がじゅまるの樹の下で。

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’18肝高の阿麻和利7月公演 【表編】

2018年07月11日 | ・肝高の阿麻和利レポ

 現代版組踊舞台レビューについて


肝高の阿麻和利 7月公演

2018年7月7日(土)

きむたかホール


7月公演レビュー【表編】です。
(【裏編】はこちらから

 

 

今回は6月に亡くなられた
肝高の阿麻和利生みの親(発案・企画者)、
上江洲安吉先生の追悼公演でした。

公演前に生前のインタビュー映像や写真をまとめたスライド上映があり
安吉先生の志に改めて胸が熱くなりました。

でも『北山の風』の紀秀先生追悼公演の時もそうだったけど、
舞台や子どもたちを観ていると
この世に安吉先生は肉体はなくとも、
その魂と志は子どもたちにしっかり受け継がれている、
これからも受け継がれていくのだと感じました。


あまわりの 萬国に道拓き 我した肝高の 誇り高さ
(詠 上江洲安吉)

 

本当にすごいお仕事をなさったのだよなぁ…。

謹んでご冥福をお祈りいたします。

 

 

+ + +

 

 

観劇は7日の夜公演でした。

実は観劇するか(できるか)どうかギリギリまで迷っているうちに
事前に全公演チケットが完売したので諦めていたのですが、
やっぱりロビーで音声聞いていたら(やっぱり)中で観たくなって、
ダメ元で聞いてみたら運よくキャンセル席をゲットできました。

久々の前方中央エリアだったので、
演者さんたちの表情・しぐさ・息づかいまで
しっかり味わうことができました。

 

(その代わり中通路や後方の演出を見るのはできないんだけどね…
なので大好物の”男サンの笑顔でアイコンタクト”は今回は見れず……)

 

では、
この前方のメリットからのレビューから。

 

 

《阿麻和利の最期》

ここは多くの人が涙する名シーン。

瀕死の阿麻和利に泣きすがる百十踏揚に
その涙を拭うように頬に触れる阿麻和利。

瀕死でありながらその優しそうなことよ。

まるで少女漫画のようでとしました。
(思わず絵にしてみました)



2人のラブラブ、大歓迎です(。・ω・。)ノ♡

ちなみに絵ではおとなしめに描きましたが
取り乱して泣き叫ぶ百十踏揚…も好き…。

 

 

一方その頃、賢雄は。

 

 

《毎度おなじみ賢雄ウォッチャー》


阿麻和利が瀕死になってからの
賢雄の心の移り変わりは
ソロでガン見してもいいくらい
見ごたえがあります。

(公演や演者さんによっても微妙に変わる)


これまでは、阿麻和利に
「賢雄!踏揚を…頼んだぞ…」
と言われたときに
ハッと顔をあげてそこから後悔の念が押し寄せる
ってパターンが多かったのですが

今回はそれよりも前に
おそらく泣きすがる百十踏揚の様子などを見て
しだいに揺れ始め、
上の阿麻和利のセリフの時には
ぐさっと刺さったかのように
逆にぐっと顔を伏せたのが印象的でした。

(もしくは、
後悔を確信したもののすぐには認めたくなくて眼をそむけたか)

 

そこも良かったです、
が、


今回何気にツボだったのが

実はそれよりも前のシーン。

 

阿麻和利が首里からの知らせに
迷いながらも戦を決意し命令を下す所。

「戦だ…、戦支度をせよ!」

と阿麻和利が踵を返すと同時に見えた、
賢雄のかすか~~~~なニヤリ顔!

分かりやすいあからさまなニヤリじゃなくて
本当にさり気ないニヤリ。

これは前の席じゃないと見えないくらいの変化。

これが見れたのは良かった♡ ←マニアック

 

 

《女性アンサンブルさんの”キャラ設定”》

 

次は女性アンサンブルさん演じる民衆たち。

阿麻和利が按司として民に語りかけるシーン。

 

「この勝連は田畑はせまく、作物も少ない…」
「だが、ものは考えようだ。
シマが小さいということは、海が広いということだ」


この前向きなセリフに民たちの顔がパッと明るくなって
希望を抱くのですが、

そんな希望に満ちた民大勢の中に…

 

…おやおや?

