がじゅまるの樹の下で。

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阿麻和利の讒言【2】

2012年11月01日 | ・琉球史散策/第一尚氏

口伝・口承による民話集シリーズ。

今日は「かつれんの民話・本島編」(勝連町教育委員会/1991)からのご紹介。

同じ「阿麻和利と護佐丸」でも本によって、伝える人によって
微妙に違うんだよな~(笑)

阿麻和利おひざ元である「かつれんの民話」だけあって
かなり詳しく、そして他地域の民話集では語られなかった(!?)
細部まで語られていました。

長いので色々とピックアップするポイント(ツッコミ所とも言う(笑))はあるのですが
今回は「阿麻和利の讒言パート2」ということでその部分をば。

 まず、「阿麻和利の讒言」を知らない人のために
歴史のその部分を簡単にご紹介。

 

天下を狙う阿麻和利はまず自分のライバル護佐丸を討つことにします。

そこで阿麻和利は密かに国王・尚泰久にこんなことを言います。

「護佐丸が首里に謀反を企てています。中城では毎日戦の訓練が行われています。
一日も早く護佐丸を討たないと大変なことになります」

と。

あの護佐丸がそんなことするわけがない、と信じなかった尚泰久でしたが

「それならば使者を遣わして実際に確かめてくると良いでしょう」

と喰い下がる阿麻和利の言葉に、中城へ密偵を送ります。

密偵が中城を伺うと、阿麻和利が言っていた通り軍事訓練が行われているではありませんか。

報告を受け驚いた尚泰久は、阿麻和利に護佐丸討伐を命じます。

 

という「護佐丸・阿麻和利の乱」の冒頭。

 

この阿麻和利の讒言と、密偵の報告には
実はこんな秘密があったらしい。

↓ 

 

尚泰久は阿麻和利の言葉を受けて、
部下である山城のヒャーに中城詮索を命じた。

山城のヒャーはなかなか偉い武士だったらしい。

しかし中城に向かう山城のヒャーを、途中で待ち伏せていたのは
阿麻和利の側近である屋慶名アカーの部下だった。

彼は山城のヒャーを捕え、刀を突き付けるとこう言った。

「中城には行かず、休んでゆくがいい。
そして尚泰久には、確かに護佐丸は戦の準備をしていたと報告するのだ。
金はこれだけくれてやろう。
ただし、妙な気を起こしたら……貴様の命はないと思え」


(※意訳=和々)
「かつれんの民話・本島編」(勝連町教育委員会/1991)


 

阿麻和利と屋慶名アカーの策は、
実に用意周到だった!

うむむ、策士・阿麻和利像だね。


 

ついでに書くと、阿麻和利と屋慶名アカーは首里に登る時
小舟に乗り、与那原の浜に渡ったと歴史書にも書いてありますが、

同民話集によると、
下船後、屋慶名アカーはすぐさまその船頭を口封じで殺したそうだ。

 

ギャー!悪党!!!Σ(゜д゜;)

 

以下、原文↓

 

阿麻和利が、

「どうして、私らを乗せてきた船頭を殺すか」

と(アカーに)言うと、

「これはね、私たちの作戦がもれないようにね、
秘密がもれないようにするためなんですよ。
私らの作戦が成功した場合にはね、
船頭の親類を私らが面倒見て楽にしてあげるから、
これは考えないで下さい」

と伝えたらしいんだ。

「ああ、そうか。君は、いい考えだな」

と阿麻和利も言ってね。そして首里に行ったらしいんだね。

 

 

悪党な場面なのに、会話がゆるい(笑)

民話集のこの語り口、癖になります(笑)

 

イラストは屋慶名阿嘉(赤とも)のラフスケッチ。
(BY琉球戦国列伝)


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