重責のせいだと知っている。

「首里天加那志。私は今、思いと言葉が離れていくのを止められません…」

「孫親方。これが国家の頂点だ。震えるのは当然のことである。
どうだ、この高みから見える世界は。
琉球が時代のどこにいるのか、どこに向かっているのか、
見たままを申すがよい」

 

「テンペスト(上)」より 

調査は王不在の書院を使って行われた。

純和風建築の書院は首里城の中でも異質な空間だ。

ここは主に薩摩の役人をもてなす場でもある。

紫禁城形式の正殿に隣接された書院は廊下ひとつで異国へ旅するようなものだ。

ここは日本かと雅博の知覚が一瞬麻痺する。

そして中に寧温の姿を見つけると滲むような笑みを浮かべた。

「孫親雲上。いや糺明奉行殿、お久しぶりです」

 

「テンペスト(上)」より

 

書院、鎖之間は比較的新しい再建エリアです。

朱塗りの正殿、北殿とちがって白木造りの南殿、書院は不思議な感じです。

中ではお茶と琉球菓子をいただけるエリアもあるのでオススメでーす♪


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