 

(???……どういうこと?何言ってんのかわかんない)

 

って表情の民さんがいるぞー?(笑)

 

阿麻和利のセリフが続きます。

 

「海の向こうには、唐がある。大和がある」


周りの民たちに遅れて
しだいに理解し始めた民さん。

 

(…あ!そっかぁ…!)

 

「世界中に船を走らせ、異国の宝を持ち帰ろうではないか!」

 

(わーい!すごーーい!!!)

 

最後には周りの民たちよりもいっそう目をキラキラさせる民さん。

わ~、かわいい(笑)

 

アンサンブルさんも演舞に合わせて表情を作ってはいますが
今回のように「(民)個人」としてのキャラをしっかり作っていたのは
珍しいような?と。

でも余裕がないとできないよね。
前の立ち位置でもあったし、女サンのリーダーさんとかなのかな?


写真は日曜日の昼。見事なまでの青空でした。

 

 

《新演出!》


前回ワタシが見た卒業公演からの
目立った(気づいた)演出変更は2つ。

 

1つ目は「阿麻和利の笛」

平敷屋エイサーのシーンの冒頭に、
一の郭で月を眺めながら語らう阿麻和利と百十踏揚…

だったのですが、

今回は阿麻和利の横笛演奏がプラス。

『百十~MOMOTO~』でもそんなシーンがあったから
リンクを考えてのものかな?

でも今回は「ふり」じゃなくて、阿麻和利君のマジ演奏ですよ。

しかも、ソロ。

きっとたくさん練習したことでしょう。
プレッシャーもあったことでしょう。
高音とかさ、難しいよね。
(私も小中高ずっと吹奏楽やってたんで分かります)
よくがんばりました

これ、8代目阿麻和利君の残された公演では
ずっとやってほしい♪

 

 

2つ目は「歓喜」のシーンのハッタラー↓


(今回このチラシゲットできなかった…グスクに取りに行ったのに…)

カチャーシーのあと、
ハッタラーが奥から走ってきてぃよ~ッ!で〆るところを
ぃよ~ッ!の3段活用。

ひきつけて、盛り上げて、盛り上げてから~、の

パン、パパパン!

 

ほほほう。

 

(でも外でのお見送り演舞の時はこれまで同じだったけど(笑))

 

 

《他、あれこれ》

 


屋慶名がやたらとモテキャラになってました(笑)

「キャー!屋慶名さまー♡♡♡」的な。

誰たちからモテてたのかと言うと、
望月按司側用人たちからです。

 


少年たちの声変わりにびっくり。

背も大きくなっちゃってー

中学生は変化が大きい時期だから
印象もガラリとかわりますね。

(中学生メンバーだけで演じられる
『かっちんカナー』今年も楽しみです)

 


観劇10年目にして、初めて聞き取れた掛け声が衝撃でした。

それはどこかと言うと、
クライマックス「肝高の詩」で
後半、阿麻和利が出てきて叫ぶあの掛け声。

これまでなんとなーく

「レッツ ァシンガアソーン(グ)!
(Let's a sing a song ←なぜか a が2回出てくる)」

って感じで聞こえてたんだよね。
(あくまで雰囲気的に)

もちろん、そのはずはないとは思ってたけど
それほど気にもしていなかったと言えば、気にしてなかったので。

 

ところがその曖昧だった掛け声が明らかに…!!

昼公演の時に、ロビーで、気を抜いてた状態で聞こえてきた音(声)は、

 

「さ、シンチャー!」

 

でした。

 

マジか。

 

もーね、

ロビーで一人で苦笑いしたよね。

 

 

おわり。


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